一筋縄ではいかない日本の「笑える?」系映画

現在、UPLINK FACTORYで特集上映「第2回ガンダーラ映画祭『美しい国へ』」が開催されている。『リンダ リンダ リンダ』などで知られ、”最も期待される若手監督”と評されることの多い山下敦弘監督や『オトシモノ』の古澤健監督といった、第一線で活躍する映画監督から現代美術家・会田誠など、個性豊かな作家による11本のドキュメンタリー映画を集めた自主上映イベントだ。決して万人受けのする口当たりのいい作品ばかりではないが、それぞれどこかユーモアが漂い、シニカルな視点や毒を含んだ社会風刺など、これぞ「笑い」の本質とも言える作品の揃った意欲的な特集上映となっている。

「笑い」をテーマにした邦画といえば、数多くの雑誌やワイドショーがこぞって特集を組んだ、松本人志第一回監督作品『大日本人』と北野武監督による『監督・ばんざい!』。どちらも同じ日に公開され、その作風やカンヌ映画祭での評価が大きな注目を集めたのは記憶に新しい。また、宮藤官九郎・阿部サダヲの名コンビによる『舞妓Haaaan!!!』も公開されている。安心して楽しめる「笑い」もあれば、何が飛び出すかわからない「笑い」、シュールで理解するのが困難な「笑い」もある。現在、渋谷では、じめじめした梅雨の天気や格差社会を痛烈に笑い飛ばす、様々な形の「笑い」を堪能できる映画が用意されている。

 

タイトル:
第2回ガンダーラ映画祭『美しい国へ』
上映場所:
UPLINK FACTORY
上映期間:
2007年6月18日〜7月1日
監  督:
【Aプログラム】山下敦弘&向井康介、岡田裕子、しまだゆきやす
【Bプログラム】古澤健、松江哲明、村上賢司
【Cプログラム】会田誠、K.K.
【Dプログラム】松江哲明、山下敦弘、しまだゆきやす

今年3月、東京と大阪で同時開催され、オフシアター上映にも関わらず1000人以上の入場者を動員して驚異的な話題となったプロの映画作家による自主上映イベント〈ガンダーラ映画祭〉。第2回目となる今回のテーマは、ズバリ「美しい国へ」! 参加作家には『松ヶ根乱射事件』『天然コケッコー』監督の山下敦弘、『オトシモノ』監督の古澤健、現代美術界の奇才・会田誠、同じく美術家の岡田裕子、TVドラマ「怪奇大家族」監督の村上賢司、『あんにょんキムチ』作者の松江哲明など。また幻の作品と呼ばれる『ワラッテイイトモ、』(K.K.作)や前回の〈第1回ガンダーラ映画祭〉傑作選も同時上映! さあ、あなたも一緒にガンダーラへと旅立とう!

「『ガンダーラ映画祭〜美しい国へ』チラシのソックリさんは、実は美術家の会田誠さんですが、現実のアベ内閣は支持率急降下でこっちまで悪いイメージに見られてハタ迷惑してます。おいシンゾー、総辞職して責任取れよ!もちろん『ガンダーラ映画祭』は庶民の味方ですから!!!」(『ガンダーラ映画祭』プロデューサー・しまだゆきやす)

