レコメンド 今週、編集室が推薦するカルチャー

厳しかった残暑もようやく落ち着き、気がつけば夏前に取りざたされた電力不足も大きな混乱が起こることもなく、なんとか回避することが出来ました。いよいよ秋、心地よい穏やかな気候の季節を迎え、渋谷や代々木公園などでも毎週末ごとに野外イベントなどが催されています。とはいえ、卯年は記録に残る天災が多いそう。先日の大型台風の上陸もあって、自然を前に人間の無力さを改めて実感させられます。
こう天候がままならないと、思うようにレジャーの計画も立てづらいもの。文化の秋、食の秋など、季節をもっと楽しみたいという気持ちが雨で台無しになってしまうのは、仕方ないとわかっていてもがっかりしますよね。そこで今回は、天候に振り回されずに楽しめる秋の映画祭をご紹介します。
10月の渋谷圏では、恵比寿、青山、渋谷を各拠点に「食」「セクシャルマイノリティ」「ブラジル」をテーマにした3つの映画祭が開催されます。「映画祭に行く」といっても、その楽しみ方、味わい方は様々で、さらに個々の映画に、それぞれの面白みが眠っています。公開未定作や過去の名作だったり、海外の人気作など、通常のロードショーではなかなか観ることのできない貴重な作品との出合いも映画祭の醍醐味の一つ。空のご機嫌をうかがうことなく、新しい映画との縁を求めて出かけてみてはいかがでしょうか。

映画祭×食

タイトル
第2回東京ごはん映画祭
上映場所
東京都写真美術館ほか、 東京各地サテライト会場
上映期間
2011年10月8日〜10月23日
料  金
当日1回券1,500円 ほか
上映作品
「eatrip」「Cooking Up Dreams」「バグダッドカフェ」「歩いても歩いても」「かもめ食堂」「南極料理人」「クレイマー、クレイマー」「ディナーラッシュ」「秋刀魚の味」「初恋のきた道」「トイレット」「ソウル・キッチン」「マイ・ブルーベリー・ナイツ」など

第2回東京ごはん映画祭

「eatrip」(78分/2009年/監督:野村友里/製作日本/©2009スタイルジャム)


東京都写真美術館では10月8日から、「人と食のつながり」をテーマに「第2回東京ごはん映画祭」がスタートする。
配給会社スタイルジャムが、食と人生がテーマの映像エッセイ「eatrip」の公開にあたって開催した映画と食の複合イベントをきっかけに、2010年に初開催した同映画祭。昨年は1週間で8本を上映し、3千人を集客した。今回は前回に引き続く「おいしい映画」部門での13作品の上映に加えて、食を視点に名作を紹介したいとの思いで「ある『食』視点からの、傑作たち」部門3本も公開する。
会場では、フードディレクターの野村友里さんが監督し、歌手のUAや住職など幅広い人々が見せる「食との関わり」をエッセイ風につないだ「eatrip」上映のほか、スペイン・中国・日本などの移民が集まるペルーの食を紹介するドキュメンタリー「Cooking Up Dreams」を日本初公開。チャン・イーモウ監督の「初恋のきた道」(2000年、中国)、小津安二郎監督の名作「秋刀魚の味」(1962年、日本)など食に縁の深い幅広い作品が集結する。

映画祭×セクシャルマイノリティ

タイトル
第20回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭
上映場所
スパイラルホール
上映期間
2011年10月7日〜10月10日
料  金
1回券1,300円
4回券4,800円など
上映作品
「ロミオ」「カブーン」「ブルーミントンの恋」「LAに恋して」「シェリー・ライト〜カントリーシンガーの告白」「トムボーイ」「ぼくらのはっちゃけウィークエンド〜Earing Outシリーズ」「Coming Out Story」「あの頃、僕らは〜いま語られるエイズの記憶」「ミス・アンの秘密の日記」

第20回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭

「ロミオ」(94分/2011年/監督:サビーネ・ベルナルディ)


スパイラルホールでは10月7日から10日までの3日間、セクシュアルマイノリティを題材に扱う「第20回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭」が開催される。
同映画祭は1992年、会議室を会場にセクシャル・マイノリティー解放運動の一環としてスタート。当初は観客の多くが当事者だったが、エンターテインメント性を強めながら徐々に幅広い客層を獲得。現在ではアジア最大規模のレズビアン&ゲイ映画祭として知られる。
会場ではFtMトランスセクシュアルのルーカスが主人公の恋物語「ロミオ」をオープニング作品に、大学生のスミスが自分の夢をきっかけに自身の出生にまつわる事実に迫るサイコミステリー「カブーン!」、男の子のように振る舞う10歳のおてんば娘の成長物語「トムボーイ」など、セクシャルマイノリティをテーマに昨年〜今年に誕生した10本が一挙に公開される。

映画祭×ブラジル

タイトル
ブラジル映画祭2011
上映場所
ユーロスペース
上映期間
2011年10月15日〜10月21日
料  金
当日一般1,500円
当日学生1,200円ほか
上映作品
「あの日の幸せ」「クリチバ0℃」「オンナの快楽」「ガールズトリップ」「ノエル・ホーザ〜リオの詩人」「この世の先に」「ジューサーの考察」「MPB 1967」

ブラジル映画祭2011

「MPB 1967」(85分/2010年/監督:ヘナト・テーハ、ヒカルド・カリル)


ユーロスペースでは10月15日から、ブラジルで人気を博す8本を公開する「ブラジル映画祭2011」がスタートする。
「サッカーやサンバだけではないブラジルを、映画を通じて知ってもらいたい」との思いで2005年にスタートした同映画祭。年々規模を拡大し、今年は東京での開催を皮切りに、大阪、京都、浜松を巡回。約1カ月で昨年に引き続いて3千600人程度の集客を目指す。
上映するのは、現在ブラジル音楽を代表するミュージシャンたちの若かりし頃の映像も見どころの音楽ドキュメンタリー「MPB 1967」、60年代の名作「ディオ40℃」にインスピレーションを受け、ブラジル南部の都市を舞台に経済格差や人の温かさ、優しさなどを伝える「クリチバ0℃」など8本。ブラジル国内でヒットした作品や、ブラジルの歴史、地理、生活スタイルなどを伝える作品など、昨年から今年に公開された注目作が集まる。


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