SHIBUYA BUNKA SPECIAL

ワンコインで楽しむ渋谷1日観光プラン

2008年6月14日、渋谷・新宿・池袋を結ぶ副都心線がいよいよ開通します。これまで、渋谷よりも新宿や池袋に立ち寄ることが多かったという人も、これを機会に渋谷の魅力を再発見する「散歩」を楽しんでみては。渋谷は細い道や湾曲した道が多く、坂道の連続で起伏に富んだ街。それだけに街並みの表情が豊かで、角を曲がるたびに新たな発見があります。今回の特集では、そんな渋谷の魅力をテーマ別にご提案します。まず「基本編」では、「グループタウンウォッチング」代表を務める散歩の達人・前田波留代さんから渋谷の街歩きをより楽しむためのポイントを伺うとともに、モデルコースを設定していただきました。

街を「点」や「線」ではなく「面」と捉えて歩くことで楽しみは倍増する
前田波留代さん

前田波留代さん
岐阜県生まれ。進学のため上京し、「もっと東京を知りたい」という思いから、1992年「グループタウンウォッチング(GTW)」を設立。その活動に関する情報発信サイト「お散歩なび」を開設。以来、15年以上にわたり、会員とともに東京を中心に街を散策するマンスリーウォッチングを続ける。近著に『こんなにあった! タダで楽しむ東京ライフ』(産経新聞出版)など。
»「お散歩なび」

1992年に「グループタウンウォッチング」を設立し、以来、月ごとに1コースを設定して東京周辺の街を散策するマンスリーツアーを続けています。現在の会員数は500人ほど。これまでにウォッチングした街は約160コースです。この活動を始めたのは、岐阜県から千葉県に引っ越して来たのがきっかけ。当初は何も意識せずに東京を歩いていましたが、あるとき、「東京と一口に言っても、エリアによって歴史や文化はさまざま。もっと東京を深く知りたい」と思い、活動を開始しました。

マンスリーウォッチングでとくに意識しているのは、「街を面として捉えること」。これは、街を構成するたくさんの要素を丸ごとウォッチングするという考え方です。たとえば、ある街を「文学散歩」「歴史探索」といったテーマで巡るとします。そのように「点と点をつなぐ」コースは、目的ははっきりしているものの、スポットの近くにある話題のケーキ屋や細い路地に残る古い街並みなどに目が向かなくなってしまう。逆に、街を面として捉える散策では、一つの視点に捉われず、その街を特徴付ける多様な要素に目を向け、街そのものの魅力を発見することを目的としています。たくさんの会員と接して感じるのは、タウンウォッチングを楽しめる人は、知的好奇心が旺盛であるということ。エリアにより、歴史や文化、地形、名物、通りを行き交う人々などが異なることに気付き、考えることで知的な発見が得られます。そんな楽しみに加え、ウォーキングによる運動効果ももれなくついてきますから、街歩きはやめられませんね。

渋谷は「若者の街」というイメージが強いが実はあらゆる世代を楽しませる要素に満ちている

渋谷は「若者の街」というイメージが強いですよね。そのため中高年のなかには敬遠する方も少なくありません。それでも、私の主宰する「グループタウンウォッチング(以下、GTW)」の会員に散歩したい街のアンケートを取ると、渋谷を挙げる人がたくさんいます。一人で散策するのは少し勇気がいるけど、テレビや新聞で頻繁に取り上げられている街だし、行ってみたいな・・・という思いがあるのでしょう。実際、GTWではこれまでに3〜4回ほど渋谷を散策していますが、毎回、メンバーの満足度はとても高いです。

では、渋谷を散策する面白さは、どこにあるのでしょうか。まず何といっても幅広い年齢層を楽しませる街であることが大きい。言うまでもなく若者向けのショップやスポットが充実しており、最先端のファッションに身を包む人々が通りを行き交っています。それだけに散歩するだけで、流行や時の流れを肌で感じ、気持ちが若々しくなります。とくにSHIBUYA109などは、大人が観光気分で訪れてみても楽しいですよ。ウインドウショッピングをして、「話題のカリスマ店員って、どんな感じ?」などと見て歩いたり(笑)。以前、若者向けのショップが集まるキャットストリートを歩いたときも、皆さん、「こんな通りがあるのか・・」と、その街並みを興味津々に眺めていました。

その一方で、意外と知られていませんが、博物館や美術館、それから歴史的なスポットなど、中高年層や子ども連れの方々を楽しませる場所もたくさんあります。そのように多様な人々の興味を満たしてくれる点が、渋谷を歩く楽しさでしょうね。それから、地形の複雑さも散歩に面白みをもたらしてくれます。もともと東京は他の大都市に比べ坂道や細い路地が多く、風景に変化がある。とりわけ渋谷は起伏に富んだ街ですよね。何も知らずに歩けば、「坂道が多くて疲れるな・・」と思うだけかもしれませんが、もともと渋谷川が流れる「谷」だったことなど、ほんの少しの知識さえあれば、散歩の楽しさは格段に増すと思います。