タイトル:
パリ、テキサス、守口(第2回ガンダーラ映画祭出品作品)
上映場所:
UPLINK FACTORY
上映期間:
上映時間の詳細は劇場までお問い合わせ
監  督:
山下敦弘&向井康介
出  演:
富岡邦彦、守口商店街のみなさん
『松ヶ根乱射事件』などの人気監督・山下敦弘のプロフィールからある作品の名前が消えた! 幻の地域コミュニティ映画『よっちゃん』とは? 監督と脚本家のコンビ自らが封印作品の謎を探る旅に出る。「独特の乾いた間の取り方から”日本のジム・ジャームッシュ”との呼び声もある山下監督によるセルフドキュメント。自ら『映画監督としてことごとく失敗してる』と語る、幻の作品がどのようにして作られたのか、その『守口市に飲み込まれていく』驚きの過程がたっぷり味わえます。」(編集部)
タイトル:
会田誠のおたのしみ箱(第2回ガンダーラ映画祭出品作品)
上映場所:
UPLINK FACTORY
上映期間:
上映時間の詳細は劇場までお問い合わせ
監  督:
会田誠
出  演:
会田誠
『日本に潜伏中のビン・ラディンと名乗る男からのビデオ』といった作品も発表する奇才・会田誠による本作は、“ふつう研究所”所長の遠藤一郎とのコラボレーション。現代アートに対する一撃となるか?
タイトル:
ワラッテイイトモ、(第2回ガンダーラ映画祭出品作品)
上映場所:
UPLINK FACTORY
上映期間:
上映時間の詳細は劇場までお問い合わせ
監  督:
K.K.
出  演:
K.K.
「これは日記です。この映像は私が八王子で、ひとり引きこもっていた頃の記録です。毎日くり返されるテレビ映像を自分と現実をつなぐ唯一の媒介物として、それを無意味に再生産してみました」(K.K.談)「2003年の『キリンアートアワード』で審査員特別優秀賞を受賞しながら自主規制され、当時の美術界の話題をさらった問題作。上映される機会自体が稀なこの作品を見逃すのは勿体ない。マッカーサー元帥がお昼の顔とシンクロする映像は必見です!」(編集部)

映画『大日本人』より

©2007 YOSHIMOTO KOGYO CO LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

タイトル:
大日本人
上映場所:
Q-AXシネマ
上映期間:
2007年6月1日〜
監  督:
松本人志
出  演:
竹内力、UA、神木隆之介、板尾創路
第60回カンヌ国際映画祭“監督週間”部門に正式招待された、松本人志第1回監督作品「大日本人」。「映画は撮らない、と公言していた松本人志の監督作品は、随所に『ごっつええ感じ』や『頭頭』を思い出すようなシーンもあり、これまでのあらゆるテイストを詰め込んだ感があります。素顔とともに垣間見える『大日本人』像に松本流の笑いの根底に流れる哀愁と強烈なユーモアが感じられる一本。」(編集部)

©2007 バンダイビジュアル・TOKYO FM・電通・テレビ朝日/オフィス北野

タイトル:
監督・ばんざい!
上映場所:
シネセゾン渋谷
上映期間:
2007年6月1日〜
監  督:
北野武
出  演:
ビートたけし、江守徹、岸本加世子、鈴木杏、吉行和子、宝田明、藤田弓子、内田有紀、木村佳乃、松坂慶子
物語はギャング映画がお得意のキタノ・タケシ監督(ビートたけし)が自ら暴力映画封印宣言をしたことから始まる。なんとかヒット作を!という使命を背負い、あらゆるジャンルの作品を手がけるキタノ監督。どれもこれもギャング映画専門監督とは思えない出色の出来なのだが、ぶっとびすぎて完成は程遠い。追い詰められたキタノ監督は、ついに詐欺師の母娘と実直な男を主人公にした映画の撮影に漕ぎ着けるものの、その先には誰も予想の出来ない運命が待ち受けていた・・・と、全てにおいて唖然とする内容。

©2007 「舞妓Haaaan!!!」製作委員会

タイトル:
舞妓Haaaan!!!
上映場所:
渋東シネタワー
上映期間:
2007年6月16日〜
監  督:
水田伸生
出  演:
阿部サダヲ、堤真一、柴咲コウ、小出早織、京野ことみ、キムラ緑子、大倉孝二、生瀬勝久、真矢みき、木場勝己、吉行和子、伊東四朗
男の究極の夢。それは《舞妓はんとの野球拳!!》鬼塚公彦(阿部サダヲ)は東京の食品会社で働く平凡なサラリーマン。ただひとつ異なるのは熱狂的な舞妓ファンということ。なけなしの給料で京都に通い、舞妓の写真を撮っては、舞妓を応援するホームページまで作成している。しかし舞妓と遊ぶための店“お茶屋”の暖簾をくぐったことは……まだない。

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