芸術大国・フランスの伝統に学ぶ

中世より美術や音楽、ファッションから料理まで、さまざまな文化をリードしてきた芸術大国フランス。今でも芸術におけるパリや映画におけるカンヌなど、街そのものが文化の代名詞になっているほど、その影響力は大きい。来年には日仏交流150周年を迎え、浮世絵やマンガなど、日本の文化を好む人が多いことでもおなじみだ。大型連休を目前にして、フランス文化の一端に触れる映画や展示を紹介する。

エコール・ド・パリ(パリ派)を代表する画家、モディリアーニとその妻ジャンヌの作品約200点を展示した『モディリアーニと妻ジャンヌの物語展』や、同じくモディリアーニの生涯をたどった映画『モンパルナスの灯』では、古き良き時代のモンパルナスを偲ぶことができる。また、現代の電子音楽シーンに影響を与えた音楽ユニット、ダフト・パンクによる初監督作品『ダフト・パンク エレクトロマ』や、独特の世界観で注目を集め続ける映像作家、ミシェル・ゴンドリーの最新作『恋愛睡眠のすすめ』では、技術の発展がその領域を飛躍的に拡大した映像音楽シーンにおけるフレンチカルチャーの新しい息吹を感じられるだろう。『13/ザメッティ』『フランドル』『輝ける女たち』といった個性豊かな作品からも、映画発祥の地ならではの誇りと濃厚な思慮深さを伺わせる。この連休、今も伝統が息づくフランスの文化に学ぶことも多いだろう。

 

熱烈な支持を受ける日本の文学作品を映画で「読む」

1958年/フランス/108分/配給:セテラ・インターナショナル

タイトル:
モンパルナスの灯
開催場所:
Bunkamura ル・シネマ
開催期間:
2007年5月19日〜6月1日
監  督:
ジャック・ベッケル
出  演:
ジェラール・フィリップ、アヌーク・エーメ、リノ・ヴァンチュラ
この映画の主役として演じたモディリアーニとほぼ同じ年齢で夭逝したジェラール・フィリップ。映画の街、カンヌ出身という不世出の才能の輝きを体感できる作品。「1959年、36歳という若さでこの世を去ったフランス界を代表する二枚目俳優、ジェラール・フィリップの代表作。Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の「モディリアーニと妻ジャンヌの物語展」の開催を記念して期間限定の特別上映!!(「モディリアーニ〜」のチケット及び半券提示で割引あり)」(Bunkamura ル・シネマ/担当者)

映画『モンパルナスの灯』より

タイトル:
モディリアーニと妻ジャンヌの物語展 〜運命のアーティスト・カップル〜
開催場所:
Bunkamura ザ・ミュージアム
開催期間:
2007年4月7日〜6月3日
人  物:
アメデオ・モディリアーニ
モディリアーニ自身はイタリア人だが、創作活動の大半を過ごしたパリ・モンパルナスを代表する画家となった。活気に満ちあふれた当時のパリのアートサロンの空気を感じられる展覧会。「その短くもドラマティックな生涯と残された絵のもつ哀愁漂う魅力があいまって、モディリアーニほど私たちの興味や好奇心を駆り立てる画家もいないのではないでしょうか。いままで紹介される機会のなかった画家としての妻ジャンヌの作品にも注目です!」(Bunkamura ザ・ミュージアム/担当者)
発表当時、話題になった海外の文学作品を映画で「読む」

2005年/フランス/91分/配給:アルバトロス・フィルム

タイトル:
フランドル
開催場所:
ユーロスペース
開催期間:
2007年4月28日〜
監  督:
ブリュノ・デュモン
出  演:
アドレイド・ルルー、サミュエル・ボワダン、アンリ・クレテル、ジャン=マリ・ブルヴァール、ダヴィッド・プーラン
ファン・エイクなどが活躍したことで知られ、古くから絵画芸術が隆盛した土地、フランドルを舞台にした衝撃的な作品。「欲望や暴力、赦(ゆる)しなど人間の根源を扱った力作ですので、GWなど時間のある時にじっくり見てもらいたいです。人間描写以外に、田園の広がるフランドル地方と名もない荒廃した戦場、異なる2つの舞台の対比にも注目してみると、作品を読み解くヒントになるかもしれません。」(ユーロスペース/岡崎さん)

2006年/フランス/106分/配給:アスミック・エース/©couramiaud - horse created by Lauri Faggioni

タイトル:
恋愛睡眠のすすめ
開催場所:
シネマライズ
開催期間:
2007年4月28日〜
監  督:
ミシェル・ゴンドリー
出  演:
ガエル・ガルシア・ベルナル、シャルロット・ゲンズブール、ミュウ=ミュウ、アラン・シャバ
ビョークやケミカルブラザーズなど数々のビデオクリップを手がけ、映画『エターナル・サンシャイン』ではアカデミー賞(脚本賞)も受賞した映像作家、ミシェル・ゴンドリーの最新作。この「極上のロマンティック・ムービー」からは、現代の映像界を湧かせ続ける才能のナイーヴな感性を垣間見ることができる。

2006年/フランス/103分/配給:ムービーアイ/© 2006 SBS FILMS EDELWEISS SRL FRANCE 2 CINEMA

タイトル:
輝ける女たち
開催場所:
Bunkamura ル・シネマ
開催期間:
2007年4月14日〜
監  督:
ティエリー・クリファ
出  演:
カトリーヌ・ドヌーヴ、エマニュエル・べアール、ミュウミュウ、ジェラルディン・ぺラス
自分らしくパワフルに生きる女性たちを描いた元気の出るヒューマンドラマ。フランスを代表する大女優の共演が新鋭監督の世界を引き立てている。華麗かつゴージャスなレビューダンス、そして60〜80年代をにぎわせた名曲が満載だ。

2005年/フランス/配給:エイベックス・エンタテインメント+ロングライド/© 2005 LES FILMS DE LA STRADA - QUASAR PICTURES - SOLIMANE PRODUCTIONS -MK2

タイトル:
13/ザメッティ
開催場所:
シネセゾン渋谷
開催期間:
2007年4月28日〜
監  督:
ゲラ・バブルアニ
出  演:
ギオルギ・バブルアニ、オーレリアン・ルコワン、パスカル・ボンガール
静かなトーンとスタイリッシュな映像で緊張感のある新感覚のフランス映画。モノクロの映像と犯罪の匂いを連想させるシチュエーションなどからは、フレンチ・フィルム・ノワールの影響も感じさせる。ハリウッドでのリメイクも決まり、口コミでの評判が高い作品。

2006年/イギリス/74分/配給:エイベックス・エンタテインメント+ロングライド

タイトル:
ダフト・パンク エレクトロマ
開催場所:
シネマライズ
開催期間:
2007年4月28日〜
監  督:
ダフト・パンク(トーマ・バンガル+ギ=マニュエル)
出  演:
ダフト・パンク(トーマ・バンガル+ギ=マニュエル)
フレンチハウスを代表するユニット、ダフト・パンクの初監督作品は、「映画的引用(サンプリング)の豊かさと、その音楽に共通するストーリーの深淵を意識させる」というもの。自らのPVに松本零士やミシェル・ゴンドリーを起用した独特の映像センスが映画にどう生かされているのかが気になるところだ。

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