SHIBUYA BUNKA BOOKMARK

映画「ルーツ・ロック・レゲエ」

「ものの見方」を教えてくれた映画

現在は、今まで敷居が高そうで聴きに行けなかった「青い部屋」などで行われているシャンソンに興味があるという後藤さん。
「『ルーツ・ロック・レゲエ』では、語っていることは普通のことだけど、変な理屈や押しつけがなく、解釈をするのはリスナーの作業という『ものの見方』を教えてくれた」と話す。
取材場所は道玄坂のギャラリー・コンシール。仕事でこの界隈を動き回ることが多いそうで、「この辺りは昔憧れていた渋谷の匂いを残していて情緒を感じる」とのこと。

JAP GARDENフリープロデューサー・後藤清子さんのbookmarkは映画「ルーツ・ロック・レゲエ
桜丘町にある映像制作会社などで映画のプロデュースや宣伝を手がける後藤清子さん。中学生の頃からLa.mamaやクラブクワトロでライブを見るため、地元の長野から渋谷によく遊びに来ていたという。その後藤さんのbookmarkは、ドキュメンタリー映画「ルーツ・ロック・レゲエ」。「当時、地元にレゲエバーがあってよく通っており、今も素敵なクラブが地元には多い。この映画に出てくるリー・ペリーやボブ・マーリーのスタジオでの様子などから『自分たちの音で聴いている人を気持ちよくさせたい』という作り手のシンプルな思いが伝わってきて、もの作りの原点のようなものを再確認した」と話す。「10年前の渋谷は『情報をもらう街』だったけれど、今では遊びながら仕事ができるようになった。最近では、国内だけではなく、海外の人々にも渋谷で遊んでもらいたい気持ちが出てきた。寂しいのは、長野在住だった頃は渋谷に出てきてもどこに行っていいかがわからなくて歩き回るしかなくて、『簡単に手に入らない渋谷』というイメージがあったけれど、今はネットですぐ情報が手に入って、『情緒』が減ってしまったこと」と当時の様子を思い出しながら続けてくれた。「人と人」、時として「人と動き」といった曖昧なものを結びつけるプロデュース業という性格上、「情緒感」といった言葉になりにくい感触や、もの作りの基本になるような「シンプルな思い」に敏感になるのは、当然のことなのかもしれない。

INFORMATION

後藤さんが現在プロデュースを手がけているのは、7月29日より「シアターN渋谷」での公開が決まっている映画『ピンクナルシス』。70年代のアメリカのアンダーグラウンドシーンを象徴し、ケネス・アンガーをはじめ多くのクリエーターが世界観を真似したとも言われる 幻の“ゲイ・カルト・ムービー”。「その影響力の大きさや造形美を見て、ただのカルト映画で終わらせる素材ではない」と感じ、ドラァグクィーンであり芸術家のヴィヴィアン佐藤による作品展「LOVE! NARCISSUS」や関連映像の上映などを、神南のカフェ「スプーマ」やギャラリー・コンシールといった渋谷の複数のスポットで展開する予定だという。グラフィックアーティストのヒロ杉山やダンサーで芸術家の砂山典子もこの映画に讃辞を寄せるなど、今の時代にも文化的エッセンスが受け継がれていることを感じさせる。「この作品を核とした複合的な展開にすることで、渋谷で埋もれているカルチャーを正面から取り上げる機会にしたい」と後藤さん。


後藤清子
渋谷区桜丘町4-22 日本発明振興会館 3F

(株)トランスフォーマー内 JAP GARDEN

 

(2006年06月05日 16:23:00)

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