BUNKA X PERSON

■インタビュー・40年前の作品にもかかわらずいま観ても全く古びていないのが不思議
・フランス人と日本人は「可愛さ」を感じるポイントが似ている
・キャッチフレーズは「みんなの心の宝箱」
・普通の音楽好きの皆さんにも一度、聴いてほしい!

■プロフィール2004年、渋谷のライブハウス・青い部屋への出演を機に結成。同年、「ぜんまい少女箱人形」でCDデビュー。渋谷のライブハウスを中心にライブ活動を行う一方、新宿・ゴールデン街に喫茶店「すみれの天窓」を経営。2007年、パリを含むフランスの3都市で初の海外ツアーを敢行。2008年、アルバムCD「天氣輪組曲」「軌道の鉱夫と双子の星」を発表。太宰治生誕100年を記念し、2009年5月公開予定の映画「斜陽」では、作中の全楽曲の制作・演奏を担当している。
黒色すみれ | OFFICIAL WEBSITE

フレンチ・ミュージカルの傑作として名高いジャック・ドゥミ監督の2作品『シェルブールの雨傘』(1964年)『ロシュフォールの恋人たち』(1967年)がデジタルリマスターでリバイバルされ、シネセゾン渋谷で上映中です(2009年3月13日まで)。今回、両作品をご覧になったのはネオクラシック・ユニットの黒色すみれのお二人。クラシックをベースにシャンソンや大正ロマンなどの要素を取り入れた独特の音楽で、日本のみならず、フランスをはじめ海外にも多くのファンを持つ彼女たち。歌や踊り、ファッション、そして明るく切ない恋模様を描いたストーリーと、今なお色あせない魅力を放つ2作品を、どのようにご覧になったのでしょうか。

40年前の作品にもかかわらずいま観ても全く古びていないのが不思議

--まずは、「ロシュフォールの恋人たち」の感想をお話ください。

© Ciné-Tamaris

(ゆか)音楽もファッションも、とにかく素敵。40年前の作品にもかかわらず、いま観ても全く古びていないのが不思議です。公開当時、カトリーヌ・ドヌーブと、実際の姉妹であるフランソワーズ・ドルレアックの共演が話題になったそうですが、二人が同じ衣装を身にまとって踊る姿は、非の打ち所がないくらい可愛い! 女性だけではなく、街を歩き回る水兵さんをはじめ、男性のファッションのカッコ良さも見どころです。

(さち)フランス映画が好きで、どちらも以前に観たことがありました。テイストが全く異なる作品ですが、どちらかというと、賑やかで明るい雰囲気の「ロシュフォールの恋人たち」が好きです。衣装や街並みをはじめ、作品全体の色づかいがとてもカラフルで楽しい気分になるので。音楽もすごく気に入っていて、私たちの経営する喫茶店「すみれの天窓」でもサントラをよく流しています。

(ゆか)ほかにもジャック・タチ監督作品をはじめ、フランス映画のサントラはよく流しますね。お客さんの反応はかなり良いです。

--「シェルブールの雨傘」はどうでしたか。

(ゆか)主演のドヌーブは、このとき、20歳ということですよね。やっぱり、フランス人は日本人より、すいぶん大人っぽい・・。とにかく、ドヌーブの演じる恋愛が可愛かったですね。恋人が軍隊に入ると聞いて、「もう生きていられない……」とか、完全に周りが見えていない感じが(笑)。逆にドヌーブの母親はさすがに女一人で娘を育てているとあって、したたかな生き方をしているのが印象的。そういう人間模様が面白い、深みのある映画でした。「人間、お金だけでは幸せになれない……」というメッセージも受け取りました(笑)。

(さち)やっぱりドヌーブの可愛さが光っていますよね。それから、全編、台詞が歌というのも新鮮。実は、ジャック・ドゥミ監督は、この作品の前に「ローラ」という映画をつくっていて、それを合わせて3部作と呼んでいます。「ローラ」は、日本では長らく非公開でしたが、つい先日、フランス大使館での初公開が決まり、嬉々として予約したところです(笑)。

フランス人と日本人は「可愛さ」を感じるポイントが似ている

--フランスと日本の文化を比べて感じることは?

写真左より、さちさん、ゆかさん

(ゆか)フランス人と日本人は、感性がかなり近いのでは。とくに、「可愛さ」を感じるポイントが。フランス映画の『アメリ』も、日本で大ヒットしましたよね。さらに、フランスの街を歩いていると、石畳が敷かれ、小さく装飾的な家が並んでいて、可愛さや温もりを感じます。逆にアメリカの街は大きな建物がでーんと建っていて、どこか私の感覚には合わない。今のところ、私たちの音楽のファンにフランス人が多いのも、やはり共通するところがあるからかもしれません。

--二つの作品は、今の日本の若者にも共感されると思いますか。

(ゆか)女の子の大多数は、「お姫様になりたい」という願望を抱いているもの(笑)。でも、幼稚園の劇でお姫様を演じられるのは一人だけ。多くの女の子はお姫様願望を表に出せず、心の奥底に眠らせていますが、とくに「ロシュフォールの恋人たち」は、そういう願望を刺激する作品だと思います。私自身、この作品を観て「すごくいい」と感じる気持ちは、やっぱりお姫様願望が源になっていますから。

(さち)ミュージカルと聞いて抵抗感があるかもしれませんが、音楽だけではなくストーリーも面白いから、あまり構えずに観てほしいですね。きっと、「こういう映画もいいな」と思ってもらえるはず。

『ロシュフォールの恋人たち』より © Ciné-Tamaris

■今回黒色すみれのお二人に観て頂いた映画
「ドゥミ×ルグラン=ミュージカル女優 ドヌーブ」

「ドゥミ×ルグラン=ミュージカル女優 ドヌーブ」

© Ciné-Tamaris, Photo © Agnes Varda

フレンチ・ミュージカルの傑作「シェルブールの雨傘」「ロシュフォールの恋人たち」の2本立て上映。ともに、映画・脚本・作詞はジャック・ドゥミ、音楽・作曲はミシェル・ルグラン、そして主演はカトリーヌ・ドヌーブ。若い二人の恋愛模様を情感ゆたかに描き、1964年カンヌ国際映画祭グランプリに輝いた「シェルブールの雨傘」、港町ロシュフォールを舞台に美しい姉妹を中心とした恋のさやあてをハッピーに描いた「ロシュフォールの恋人たち」が、今なお色あせない魅力を放つ。
上映場所:シネセゾン渋谷
上映日時:2009年1月31日〜2009年3月13日

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