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Shibuya of future talks about the KEY PERSON key person

Long interview of [key personnel] to be active mainly in the Shibuya. Place a "Shibuya of appeal" through their words.

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森健志郎さん
(株式会社Schoo代表取締役CEO)

創業10年目で急成長、ポストコロナも見据える 渋谷発のオンライン学習サービス「Schoo」が描く未来

profile

株式会社Schoo代表取締役CEO 。1986年大阪生まれ。2009年近畿大学経営学部卒業。2009年4月、株式会社リクルート・株式会社リクルートメディアコミュニケーションズで、SUUMOを中心とした住宅領域の広告営業・企画制作に従事。2011年10月、自身24歳時に同社を設立し代表取締役に就任。情報経営イノベーション専門職大学 客員教授。

「30代のビジネス系」に響く魅力的なコンテンツづくり

_動画コンテンツについて教えてください。現在、月にどのくらい新たな講座を制作されているのですか?

アーカイブのコンテンツ数は約6000本、時期によってもまちまちですが、月に50〜100講座くらいの動画が加わっています。メインの対象は30代のビジネスパーソン。男女は関係なく、人生を変えたいなと思ったり、視野を広げたいなと考え始めたくらいの人びとをペルソナとして設定し、コンテンツを作っています。もちろん紆余曲折はありましたが、9年間で1周回って、このターゲットに戻ってきたなと感じています。

_創業から今までコンテンツの内容は、どう変わってきましたか?

自分一人で創業した当時は、私自身が起業のこと、スタートアップのことを全く知らなかったので、起業家の家入一真さんや、けんすうさん(古川健介)、ビズリーチの南壮一郎さんとか……に講師になってもらい、「起業」をテーマに授業を行ってもらうことが多かったです。そのほうが、身をもって効果検証しやすいのかなと。とはいえ、「起業」はかなりニッチな内容だったので、もっと枠を広げないといけないなと思い、それよりもマーケットの大きいウェブデザインとかプログラミング。さらにいろいろ試していく中で、ビジネススキル系や働き方、フリーランスや副業、健康とかお金とか……、視聴率や課金率の高いコンテンツを徐々に増やしてきた感じ。現在は9年間の蓄積があるので、アーカイブコンテンツの再生数の推移など、日々のデータの波形などの定量的なデータと、制作ディレクターや編成チームによる仮説立案、企画・編成会議を掛け算しながら、コンテンツづくりを進めています。

約6000本のアーカイブを持ち、常に新しいコンテンツが加わる。人気ランキング上位には、仕事術やプログラミング入門など、ビジネススキル系の講座が目立つ。

_登壇される先生のキャラクターも大事だと思いますが、面白い先生の情報も収集されているのですか?

先生よりも、まずはジャンルが先ですね。先生って、ビジネスフォーマットとして再現性がないんです。例えば、過去のデータを見て、プログラミング言語Python(パイソン)関連の授業の再生数がぐいぐいと伸び、「今後、Pythonを使ったビジネス系のデータ分析がトレンドになりそうだから、コンテンツを強化していこう」と決めた場合、この内容で一番話せる人は誰だろうとリサーチして、担当ディレクターがリストの上から出演交渉を行っていく…。ビジネスフォーマットとしては、この順番で考えています。

_講師のほか、必ず受講生代表として1名アシスタントが入っています。合いの手として授業にテンポが加わり、番組を見やすくしていますが、このパターンはいつから行っているのですか?

第一回目の放送からアシスタントを必ず入れています。eラーニングの原体験から、おじさんがカメラ目線で一方的に話し続けるのは辛いなと。じゃあ、カメラ目線じゃなければいいかといえば、それも不自然すぎる。そこで講師と一緒にトークをしてくれる話者がいて、その人が受講者たちの質問を拾ったり、ポイントをつっこんだりする、スタイルが生れました。「でも、こういうときは使えないですよね」「いえ、こうすれば使えますよ」とか…、問いかけ形式の台本をしっかり設計していて、受講者が最後まで見られるコンテンツづくりを心掛けています。アシスタントに求めるのは、単なる台本読みではなく、その場その場で機転が利く人。例えば、テレビよりも、ラジオとかネット配信とかインタラクティブ性が求められる媒体でのMCや、結婚式の司会経験のある人を採用しています。

5年後は「大人の学び」領域でナンバーワンに

_現在、オンライン学習の生放送とアーカイブ配信、法人向けの社員研修 eラーニングなどがメイン事業だと思いますが、新しく取り組まれていることはありますか?

