レコメンド 今週、編集室が推薦するカルチャー

「カンフー」とは、中国伝統武術の1つである「少林拳」の日本やアメリカでの愛称である。伝統武術が現在のように日本に広く知られるようになったのは、1973年に公開されたブルース・リーの傑作『燃えよドラゴン』が始まり。ブルース・リーの特徴は、肉体を酷使した少林拳のストイックなアクションで、1970年代の初頭には、そんな少林拳の独特なアクションスタイルが「カンフー映画」というジャンルものとして、一気に世界に広がっていった。以降、華やかな舞台に派手なアクションで魅せるジャッキー・チェン、カンフーに特殊映像技術を組み合わせ、現実にはあり得ない展開を楽しむチャウ・シンチーと、カンフー映画はヒーローをつとめる男たちの豊かな才能に恵まれて、今に続いている。

さて、2008年は、北京オリンピックを控えて、4月の初めから夏にかけて、渋谷でもカンフー映画が続々と公開されている。少林卓球をテーマにしたスポ根コメディ『燃えよ!ピンポン』や、中国・少林寺の天才少年チャン・チュワンが、泉ピン子と共演することで話題になった『カンフーくん』から始まったカンフー映画のムーブメントだが、現在公開中、また今後公開予定の作品について、とくにチャウ・シンチーの活躍には驚かされる。

渋東シネタワーでは、6月6日まで、『少林少女』が公開中である。本作は、「踊る大捜査線」の本広克行監督と亀山千広プロデューサーが、チャウ・シンチーと共同製作した作品である。主演は、『どろろ』ではアクションに、『舞妓Haaaan!!!』ではコメディに挑戦した柴咲コウ。今回のテーマはスポ根だが、本作のカンフーシーンに向けて、1年の修行を行ったという彼女の本気のアクションシーンに注目だ。

©2008「少林少女」製作委員会

タイトル:
少林少女
開催場所:
渋東シネタワー
開催期間:
2008年4月26日〜2008年6月6日
10:50/13:15/15:40/18:05
監  督:
本広克行
出  演:
柴咲コウ
仲村トオル
キティ・チャン
岡村隆史
江口洋介
ラム・ツィー・チョン
ティン・カイ・マン

6月28日には、チャウ・シンチー監督・出演の最新作『ミラクル7号』が、シアターN渋谷にて公開を控えている。今回は『ET』をモチーフとしたSFカンフーで、チャウ・シンチーの息子役として主演を務めたシュー・チャオは、なんと9歳の少女である。シンチーが養子に迎えるまで惚れ込んだという天才子役の才能は、必見だ。

©2008 Sony Pictures Entertainment(J) Inc. All Rights Reserved. © 2008 Sony Pictures Digital. All Rights Reserved.

タイトル:
ミラクル7号
開催場所:
シアターN渋谷
開催期間:
2008年6月28日〜
監  督:
チャウ・シンチー
出  演:
シュー・チャオ
チャウ・シンチー
キティ・チャン
リー・ションチン
フォン・ミンハン
フアン・レイ

そして『ミラクル7号』と同じ6月28日から、同会場シアターN渋谷にて公開が予定されているのが、『香港レジェンド・シネマ・フェスティバル』である。こちらは、世界的な人気を誇るジョニー・トー監督による1990年代カンフーアクションの傑作『裸足のクンフーファイター』や、チャウ・シンチー幻の作品の1本『チャウ・シンチーのゴーストバスター』など、世界的に有名な作品でありながら、いまだ日本で知られていない伝説的な作品合計13作品が、一挙に上映される予定。カンフー映画のブームと言えど、過去の幻の名作をスクリーンで観られる貴重な機会は、映画館の街渋谷の底力である。

『裸足のクンフーファイター』©2008 CELESTIAL PICTURES LTD.All Rights Reserved.

