レコメンド 今週、編集室が推薦するカルチャー

渋谷では6月14日の梅雨入り以来、雨天と晴天が入り混じる不安定な天気が続いている。スーパーではトマトやナスなどの夏野菜が棚を彩り始めているが、どんよりとした分厚い雨雲を見る限り、夏の到来まではもう少し、といった印象だ。今回は、そんなジメジメした梅雨の気分をスカッと吹き飛ばす映画群をピックアップ。
「酔っぱらい」をテーマに先日上映がスタートした話題のコメディ「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」、人情味豊かな和製喜劇を堪能する上映会「前田陽一の世界」、いかにも「ベタ」な展開が見どころのインディーズラブコメ「ハッピーエンド」の3タイトルだ。映画館で雨空をしのぎながら、笑って夏本番に備えたい。

コメディ×酔っ払い男たち

タイトル
ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い
上映場所
シネセゾン渋谷
上映期間
2010年7月3日〜
上映時間
〜7/16(金)
11:50/14:10/16:30
/18:50/21:05
※7/17(土)以降の上映スケジュールは劇場まで
監  督
トッド・フィリップス
出  演
ラッドリー・クーパー、エド・ヘルムズ、ザック・ガリフィアナキス、ヘザー・グラハム、ジャスティン・バーサ

ハングオーバー!

2009年/アメリカ/100分/配給:ワーナー・ブラザース/R15+指定作品/©2008 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.


「シネセゾン渋谷」では7月3日から、全米コメディ映画史上歴代興行収入No.1に輝いた話題作「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」が公開されてる。物語は、ラスベガスを舞台に、悪友4人が酔ってバカ騒ぎした翌朝目覚めると、友達がひとり行方不明になっている、という設定でスタート。いったい彼に何が起こったのかを考えてみても、仲間たちの誰も、まるきり思い出せない。いなくなった友人は結婚式を明日に控えており、婚約者からは頻繁に電話がかかってくる。彼女に内緒にしたまま、24時間以内に花ムコを無事探し出し、結婚式に連れて行くことはできるのか?有名スターを使わず、メジャー系では比較的低予算の3500万ドルで製作された同作は、公開初週末に堂々首位を獲得。口コミが広がりついには全米の歴代コメディ映画史上最高額の興収、2億7700万ドルを達成するに至った。
たっぷりの笑いの合間にスリルと友情を散りばめながら展開する話題のドタバタコメディに、お腹を抱えて笑いたい。

コメディ×昭和の庶民喜劇

タイトル
前田陽一の世界
上映場所
シネマヴェーラ渋谷
上映期間
2010年7月10日〜2010年7月30日
上映時間
上映時間の詳細は劇場までお問い合わせ下さい
監  督
前田陽一
上映作品
『進め!ジャガーズ 敵前上陸』『虹をわたって』『にっぽんぱらだいす』『涙にさよならを』『ちんころ海女っこ』『スチャラカ社員』『濡れた逢びき』『七つの顔の女』『喜劇 右向けェ左!』『喜劇 猪突猛進せよ!!』『喜劇 昨日の敵は今日も敵』 『喜劇 命のお値段』『起きて転んでまた起きて』『喜劇 男の子守唄』『喜劇 日本列島震度0』『三億円をつかまえろ』『喜劇 大誘拐』『神様のくれた赤ん坊』

前田陽一の世界

画像=『喜劇 右向けェ左!』


渋谷唯一の名画座「シネマヴェーラ渋谷」が特集するのは、山田洋次、森崎東とともに松竹喜劇を復活させたとされる前田陽一監督。1934年生まれ兵庫県出身の前田監督は、1958年に早稲田大学を卒業し、松竹大船撮影所に入社。吉田喜重監督、渋谷実監督らに師事し、1964年に「にっぽん・ぱらだいす」で監督デビューを果たした。以降、喜劇映画を中心に監督を務め、作風はヌーベル・ヴァーグと渋谷監督ゆずりの反骨的喜劇精神が特徴とされる。今回の特集では、天地真理主演のアイドル歌謡映画でありながら、ドヤ舟の住人たちの強烈な存在感が光る代表作「虹をわたって」(1972年)、堺正章となべおさみのコンビ主演したドタバタ喜劇「喜劇 右向けェ左!」(1970年)、焼け跡世代の心情を切なく綴った喜劇「喜劇 男の子守唄」(1972年)など、ソフト化されていない作品も含めた18作品を一挙に上映。
庶民が力強く活躍する人情味溢れる松竹喜劇に、時代を超えた元気と勇気をもらいたい。

コメディ×ベタラブコメ

タイトル
ハッピーエンド
上映場所
UPLINK X
上映期間
2010年6月26日〜
上映時間
〜7/23(金)
15:00/18:50
7/24(土)〜
17:00
監  督
山田篤宏
出  演
菜葉菜、長谷川朝晴、河合龍之介、中村麻美、広田レオナ、松沢傑、黒田としえ、福田らん、隼人

ハッピーエンド

2008YMFスカラシップ作品/90分/配給・宣伝:「ハッピーエンド」上映を支援する会


「アップリンクX」では、映画オタクが主人公のラブコメディ「ハッピーエンド」が公開中。メガホンを取ったのは、ニューヨーク大学で映画を学び、在米中に製作した短編が山形国際ムービーフェスティバル(以下、YMF)でグランプリを受賞した若手監督山田篤宏さん。同作は、YMFのスカラシップ作品として製作された。主人公はラブコメ嫌いの映画オタク・桃子。作中では、レンタルビデオ屋で映画をレンタルしては観るという桃子の日常に、突然「ラブコメ」的なハプニングが続々と展開していく。ハプニングのネタ元は「ノッティング・ヒルの恋人」「めぐり逢えたら」など、これまでに誕生したラブコメディ映画20タイトル以上。同作はそれらを徹底的に「愛情をもってネタにする」というスタイルで、映画史上「最もベタ」なラブコメディに仕上げた意欲作だ。ハリウッドでもリメイクの協議が進行中。今後が期待される気鋭監督の初長編としても注目したい。


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