高等教育機関・社会人教育事業者のDX(デジタル・トランスフォーメーション)の分野ですね。2015年からパソコン教室「AVIVA(アビバ)」さんと提携し、オンライン授業のサポートなどを行ってきましたが、コロナ禍でオンラインにビジネス転換する教育事業者が急に増え始めています。最近発表したばかりですが、福岡大学や近畿大学とも提携を結びました。今までオフライン授業しかやっていないところがほとんどなので、中長期的に見て、今後、講義のオンライン化をしっかりやっていこうと考えていらっしゃいます。。「オンラインでやるなら、スタジオを作らなきゃいけないよね」とか、「ツールは何を使えばいいの?」とか、「滞在率の高いコンテンツはどう作ればいいの?」など…、ゼロからオンライン授業をどう立ち上げるか、インフラやノウハウ、コンテンツづくりなどでお手伝いを始めています。特に大学の場合、今まで大学生と高校生しかターゲットにしていませんでしたが、オンラインを始めれば、社会人やグローバルからも学生を集めることが出来ます。ポストコロナに向け、そういう授業の広がりを含めて高等教育機関・社会人教育事業者のDXが、私たちのビジネスの大きな柱になるのではないかと見込んでいます。

_子ども向けの教育事業に参入することは、考えていないのですか?

競合が多くノウハウもなく、子どもを対象にするつもりはありません。もっと高次の話をいえば、「世の中から卒業をなくすこと、すべての人の学び続けられる世界をつくる」というのが私たちの使命だと考えています。子ども向けは、他の会社がやっていますが、日本で大学や社会人向けの教育のDXを本気やっている事業者はほとんどありません。私たちがやらなければ、その学びの課題はずっと解決できない。大学・社会人向けの学習領域には山ほどやることがあるので、それをうちがしっかりとやっていきたい。

_創業から9年を振り返り、紆余曲折いろいろあったと思いますが、一番大変だったこと、うれしかったことを教えてください。

創業1年目が一番大変でした。本当にお金がないまま起業してしまったので、飴玉一つで3日間くらい過ごしたことがあります。「マジで死ぬ」って、恵比寿で本気で餓死するかと思ったほど。その後、事業でいろいろな問題もありましたが、マズローの欲求5段階説の一番下の「生存欲求」が脅かされた経験があるので、「飯食えているなら、大したことない」とポジティブに考えられるようになりましたね(笑)。うれしかったことは、その餓死の話に連動するのですが、「ヤバいです」ってソーシャル上でつぶやいたんです。そうしたら、親しい人だけではなく、スクーの一番初期のユーザーさんたちが「このサービス絶対いいので続けて下さい。頑張ってください!」と言って、カップラーメンなど食べるものをめちゃくちゃ送ってくれたんです。その時は一番辛かったけど、同時にユーザーさんに助けてもらったのが、本当にうれしかったですね。創業当時、僕はギフティングで生きていたんですよ(笑)。

_苦しい時期を乗り越え、事業を大きく成長させたターニングポイントはいつ頃ですか?

今です、コロナでしょうね。確かにこの9年で社員数も80人と規模拡大していますが、それは成長曲線上にあったためで、決定的な要因があったわけではありません。おそらく、これから10年、20年くらい経てから、改めてスクー成長のターニングポイントは何だったかと振り返ったら、きっと「コロナだった」ということになるんじゃないかと思います。

_来年、創業10年目の節目を迎えますが、これからの目標を教えてください。

「社会人教育・大人の学びで、日本で一番の会社ってどこ?」って聞かれたら、誰しもがスクーを想起する状態にすること。そのためには、大学・社会人向けの教育事業のDXのマーケットの中で一番にならないといけないと思っています。教育機関には、大きくプライべ―トセクターとパブリックセクターの2つの分類があります。プライベートセクターは、一般の英会話スク―ルとか資格の会社とか民間企業が事業を行っているもの。それに対してパブリックセクターは、学校法人など国が影響しているところ。要するに教育マーケットでは、文科省がどういうルールつくるか、学校で何を教えるかとか、他のマーケットよりもパブリックセクターの影響力がとても強いんですよ。だから「世の中から卒業をなくし、学びの課題解決しよう」とすれば、パブリックに対する発言権を持つことが必要なんです。

ただ、「大人の学び」領域では、国の中でもまだしっかりしたルールはないし、パブリックも動けていません。まず、スクーがプライベートで「大人の学び」領域で一番に名が挙がる会社になって、国と対話できるポジションにならないと何も始まらない。例えば、会社を1年休んでも、国が学習給付金を提供してくれるなど、経済上のルールも合わせて働きかけていく必要があるでしょう。その発言力を持つポジションに立つことを、次の5年間の目標にしたいと考えています。

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