BUNKA X PERSON

■インタビュー・あの年齢だからこその説得力を持つ歌詞に、素直に泣いちゃいました
・自分たちの世界を作り上げていこうという感性が素晴らしい
・手芸ならば面倒な過程を全部省略しても、面白いモノができる
・求めるのは技術ではなくて個性。子供のような発想が面白さを生む

■プロフィール石澤彰一さん
1963年生。文化服装学院デザイン専攻科卒業、テキスタイル企画会社勤務を経て渡仏。帰国後、フリーランスデザイナーとして数々のアパレルブランドで活躍、1998年「ウルトラ・タマ」を設立。デザイナーとして東京コレクションなどで発表。2003年「押忍!手芸部」を結成。七人の男前手芸部員を中心に活動し、年齢や性別、人種や国境を越えた、おちゃめでキュートな手芸が話題を呼ぶ。現在、ファッション+雑貨+インテリアなどのデザイン、プロデュースのほか、石澤宗彰として茶道裏千家今日庵専任講師としての一面も持つ。

世界の先頭を切って、超高齢化社会を進む現代ニッポン。どのような形で高齢者が社会参加をすればよりよい社会が築けるのか、議論は尽きません。そんな中、シネ・アミューズ・イースト&ウエストでは、平均年齢80歳のおじいちゃんとおばあちゃんたちが結成した、ロックンロール・コーラス隊を追うドキュメンタリー映画「ヤング@ハート」が公開されています。泣いて笑って感動して、生きることの喜びを教えてくれるこの作品は、アメリカでもミニシアター上映から徐々に噂が広がってロングラン大ヒットを記録しました。今回はこの作品を、日本一おちゃめな手芸部「押忍!手芸部」で部長を務める石澤彰一さんにご覧頂きました。飲み仲間を集めて部活を結成したという石澤さんは、人生の大先輩たちの元気な活動に何を思うのでしょうか?また、ファッション、雑貨などのデザイン・開発のほか、茶道裏千家専任講師としての顔を持つ石澤さんのこれまでの活動の経緯や、渋谷との関わりについてもお話を聞きました。

あの年齢だからこその説得力を持つ歌詞に、素直に泣いちゃいました

--まずはこのドキュメンタリー作品をご覧になった感想をお聞かせください。

左手で歌うのが、92歳のアイリーンさん
© 2008 Walker George Films (Young at Heart) Limited

このインタビューのお話をいただいてから、「早く観たい!」とワクワクしていました。だって、平均年齢80歳のおじいさん、おばあさんがロックを歌うドキュメンタリーでしょ。実際に観てみると、92 歳のおばあちゃんがいきなりTHE CLASHの「SHOULD I STAY OR SHOULD I GO」をシャウトしてて。ロック好きにはたまらないオープニングだと思います。その時点でノックアウトですよ。想像以上にすぐに作品の中に引きずり込まれました。

--特に印象に残ったシーンは?

刑務所でのコンサートで歌うBOB DYLAN「FOREVER YOUNG」では、画面の向こうのメンバーと一緒に手をあげちゃいました。あと、ふたりでメインボーカルを取るはずだったメンバーのうちひとりが亡くなって、もうひとりのおじいさんが歌いきるCOLD PLAYの「FIX YOU」とか、素直に泣いちゃいました。あの年齢だからこその説得力を持つ歌詞も素晴らしかった。ここ数年の中では、涙が落ちるスピードが異常に速かったし(笑)。自分が映画の中に完全に入り込んでしまう、感情移入しやすい映画でしたね。普段は「この役者演技うまいなあ」とか思いながら、結構客観的に映画を観てる方なんですけどね。

自分たちの世界を作り上げていこうという感性が素晴らしい

--ロックを歌う高齢者の姿を見て、何を感じましたか?

ワシのモノ作りの姿勢には、「絶えず次を見ていたい」という考えがあるから、過去に製作した作品に対して満足しようとしたことがまだ一度もなくて。死ぬ直前の最後の作品が、一番最高のものでありたいと思っているんです。映画の中の高齢者たちは死を覚悟しながら、最後まで最高の生き方を貫く。その姿勢には共感できました。
凄いなと思ったのは、徐々にアレンジを仕上げて歌を完成させながら、その形をちょっと崩すことで、自分たちの個性を見事に作り出していたところ。それって、モノを作る過程でも必要なことだと思う。あるおじいさんが「この歌を自分のものにしたよ」という台詞があって。オリジナルとは全然別物に聞こえてしまっても、歌える範囲で最高のパフォーマンスをするということ。それが正しい形でなくても、自分たちの世界を作り上げていこうという感性が素晴らしかったです。

--この映画を高齢化社会の中に生きる世代、また渋谷に来る若い世代に、どのように観て欲しいと思いますか?

社会全体の話までは想像できないけれど…。映画に出てくるメンバー達は、たまたま人前で歌うことで生き甲斐を見つけ、仲間も増え、強く生きている。たぶん、そういう人たちって、日本にもたくさんいるのでは?囲碁とか釣りとかね。だから、この作品は世代に関係なく薦められる映画だと思います。若い人たちは、これまで知らなかったロックの名曲に興味を持つきっかけとして観てもいいと思いますよ。
若い頃のワシは「今の自分が最高!」なんて思っていて。それが社会に出て先輩達の格好良さや凄さを見て、「大人にはかなわないな」と気づき始める。やがて自分が大人になり、あたりを見渡すと、まだ上には上がいると気づく。若い人たちは「20年そこらじゃ人間なんてまだまだ」と想像しながら観て欲しいかな。人間を80年やっているのと、20数年じゃあ、経験や知識、格好良さが全然違いますよ、やっぱり。

© 2008 Walker George Films (Young at Heart) Limited

■今回石澤さんに観て頂いた映画
「ヤング@ハート」

「ヤング@ハート」

© 2008 Walker George Films (Young at Heart) Limited

生きて!歌って!人生は素晴らしい! 世界中を飛び回る世界一いかしたロックンロール・コーラス隊は、なんと平均年齢80歳のおじいちゃんとおばあちゃんたち。彼らが年に一度のコンサートに向け2ヶ月練習を重ね、メンバーの他界など苦難を乗り越えながら舞台に立つ感動のドキュメンタリー作品。ボブ・ディランからジェームズ・ブラウン、トーキングヘッズからコールドプレイと、数々のロックの名曲が、おちゃめな老人たちの手によって甦る。英米で大きな話題を呼んだ真実の作品には、「人生85歳時代」を迎える現代社会にとって「生きていくことのヒント」が込められている。

上映場所:シネ・アミュ—ズ・イースト&ウエスト
上映期間:2008年11月8日(土)〜

トラックバック

トラックバックURL: https://www.shibuyabunka.com/trackback/culture2/21

一覧へ