前田波留代さんが提案する――“ワンコインで楽しむ渋谷1日観光プラン”

渋谷ではさまざまな散歩コースが考えられますが、今回はとくに博物館的なスポットに焦点を当て、ほんのワンコインで、中高年層はもちろん、子ども連れや若者でも楽しめるプランを設定しました。スタート地点は渋谷駅ですが、グループで行動する場合、駅前は混雑するかもしれませんので、電力館で待ち合わせるのも良いでしょう。訪問先は、比較的、狭いエリアに集まっていますが、途中は坂道も多いので、ウォーキングの運動にもなると思いますよ。各施設の見学時間は1時間弱として、途中、1時間ほどの食事時間を入れると、大体、4、5時間ほどのコースになります。移動の通り沿いにはショップやカフェなどが多いですから、個人や少人数で歩く場合は、気になる場所に立ち寄っても楽しいでしょう。以下、各施設の魅力を説明します。

スタート地点:渋谷駅

副都心線の宮下公園前の出口を利用すると、電力館にアクセスしやすいです。

1. 電力館

「電気の総合PR館」。発電のしくみや暮らしのなかの電気の様子などに関する分かりやすい説明は、子どもから大人までが楽しめるでしょう。7フロアを使い、展示が非常に充実しているため、本当は1時間では足りないくらい。ギャラリーやライブラリーなど寛げる設備もあるので、時間に余裕があるのなら、ここでゆっくりと過ごすプランを立てても良いのでは。ショッピングの後にIHハーブカフェで一休みするのもおすすめ(ハーブティーにお菓子が付いて300円)。また受付で案内を頼めば、個人でも空きがあれば対応してくれます。

入館料:
無料
開館時間:
10時〜18時
休館日:
毎週水曜(祝日の場合翌日)

2. たばこと塩の博物館

入館料100円という低料金が魅力的。しかし、展示はとても充実しており、たばこの歴史や世界各国のたばこ文化などを説明する常設展示に加え、企画展も毎回、一風変わった趣向で楽しませてくれます。入館時に渡される解説書はなかなかしっかりとしたつくりで、これだけで入場料100円の元は取れたという気分になれるはず(笑)。映画や講演会なども頻繁に開かれていますから、事前にチェックして時間を合わせて訪れることをおすすめします。

入館料:
大人100円
開館時間:
10時〜18時(最終入場は30分前まで)
休館日:
毎週月曜(祝日の場合翌火曜日)

3. トーキョーワンダーサイト渋谷

若手アーティストの育成や発信を主な目的として、トーキョーワンダーサイト。若手を中心とした国内外のアーティストの作品が展示されています。美術館を訪れるほどの気構えは要らず、散策途中にブラリと立ち寄り、気軽な気持ちで現代アートに触れられる施設です。コースにアート鑑賞を織り交ぜると、散策に変化が出ますよ。会場は、勤労福祉会館の1F奥です。道路に面して併設されている「トーキョーワンダーサイト アートカフェKurage」が目印です。

入館料:
無料
開館時間:
11時〜19時(最終入場は30分前まで)
休館日:
毎週月曜(祝日の場合翌日火曜日)

4. NHKスタジオパーク

渋谷のなかで子どもが喜ぶスポットといえば、ここでしょう。NHK放送センターに併設されており、放送の舞台裏を見学できるほか、アナウンサーの気分を味わったり、アフレコにトライしたり、大河ドラマの衣装を着て記念撮影をしたりと、丸一日過ごしても全く飽きないスポットです。平日午後1時5分から生放送の公開番組「スタジオパークからこんにちは」の観覧を希望する方は、午後0時までにスタジオに集まれば入場できます(多数の場合は抽選)。

入館料:
大人200円
開館時間:
10時〜18時
休館日
毎週第3月曜

※食事スポット

和洋中はもちろん、世界各国の料理店がそろい、まさによりどりみどり。ただし、お店の数が多過ぎて迷ってしまうため、事前に調べておくと良いでしょう。また、フリーペーパーなどを駅や道で見つけたら、活用するのも良いです。

ゴール地点:渋谷駅 or 原宿駅

スタジオパークから渋谷駅までは徒歩約12分ですが、直通バスも運行しています(8分間隔・150円)。あるいは、代々木公園を抜けて原宿駅まで散歩するコースもおすすめ。 また渋谷では、Bunkamura(東急百貨店本店1F)→渋谷マークシティ→セルリアンタワー→東急東横店東館1Fと循環する無料のシャトルバスも出ていますので、こうしたサービスを上手に利用するのも良いです。

ワンコインで楽しむ渋谷1日観光コース マップ


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前田波留代さんの最新著書

「こんなにあった!タダで楽しむ東京ライフ」
(産経新聞出版、1,575円)

東京の無料スポット214ヶ所を紹介する、使えば使うほど得する本。物価が高いと言われている東京、でもその中でとても質の高いものが、タダで提供されていることはあまり知られていません。本書では、「タダで楽しむ」という新しいライフスタイルが紹介されています。


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