レコメンド 今週、編集室が推薦するカルチャー

オシャレ、ダイエット、美容整形…多くの女性にとって、「美しくなりたい」という思いは枯れることのない欲求です。女性誌や女性向けウェブマガジンでは、新色コスメや新型サプリなど「美容」をテーマにした話題が毎日更新され、更なる欲求を駆り立てます。中には多くのお金を費やして、人生をかけてでも美しさを追いかける女性の姿も…。
でもそもそも「美しさ」って何のため?なぜ私たちはただ美しくなるために、こんなにたくさんの時間と、お金と、努力を惜しまないでいられるのでしょうか?

今回は、私達を惹きつけて止まない「美しさ」をテーマにした3つの映画をピックアップ。1本目は美容整形技術を使って、「完璧な肌」を施した美女と整形外科医とのラブストーリー、2本目は新しいヘアスタイルを開発することで、女性の生活スタイルにまで影響を与えたヘアスタイリストの生涯、3本目はブランド品を作り上げるのに関わる職人たちの作業風景を丹念に捉えたドキュメンタリーです。形は違えど、「美しさ」を生み出す人々の営みを描いた3作。「本当の美しさ」を求め、つくり上げていくそれぞれの形に、あなたは何を感じるでしょうか?

ビューティ×整形美容

タイトル
私が、生きる肌
上映場所
シネマライズ
開催期間
2012年5月26日〜
開催時間
上映スケジュールの詳細は劇場まで
監  督
ペドロ・アルモドバル
出  演
アントニオ・バンデラス/エレナ・アナヤ/マリサ・パレデス

私が、生きる肌

2011年/スペイン/120分/配給:ブロードメディア・スタジオ/Photo by José Haro (C) El Deseo


シネマライズでは現在、カンヌ国際映画祭監督賞受賞作家ペドロ・アルモドバルが手掛ける最新作「私が、生きる肌」が公開されている。世界的な形成外科医・ロベルは、妻・ガルが死んだ12年前に人生の転機を迎えた。交通事故で全身に大やけどを負ったガル。ロベルのひたむきな看護で命は取り留めたが、窓に映った「燃えカス」のように変わり果てた自分の姿に絶望し、投身自殺。最愛の妻を失ったロベルは、以来とりつかれたように彼女を救えたかもしれない「完璧な肌」の研究に没頭するように。そして良心の呵責を失ったロベルは、監禁した「ある人物」を実験台にして、今は亡き妻そっくりの美女を創り上げていくのだった…。完璧な美しさを備えた「ある人物」とロベルとの、激しくも屈折したラブストーリー。はたしてこれは究極の愛のみが為せる奇跡か、それとも欲望と狂気に駆られた悪魔の所業か…

ビューティ×ヘアスタイル

タイトル
ヴィダル・サスーン
上映場所
UPLINK X
上映期間
2012年5月26日〜
上映時間
上映スケジュールの詳細は劇場まで
監  督
クレイグ・ティパー
出  演
ヴィダル・サスーン、マリー・クワント、グレイス・コディントン他

ヴィダル・サスーン

2010年/米国/91分/宣伝・配給:アップリンク


UPLINKXでは、現代美容業界に大きな影響を与えたヘアスタイリスト、ヴィダル・サスーンの功績を伝えるドキュメンタリー「ヴィダル・サスーン」が公開中。サスーン・カットと⾔われる斬新なカットと確かな技術で⼀世を風靡して、VOGUEの表紙をかざり、ロマン・ポランスキー監督『ローズマリーの赤ちゃん』ではミア・ファローのヘアカットを担当するなど、60 年代スウィンギング・ロンドンのファッション・シーンを牽引したヴィダル・サスーン。その功績は、未だ「どんな斬新なヘアスタイルを作っても、既にヴィダルがやっている」と⾔わしめるほど。同作では、ロンドンの孤児院で育ち、ユダヤ⼈排斥の波の中で戦争と貧困を⽣いた彼がハサミ⼀つで世界のファッションに挑んでいった軌跡を、サスーン本⼈のほか、盟友マリー・クワントやVOGUEのグレイス・コディントンなど、友⼈、家族、元スタッフなどのインタビューを交え辿っていく。

ビューティ×アルチザン

タイトル
ハート & クラフト
上映場所
オーディトリウム渋谷
上映期間
2012年6月2日〜2012年6月15日
上映時間
17:45
監  督
フレデリック・ラフォン、イザベル・デュピュイ=シャヴァナ
出  演
エルメス工房の職人たち

ハート&クラフト

2011/フランス/フランス語/カラー/47分/HD/製作:エルメス


オーディトリウム渋谷では6月2日より、エルメスが製作するドキュメンタリー「ハート&クラフト」が公開されている。エルメスのアトリエを訪れて、メゾンの製品に息吹を与える職人たちにスポットを当てた同作。フレデリック・ラフォンとイザベル・デュピュイ=シャヴァナがメガホンを取り、パリ、アルデンヌ地方、リヨン地方、ロレーヌ地方と、フランスの4拠点に構えるアトリエを訪問。革やクリスタルの響き、シルクや金属の奏でる歌、職人たちの言葉や沈黙を捉えながら、馬具や皮革、クリスタルや銀細工の職人技と精神を身につけた職人たちのその秘密を解き明かしていく。職人たちが伝える人生、熱中、誇り、情熱…それは職人がひとつのバッグやジュエリーを作り上げるように、作中で一体となって輝いていく。


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