BUNKA X PERSON

■インタビュー・「悩んでいるのは自分だけではない」と実感できました
・東京の人混みのなかで、時おり孤独を感じることがある
・「mixi」を通じて初めて映画に出演
・決断さえすれば新しいことを始めるのは決して難しくはない

■プロフィール青山華子さん 1986年東京都東村山市生まれ。千葉大学工学部デザイン工学科2年(現在は休学中)。子どもの頃からの夢は、「ロボットをつくること」。19歳の時にmixiをきっかけに映画『アディクトの優劣感』のオーディションを受け、200人の中から主演に抜擢される。


「mixi」を通じて初めて映画に出演

--女優の仕事を始めるまでの経緯を話していただけますか。

19歳の時、ソーシャル・ネットワーキングサイト(SNS)の『mixi』を通して、映画『アディクトの優劣感』のキャスティングをしている方からメッセージが届きました。この映画は、最初は携帯電話への配信を計画していたり、「Web2.0的な作品」を目指していて、出演者もmixiの中から探していたんですね。私の紹介文のところに、友達がふざけて「女優」という言葉を入れていたら、たまたまそれが検索に引っかかり、「オーディションを受けてみないか」と連絡をいただいたんです。そもそも女優になるつもりもありませんし自信もなかったので、最初はお断りしていましたが、何通かメールをやり取りするうちに、「オーディションを受けるだけならいいかな」と思うようになって。オーディションでは原作の好きな場面を演じるのが課題でしたが、なにしろ初めての経験でしたから、どう演じれば良いのかなんてわからない。だから本をパッと開いて、その場面を丸暗記して何とか演じました。最初はとても緊張しましたが、演じているうちになんだかテンションが上がってきて、監督やプロデューサーとも楽しくざっくばらんにお話ができました。もちろん、受かるなんて思っていませんでしたが、驚いたことに主演を任せるとの連絡が届いて…。オーディションでの演技よりは、スタッフの方と物怖じせずに話せたことなどを高く評価していただいたと、後から聞きました。

--初めての映画出演、しかも主演を務めた感想は?

原作はドラッグなどを扱っているので、内容的には過激ですが、自分でも驚くほど普通に読めました。私の演じた主人公の“ヒノコ”はとても奔放な女性ですが、その実、深く考えて行動しています。そんなところが、何事も考え過ぎてしまう私の性格に似ているなと感じました。たとえば、「死に魅せられる」という言葉。死というのは考えるほどに深遠で、怖さを感じることもありますが、誰にでも訪れるものであり、どこか惹きつけられてしまう部分がある。そのようにヒノコのセリフの意味をじっくりと考えていると、スムーズに感情移入ができて素直に役に入ることができました。撮影では、笑ったり、怒ったり、泣いたり、ほとんど素のままの自分で演じていたら、大抵は問題なくOKをいただきました。ただ、一日だけ、どうしても演じられない日があり、監督から「もっと笑って」と言われているのに、どうしても笑えない。その日は台湾で撮影していたので、日本に帰りたくてたまらなくなったことがありました。そのほか、大変だったのは技術的なこと。今、自分がカメラにどのように映っているか、といったことが全く分からず、最初はとても苦労しましたね。ただ、静止画をコマ送りのような演出で表現する「デフォメ(=デジタル・フォトメーション)」という技法で撮影したため、音声が別撮りだったのは、演技が未経験の私にはとても助かりました。

決断さえすれば新しいことを始めるのは決して難しくはない

--映画に出演して何か変わったことはありますか。

映画に出る前は、いわばどこにでもいる女子大生でした。「何かをしたい」とは思っていたけど、具体的に何をどうすればいいのかがよく分からなかった。けれど、こうやって女優としての一歩を踏み出してみると、世界がパッと広がった気がして、決断さえすれば新しいことを始めるのは決して難しくはないと思うようになりました。レールから降りて周りを見渡してみたら、それまでに思っていた以上に面白そうなことがたくさんあったというのが今の正直な気持ちです。今後、女優を続けるかどうかは、まだ決めていません。撮影は本当に楽しかったから、魅力的な企画の話をいただければ、是非、また映画にも出演してみたいと思っていますが、他の可能性も探ってみたい気もします。私は幼い頃から物を作るのが大好きで、ずっとロボットを開発したいという夢を持っていました。それで工学部のある大学を選び、デザイン系の勉強をしています。大学での勉強も好きなので、そちらも手を抜かずに頑張りたい。ですから今は、映画、ロボット、デザイン、更にそのほかの可能性を、もう少し模索してみたいと思っています。

青山さんと渋谷との出会いは?中学生の頃からよく訪れていますが、何だか派手過ぎる感じがして初めはあまり好きになれませんでした。時々、渋谷でスカウトされたこともありましたが、「何か怪しいぞ」という気もしていましたし(笑)。でも大学生になった今は、何をするのも渋谷。友達と遊ぶ時には「とりあえず渋谷で」と待ち合わせて、買い物や食事、カラオケなど、その日の気分で様々な楽しみ方をしています。今の自分にとって、渋谷は、欲しいものやしたいことが何でも揃っているというイメージ。きっと感覚的にぴったりなのでしょうね。

渋谷に望むことは?今のままで良いのですが、あえて注文をさせていただくと、街なかに「休憩室」があるといいかもしれません。遊ぶ場所は揃っていますから、ボーっと力を抜いて、何となく街全体の空気を感じられるような空間があると嬉しいですね。もう少し、道端のベンチを充実させてもらえると良いのかも。あと、何年も通っているにもかかわらず、いまだに迷ってしまうので、もっと道が分かりやすいといいな──と思いましたが、それは自分の方向音痴を直した方が良いのかもしれませんね(笑)。

今回、青山さんに鑑賞していただいた作品
「東京ソーダ水」
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プロのサックス奏者を目指す元OLや日本の伝統文化・狂言に夢中になる女子大生、自らのタレント事務所を設立したタレント兼社長など、東京在住の8人の若い女性の日常を追うドキュメンタリー。「変わりたい」という強い願望の裏側にある焦燥感や先が見えないことへの不安など、東京に生きる女性たちの「今」をリアルに照らし出す。

上映場所:UPLINK X
上映期間:2008年1月12日〜

青山さんが主演を務める作品
「アディクトの優劣感」
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自殺した恋人・由季宏のパソコンに残されていた謎のテキスト『アディクトの優劣感』を見つけた玲加。そこには、小悪魔的な魅力を放つ少女・ヒノコと出会い、セックスやドラッグへの依存を強めて無軌道な生活を送っていた由季宏の独白が延々とつづられていた。アンダーグラウンドに生きる若者たちの姿を、新感覚のデジタル映像技術「デフォメ=デジタル・フォトメーション」を駆使して描き出す。

上映場所:Q-AXシネマ
上映期間:2007年12月22日〜

アディクトの優劣感』オフィシャルサイト

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