SHIBUYA BUNKA SPECIAL

“渋谷流”W杯ドイツ大会の楽しみ方

いよいよ開幕を迎えたワールドカップ(W杯)ドイツ大会。4年に一度の貴重な期間とあって、最大限に楽しむプランを立てたいところだ。そこで、渋谷の街でW杯を楽しんでみてはどうだろうか。出場国について学び、試合を観戦し、実際に体を動かしてみる。そのすべてを楽しめる環境が、渋谷には揃っている。“渋谷流”のW杯の楽しみ方を紹介しよう。

STEP1 出場国について学ぶ

SETP2 最高の環境で試合を観る

STEP3 実際に体を動かす

  「出場国について学ぶ」〜W杯観戦をより面白くするコンテンツ〜

出場国についての深い知識があれば、試合観戦はより楽しくなる。ブックコーディネーターの内沼晋太郎さんにオススメの書籍に加え、さまざまなカルチャーを通したW杯を楽しみ方を聞いた。

W杯は世界を理解するための入り口

ブックコーディネーターの内沼さん

W杯は、世界の国々を理解するための絶好の入り口です。出場国のなかには訪れたこともなければ、普段のニュースでは滅多に耳にしない国も少なくないでしょう。そんな国々と出会えるのがW杯です。その国の政治や経済は、どのような状況なのか。音楽は何が流行っているのか。暑いのか寒いのか。また、人々はどのような暮らしを送っているのか―。試合を観るだけでなく、W杯をきっかけとして出場国の文化や風俗、国民性などを考えたり、調べたりするようになれば、すごく楽しいことだと思うのです。

たとえば日本代表の初戦を前にして、今、オーストラリアで流行している音楽を聴いてみる。オーストラリア代表の選手がリアルに聴いている音楽に触れれば、サッカーの勝敗とは別の感情が生まれるかもしれません。逆に、オーストラリア人には現在の日本の音楽シーンを知ってもらえたら楽しいですよね。そのように出場国の日常にあるカルチャーを知ることによって、今、こういう人たちが戦っているのかとリアルに実感できて、観戦の楽しみはグンと増すと思います。

サッカー観戦の視点を深める「書籍」

そうした視点で、たとえば『世界の作家32人によるワールドカップ教室』を読んでみてはいかがでしょうか。これは各出場国につき一人の作家やジャーナリストが、その国のサッカー事情を中心に生活や文化、風俗や気質などをまとめた本。かなり有名な作家が筆を執っているので読み物としても非常に面白く、また各国の人口や面積、宗教、民族、国家予算などのデータもまとめられているのでバックグラウンドとなる知識も得られます。どれも柔らかい文章で書かれているので、スラスラと楽しみながら読めると思いますよ。

サッカーはスポーツとしての勝敗を超え、各国の関係や経済にも影響を及ぼしたりします。その意味では単なるスポーツではなく国際情勢を捉えるための一つの視点になると思うんですね。『サッカーの敵』、『サッカーが世界を解明する』は、いずれも政治や経済が絡んだサッカーのアンダーグラウンドな部分を明るみに出すノンフィクション。サッカーについて詳しい人はたくさんいますが、その背後にある各国の思惑や施策までを語れる人は少ないですよね。この二冊を読めば、きっと、これまでとは異なる視点からサッカーを観られるようになると思います。

そのほかサッカーに関連する本をオススメとして挙げましたが、一見、サッカーに関係なくても、グローバリゼーションや政治、経済、民族、宗教に関する本など、いろいろな角度から掘り下げてゆけば、サッカーを観る視点が深まるとともに、興味や関心が広がって世界観も奥深くなるはずです。

4年前の渋谷駅前の様子 © シブヤ経済新聞

渋谷はW杯を楽しむうえで、欠かせない街

さらに書籍だけでなく、音楽や映画、料理など、世界の国々を知るきっかけはいろいろありますよね。その点、渋谷は若者文化の発信地として文化的なコンテンツが集積されていますし、世界中の情報がどんどん集まってくる。たとえば知名度の低い外国音楽のレコードでも宇田川町のレコード店で見つかるかもしれませんし、映画館では世界中の作品が上映されています。さらに各国料理のレストランも多いので、世界の国々を理解する入り口としては、とても面白い街ではないでしょうか。

僕自身、人と会ったり、買物をしたり、渋谷にはしょっちゅう足を運びます。明治通りを少し入った場所にあるトーキョー ヒップスターズ クラブのブックセレクトも担当していますしね。また、ワイワイと楽しむのが大好きなので、前回のW杯のときには渋谷の街頭で盛り上がっている輪に加わって、胴上げに参加したりもしました(笑)。今回のW杯を楽しむうえでも渋谷は欠かせない街だと思っています。

■プロフィール
内沼晋太郎さん
1980年生まれ。一橋大学商学部卒業後、展示会主催会社にて出版関係の展示会を担当後退社、現在はフリーランス。トーキョー ヒップスターズ クラブ(THC)の書籍のセレクトをはじめブックコーディネーターとして活動する傍ら、イベント企画や原稿執筆など幅広く活躍。また「本と人との出会い」をテーマに活動するユニット「ブックピックオーケストラ」の代表も務める。

達人に聞くオススメ作品<ベスト5>

W杯をより楽しむための作品は? 書籍・音楽・DVDのそれぞれの道の達人に、オススメの5作品を聞いた。

内沼晋太郎さん(ブックコーディネーター) 内沼晋太郎さん(ブックコーディネーター)中学校ではサッカー部に所属し、キーパーを担当。ブックコーディネーターの腕を生かしてディープな作品をセレクト。
>>内沼さんがオススメする5冊(書籍)
三輪太一さん(タワーレコード渋谷店・ニューリリース担当) 三輪太一さん(タワーレコード渋谷店・ニューリリース担当)渋谷店のW杯コーナーに三輪さんオリジナルのサッカーニュースを更新中。踊れるものから、しっとりした楽曲までバラエティ豊かに紹介。
>>三輪さんがオススメする5枚(CD)
山口善史さん(ツタヤ渋谷店・サウンドフロアリーダー) 山口善史さん(SHIBUYA TSUTAYA・サウンドフロアリーダー)サッカーのビデオを300本近く所有するサッカー通。なかでも“マスト”なアイテムを独自の視点でピックアップ。
>>山口さんがオススメする5枚(DVD)
渋谷文化プロジェクト内のサッカー関連イベント一覧

SETP2 最高の環境で試合を観る

STEP3 実際に体を動かす


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