タイトル:
香港レジェンド・シネマ・フェスティバル
開催場所:
シアターN渋谷
開催期間:
2008年6月28日〜2008年7月4日
11:00/13:00/15:00
17:00/19:00/21:00
監  督:
ジョニー・トー、他

2008年は、北京オリンピックの年であり、いろんな意味で中国がクローズアップされています。中でも“東洋のハリウッド”と呼ばれた香港映画は世界中で知られ、その中には今だ日本で紹介されていない伝説的な作品も数多くあります。そこでこの機会に、1970〜90年代を飾った、日本で未公開の伝説的な香港映画13本を集 めたのが、今回の上映イベントです。クンフー、カルト、武侠、ラブストーリー、これを見れば、香港映画の面白さを体感することができます。
<香港レジェンド・シネマ・フェスティバル実行委員会・筒井 修>


その他にも、現在シアターN渋谷にて公開中の『少林老女』、7月26日から渋谷ピカデリーでの公開を控えている『カンフー・パンダ』、8月中旬、アミューズCQNで公開予定の『カンフー・ダンク!』と、続々とカンフー映画が続く。
今回の「カンフー映画」の連続上映の背景には、北京オリンピックへ向けて徐々に盛り上がる中国の熱気が感じられる。これからは、外の気温もグングン上がってくる。そんなエネルギーの高まりを、カンフー映画で思いっきり発散させるのも気持ちいい。片手にはビールをお供にして。


『残酷復讐拳』より©2008 CELESTIAL PICTURES LTD.All Rights Reserved.


●渋谷で公開されるその他のカンフー映画


©2008「少林老女」製作委員会

タイトル:
少林老女
開催場所:
シアターN渋谷
開催期間:
2008年5月24日〜2008年6月27日
5/24〜5/30 21:20
5/31〜6/27 11:15/21:20
監  督:
寺内康太郎
出  演:
浅見千代子
上島竜平
長澤奈央
仙波和之

5月24日からは、『少林老女』が公開を開始している。『少林少女』を意識させるタイトルだが、内容は全く別もので、こちらは「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」に出演した浅見千代子をヒロインに迎えてのコメディだ。「ひざが曲げられないので、激しいアクションは無理」という浅見を主役に抜擢されたというエピソードには思わず言葉を失うが、ここは割り切って「アクションシーンのないカンフー映画って?」という気持ちで望めば、思わぬ楽しみが待っているかもしれない。

 

タイトル:
カンフー・ダンク!
開催場所:
アミューズCQN
開催期間:
2008年8月16日〜
監  督:
チュー・イェンピン
出  演:
ジェイ・チョウ
シャーリーン・チョイ
チェン・ボーリン
エリック・ツァン
ン・マンタ
アンソニー・ウォン

北京オリンピックど真ん中の8月中旬、アミューズCQNでは、『カンフー・ダンク!』が公開予定である。本作の主演は、ジェイ・チョウ。彼は、中国の若者を中心に絶大な人気を誇る歌手であり、作曲、プロデューサー業にまで、多彩な才能を発揮する。日本ではまだまだなじみの薄い彼だが、『ハリー・ポッター』や『ロード・オブ・ザ・リング』を手がけたTecnicolor Moving Entertainmentの特殊効果と合わさり、どのようなアクションを披露してくれるのか、彼の魅力を探ってみたい。

©2008 DreamWorks Animation L.L.C. All Rights Reserved.

タイトル:
カンフー・パンダ
開催場所:
渋谷ピカデリー
開催期間:
2008年5月10日〜
9:50/12:30/15:10/17:50/20:30
監  督:
マーク・オズボーン
ジョン・スティーブンソン
声の出演:
ジャック・ブラック
ジャッキー・チェン
ダスティン・ホフマン
ルーシー・リュー
イアン・マクシェーン
アンジェリーナ・ジョリー

7月26日からは渋谷ピカデリーで『カンフー・パンダ』が公開を控えている。こちらはドリームワークスのアニメーションで、主演を務めるのは、ぐうたらなパンダ、ポー。人間の身体の限界ぎりぎりのアクションが見所のカンフー映画だが、ぶつかり合う肉感が、パンダのアニメーションでどこまでリアルに表現されているのか、見所は満載。『シュレック』や、『シャークテイル』など、数々の動物アニメを実現して来たドリームワークスの実力に期待したい。

横浜中華街にて2月8日の春節パレードに参加したポー
©2008 DreamWorks Animation L.L.C. All Rights Reserved.


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