SHIBUYA BUNKA BOOKMARK

代々木公園

万華鏡が見せる不思議な世界

塔型の万華鏡を手にする大熊進一さん。後方にある熊のイラストは、イラストレーターの安西水丸さんによるもの。
丹下健三の設計による代々木第一体育館。代々木公園は万華鏡を片手に散歩するには最適とのこと。
万華鏡の中の模様は一つとして同じものがない。継ぎ目が見えないのは良質のガラスを使っている証拠だという。


日本万華鏡博物館館長・大熊進一さんのbookmarkは「代々木公園」
渋谷と代官山を結んだちょうど中間あたり、青山製図専門学校そばのマンションの一室に「日本万華鏡博物館」がある。同館館長で編集プロダクションを主宰する大熊さんは、もともと新聞記者や70年代の若者文化を象徴するサブカルチャー誌「ビックリハウス」の編集などに携わってきたエディター。編集部のあった宇田川町時代を含め、かれこれ30年も渋谷に拠点を構えているという。「昔の渋谷は大人の街で、店主から『もっと勉強してからおいで』と言われているような飲み屋も多かった。」と当時を懐かしそうに振り返る。大熊さんと万華鏡との出会いは、クジラを見るために訪れたハワイのマウイ島。たまたま現地で万華鏡を覗く機会があり、それまでに見たものとは比べものにならないほどの迫力に驚いたという。以来、その芸術性に魅せられて収集を始め、コレクションが高じて事務所をミニ博物館として開設した。「サイエンスとアートの融合である万華鏡には様々なタイプがあり、ビーズなどを使って万華鏡の中で完結するものと、周りの景色を覗いてその変化を楽しめるものがある。万華鏡で外を覗いて一番おもしろいものは花。」と話す大熊さんのbookmarkは「代々木公園」。「今の時期は椿なども咲いているけれど、公園周辺には代々木競技場など変わった造形の建物が多く、草花も建築物もどちらも創造的で万華鏡を片手に散歩するには最適。」と万華鏡遊びのコツを教えてくれた。「花の中でも特に好きなのは桜。満開のピンクの花と緑の葉と枝の茶色が混じった風景が、万華鏡を通して無限に広がる様子はずっと見ていても飽きない。万華鏡はこんなに小さいのにその中の世界は驚くほど広い。」という大熊さんの言葉が印象的だった。博物館を来館する人の多くがリピーターになるという、その理由も納得させられる。

INFORMATION

日本万華鏡博物館は「世界一小さく、日本一楽しい博物館」をキャッチフレーズに1998年にオープンしたプライベート・ミュージアム。入館料は無料。ただし必ず一人一つの万華鏡を作るため、万華鏡キット代金(1000円〜3000円、完全予約制)が必要になる。これは「学んで・作って・見る」ことを通じて、万華鏡の仕組みと世界の奥深さを知ってもらいたいという大熊さんの思い。簡単なものは15分程度で作ることができ、手軽に不思議な視野を手に入れられる。上級キット(7000円〜8000円)では、「具」の部分にビーズではなくオイルなどを使った精巧な万華鏡も作れる。現在、館内には1600本ほどの万華鏡があり、大熊さんが執筆した「万華鏡の本・増補版」(A5判・288ページ・3500円)も販売している。

日本万華鏡博物館
渋谷区鶯谷町7-1 渋谷マンション310
TEL.03-3463-6916
FAX.03-3463-6917
※必ずご予約の上、お出掛け下さい。

(2006年01月27日 20:05:00)

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