レコメンド 今週、編集室が推薦するカルチャー

「文化の日」を迎え、全国の地方都市では様々な年中行事が相次ぐ。地域の「文化祭」のお知らせが掲示板などに張り出され、「芸術の秋」の深まりを感じている人も多いのでは?
渋谷は一年を通して多くの人々が訪れ、ショッピングや通勤などで往来する通行量は世界でも有数のエリア。確かにたくさんの人々に利用されるものの、地元意識は低く、商店街や地域の人びとが一致団結した「お祭り」や「文化行事」とは無縁の場所のように感じている人がきっと多いはず。でも、よく考えてみれば、渋谷には映画館やライブハウス、ギャラリーなど数多くの文化施設が密集し、ミュージシャンやアーティスト、デザイナーなどクリエイティブな仕事に従事する人々が最前線で日々活躍を続けています。いわば、「渋谷」は文化的な人材がとても豊富なエリアと言えるわけです。もし、そんな才能豊かな彼らがそれぞれの力を発揮したら、一体どんな「発表会」や「お祭り」になるのか?想像するだけでも、その凄さや質の高さが分かるでしょう。
現在渋谷エリアでは、多くのジャンルに散らばったカルチャーを1つにまとめ、地域のカルチャーとして知ってもらおう、という試みが多数進行中です。今回はその中から、27のライブハウスの協力を得て展開する「第4回渋谷音楽祭」、地域とアーティストがコラボするパブリックアート展「代官山インスタレーション2009」、多ジャンルの表現活動が一堂に会する「渋谷芸術祭」を紹介します。
音楽、アート、ファッションなどを通して見えてくる「渋谷」の魅力を感じてみては?

街カルチャー×27のライブハウスが協力する野外ライブ

タイトル
第4回渋谷音楽祭
中央会場
11月7日 C.C.Lemonホール
サブ会場
11月7日 マルイシティ渋谷1階プラザ、渋谷マークシティ・イーストモール1階、渋谷駅東口跨道橋
11月8日 SHIBUYA109前、道玄坂通り、文化村通り
開催日時
2009年11月7日〜2009年11月8日
開催時間
会場により異なる(中央会場は15時開場、15時30分開演)
料  金
中央会場のみ当日一般=2,500円

第4回渋谷音楽祭

昨年の「第3回渋谷音楽祭」より、C.C.Lemonホール会場風景


C.C.Lemonホール、 SHIBUYA109前、道玄坂通りなど計7カ所を拠点にライブ演奏を繰り広げる「第4回渋谷音楽祭」が、11月7・8日の2日間に開催される。主催はNPO法人「渋谷駅周辺地区まちづくり協議会」。同イベントは渋谷に点在するライブハウス27店舗が一堂に協力する点が大きな特徴の1つで、期間中は「La.mama」「チェルシーホテル」「shibuya eggman」などのライブハウスが推薦する、幅広い音楽ジャンルからの若手アマチュア・ミュージシャンらがフリーライブ(C.C.Lemonホールのみ有料)を一挙に展開する。
「渋谷PLUG」が推薦するブラックミュージックをルーツにした暖かみのあるPOPSボーカル「Capsulenote」や、「渋谷LUSH」が推薦するピアノ弾き語りの日下奈央美さんなど多彩なアマチュアミュージシャンのほか、C.C.Lemonホールでは、フラッグアーティストとして渡辺美里さん、鳥山雄司さんも参加。
街の各所が屋外ライブハウスとなる2日間に、音楽の持つエネルギーを改めて感じてみて欲しい。

街カルチャー×地域とアーティストがコラボ

タイトル
代官山インスタレーション2009
中央会場
代官山ヒルサイドテラスを中心に
旧山手通り、八幡通り、中目黒周辺
開催日時
2009年11月1日〜2009年11月23日
開催時間
会場により異なる
審 査 員
槇文彦(建築家)、
中原佑介(美術評論家)、
川俣正(アーティスト)

代官山インスタレーション2009

小林祐 + 小林麻梨菜「代官山ローム層」(中目黒GT広場階段)


代官山では現在、2年に一度のパブリックアートの祭典「代官山インスタレーション2009」を開催中。同イベントは、ヒルサイドテラスに事務所を構え「越後妻有アートトリエンナーレ」などで知られるアートディレクターの北川フラムさんが代表となって、代官山の街並みに3週間の会期中インスタレーション作品を設置するもの。作品は、建築家の槇文彦さんなど国際的に活躍する3人の審査員が、「場所の特性を生かしながら個性を発揮すること」などを基準に国内外の応募から約10プランを選定し、制作費(上限あり)を授与して制作された。
旧山手通りや八幡通り、中目黒周辺の10カ所に並ぶのは、街のたまり場のフリースペースを綿状の繊維による囲いで覆うことで可視化した「モクモクモク-3週間分のケンチク-」(ハリウッドランチマーケット・フリースペース、石川智行+天野由佳)や、ヒルサイドテラスのガラスのファサードを挟み、建物の中と道路にひと続きのベンチを設置した「縫合」(ヒルサイドテラスF棟、佐々木尚之)など。
中目黒から代官山、一帯を街を散歩しながら、作品を通して代官山の新たな一面を再発見したい。

街カルチャー×多ジャンルの表現活動が一堂に

タイトル
渋谷芸術祭
会  場
渋谷駅西口ハチ公広場(旧東急電車、通称・青ガエル)
マルイシティ渋谷1Fプラザ
渋谷マークシティ
開催日時
2009年11月21日〜2009年11月23日
開催時間
会場により異なる


渋谷芸術祭

KOMPOSITIONが開催する「リーガルウォール」の制作風景


11月21日・22日・23日の3日間は、渋谷3カ所を主な拠点にアートから映像・ファッション・パフォーマンスなど多ジャンルの表現活動を一挙に紹介する複合イベント「渋谷芸術祭」が初開催。渋谷の商店街や学校・企業などが共催する同イベントは、渋谷に映画館、劇場、ライブハウス、文化教育機関に加え、アート・ファッション・映像等の活動拠点が集積することから、多岐に渡る各活動1つ1つをイベントを通して結びつけ、渋谷の「芸術」と称して紹介するもの。
第一回となる今回のテーマは「若者とアート」。会期中は、近隣学生やアーティスト、クリエーターらが参加する展示・ライブ・パフォーマンスなど多彩なイベントが複合展開する。ハチ公広場の旧東急電車(通称:青ガエル)では、渋谷の住人や遊びにきた人、渋谷区長らが「渋谷」ヘ向けて送るビデオメッセージ「シブレター」や、渋谷をテーマに撮りおろした短編サイレントフィルム「Roadside」などを上映(連日11:00-18:00)。マルイシティ渋谷1FプラザではKOMPOSITIONによるライブペインティング(21日11:30-13:30/15:30-18:00)、日比野克彦さんによるフラッグを使ったアートパフォーマンス(22日11:00-17:00)なども行われる。また渋谷マークシティ神宮通り上空通路では近隣の服飾専門学校の学生らによるファッション展示も予定(連日7:00-23:00)。
多種多様なイベントが一堂に会する渋谷イベントとして、今後の成長にも注目していきたい。


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