地球を知り、身近な環境を考える

「主演 地球、46億歳─。」というキャッチコピーが印象的なドキュメンタリー『アース Earth』が、現在、渋谷TOEI2で上映されている。映画『ディープ・ブルー』やNHKスペシャル『プラネット・アース』を手掛けたスタッフが制作に5年の歳月をかけ、最新鋭の機材で撮影したダイナミックな光景は、驚くべき生態系を見せてくれる奇跡的な映像であるとともに、我々が住む地球という惑星の日常の記録でもある。

LOGOS GALLERYで開催されている『アンティーク・ボタニカルアートと博物画古書展』は、植物の細密画で知られるボタニカル・アートのコレクション展。1800年代に刊行された図鑑など、当時最高峰の手彩色技術で描かれた植物の宇宙に魅せられることだろう。ユーロスペースで上映中の『ファーストフード・ネイション』は、ファーストフード業界の内実を通して「食」を取り巻く状況のある一面を描いている。フィクション作品ではあるが、「食べる」ことは生き物としての本能的な行為であるだけに見過ごせないテーマである。UPLINK FACTORYで定期的に行われているイベント『FORESTATION Vol.18』では、トークやライブなどを通じて世界規模での環境問題や社会問題について考えるというもの。地球を巡る様々な現象を映画やイベントを通じて感じることで、身近な環境や社会の在り方について考えるきっかけになるだろう。

タイトル:
アース Earth
上映場所:
渋谷TOEI2
上映期間:
2008年2月23日〜2008年3月7日
監  督:
アラステア・フォザーギル、マーク・リンフィールド
出  演:
地球上に生きる生き物たち

大ヒット海洋ドキュメンタリー『ディープ・ブルー』、NHKで驚異的な視聴率をたたき出した『プラネット・アース』のスタッフが送る、かつてない生命(いのち)の旅。 氷の大地から、熱帯の森、深海にまでおよぶ壮大な旅路をナビゲートするのは、ホッキョクグマ、ゾウ、そしてザトウクジラの親子たち。 彼らの物語は、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団のフルオーケストラに乗せて、ドラマティックに紡がれてゆく。 制作5年、撮影日数のべ2000日、ロケ地全世界200ヶ所以上。 世界に数台しかない防振装置、一秒間に千コマの撮影ができる超ハイスピードカメラなどの最新機材を、過酷な野外ロケ地に惜しみなく投入することで捕らえられた"奇跡の瞬間"の数々。

「これまでにカメラに収められたことのない、地球上で最も美しいものを目にするこれが最後のチャンスである。」(アラステア・フォーザギル/監督)

「アース Earth」より
©BBC WORLDWIDE LTD. 2007

〔左〕『メディカル・ボタニー』 ウィリアム・ウッドヴィル 銅版画手彩色 1792年ロンドン刊行 Rosa centifolia ケンティフォーリア サワビー画
〔右〕『薬草植物誌』 ヨハン・ゾーン 銅版画手彩色 1779年ドイツ ニュールンベルグ刊行 Rosa centifolia ケンティフォーリア

タイトル:
アンティーク・ボタニカルアートと博物画古書展
開催場所:
LOGOS GALLERY
開催期間:
2008年2月28日〜2008年3月12日

もともとは近代ヨーロッパで博物学者たちによって刊行された図鑑の図譜である博物画は、美しい細密画に鮮やかな手彩色が施されたものが多く、観るものを惹きつける。幻の手彩色古書といわれるソーントンの『フローラの神殿』、P=J・ルドゥーテの『バラ図譜』を展示するほか、1800年代刊行を中心とする保存状態のいい美しいアンティーク・ブックを多数展示販売する。また、豪華なボタニカル・アート(植物細密画)の傑作のほか、服飾コスチューム(舞台や舞踏)、鳥類、哺乳類、昆虫類、海洋生物類などの手彩色博物画図譜や、銅版画全盛期に制作された無彩色の版画(肖像画、旅行記など)を展示販売する。

タイトル:
ファーストフード・ネイション
上映場所:
ユーロスペース
上映期間:
2008年2月16日〜
監  督:
リチャード・リンクレイター
出  演:
グレッグ・キニア、イーサン・ホーク、アヴリル・ラヴィーン、カタリーナ・サンディ・モレノ、パトリシア・アークエット、クリス・クリストファーソン、ルー・テイラー・プッチ

利潤の追求に専心するハンバーガー・チェーン“ミッキーズ”の本社幹部。劣悪な労働条件の下、下請けの精肉工場で酷使されるメキシコからの不法移民。店舗で、時給を稼ぐために勤務時間をやり過ごす、無気力な学生アルバイト。交わることのなかった三者三様の日常が、“牛肉パテへの大腸菌混入”という事実発覚によって交わり、やがて“食の安全性”、“格差社会”、“環境破壊”…、アメリカだけの問題に留まらない、現代社会の病巣が炙り出されていく。

「鬼才リチャード・リンクレイターが、全米で波紋を巻き起こしたベストセラーノンフィクション『ファーストフードが世界を食いつくす』をドラマ映画化! 日本でもギョーザ事件や食品偽装問題など、毎日報道され続ける食の問題。本作を通して、食の安全性についてじっくり考える機会を作ってみませんか?」(トランスフォーマー 制作・宣伝/小川さん)

「ファーストフード・ネイション」より
©2006 RPC Coyote,Inc.

タイトル:
FORESTATION Vol.18
開催場所:
UPLINK FACTORY
開催期間:
2008年3月15日

ソーシャルデザイナーの松田創が中心となって、環境活動の新しい形をプレゼンテーションするイベント『フォレステーション』の第18回目を開催。今のところテーマはまだ未定だが、これまでに「東京からアフリカへ」「残された時間」「お金」「土を食べる」など、様々な社会的な問題を取り上げてきたほか、ノイズミュージシャンのMERZBOW(秋田昌美)などを招いてのライブなども行っている。

「『FORESTAION』は、パフォーマンス・PR・コミュニケーションの場です。毎回ゲストとして、地に足の着いた活動を展開する方々を招き、良質なアート/文化/環境/学術/経済を融合し、具体的な行動を起こす為の、きっかけ作りとなるプレゼンテーションを行います。また、独自のプログラムのひとつとして「来場者1人につき一本の木を植える」(森の再生活動)など、具体的な効果を社会にもたらすカタリスト(きっかけ)としても機能します。」(UPLINKサイトより)

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