渋谷は、あらゆるノリが混然となってうごめくミクスチャーな街
あのグチャグチャ感は、ロンドンもニューヨークもかなわない
田中知之 (Fantastic Plastic Machine)
DJ/プロデューサーとして国内外で活躍。ダンスミュージックに自身のルーツを散りばめた独自の音楽スタイルがワールドワイドに支持され、海外約50都市でプレイするほか、国内外の様々なブランドのパーティー、ショーでもDJや選曲を務める。また、リミキサーとしてもFATBOY SLIM、James Brown、DJ OZMA、小泉今日子などの楽曲を手がけている。2009年4月29日には大沢伸一、☆Taku Takahashiとともに、avex20 周年を記念したプロデューサーユニット・ravex(レイベックス)名義でアルバム「trax」を発売。
DJ/プロデューサーとして国内外で活躍し、ソロプロジェクト「Fantastic Plastic Machine(ファンタスティック・プラスチック・マシーン)」名義で音楽活動を行う田中知之さん。DJという仕事柄、クラブが集積する渋谷との付き合いも長く、深い。そんな田中さんに渋谷の街の魅力をうかがいました。
--渋谷の街との最初の出会いは?

僕は京都生まれなので、初めて渋谷に行ったのは21か22の時だったと思います。大学4年生で、当時バンドをやっていたのですが、芝浦にあるインクスティックというライブハウスに出演するために、京都からバンド仲間と一緒に車で東京へ行きました。名神、東名を乗り継いで、東京の首都高に入って…。渋谷から都心に向かっている時に、今の六本木ヒルズの場所に以前あった「WAVE」に「ノイバウテン」というドイツのグループの大きな垂れ幕が掛けられているのが首都高から見えて、「東京、すごいところだな」と思ったのを覚えています。その時に、バンド仲間たちと車でいろんな場所を回った中で、初めて渋谷にも行きました。音楽好きだったので、渋谷ではレコード屋さんに行ったり、カレー屋さんに行ったり…本当に、ただの「お上りさん」でしたね(笑)。
--最初の渋谷の印象は?
僕は関西の人間なので、大阪の心斎橋レベルの人の多さはいつも経験していました。でも、渋谷はそれどころじゃなかったですね、人間の数にしろ、何にしろ…。レコード屋も本当に「何でも売っているな、ここは」というイメージでした。世界中のあらゆるレコード、例えばレア盤と言われる幻の1枚みたいなものが、渋谷のレコード屋さんでは平気で売っていて、幻の1枚を、もちろんいい値段が付いてはいるのですが、それをあるお客が買ったとすると、奥のストックから幻だったはずの1枚が補充されるような…そんなイメージです。フランスのレコード買うんだったらフランスのパリより、ロサンゼルスのヒップホップ買うんだったらロスより渋谷で…という感じでしたね。マテリアルとしての音楽がすごく充実していました。
--当時と比べて、渋谷のイメージは変わってきていますか?

音楽的視点で言うと、今はレコード屋さんが減りましたね。それでも、タワーレコードやHMVなどの大型CDショップがランドマークになって、それに付随するようにもう少し規模の小さいお店があって、マニアックな中古盤屋さんとかの専門店もありますから。もちろんレコード屋さんは西新宿やお茶の水にもありますが、人の数とかテンションのレベルから考えると、やはり渋谷なのかな…という気はします。渋谷は、音楽というジャンルに限らず、今でもものすごくいろいろな文化のるつぼみたいな印象があります。一つのノリだけではなくて、あらゆるノリが混然一体となってうごめく、ぐちゃぐちゃな、何でもありな、ミクスチャーな感じは、やはり渋谷の特徴ですね。音楽をつくって海外へ出ると、僕らはいまだに「渋谷系」という言葉で呼ばれるのですが、日本では、「渋谷系」と言えば90年代のミクスチャーっぽい音楽を指すことが多いのですが、韓国では、いわゆる日本のダンスミュージックとかダンスポップとか、そういう新しいエッジーな音楽が「渋谷系」という言葉でくくられています。日本ではもう使わなくなって懐かしい感じすらする言葉が、ソウルでは最先端の日本の音楽を示す言葉として有名というのは、ちょっと不思議な感じですね。
--日本のクラブシーンは現在どんな動きをしてますか?
非常に多様化しています。もはや、「この箱はこういう人がいて…」という時代ではなく、その晩のDJやオーガナイザー単位で音が変わってくるので、すごく多種多様。層も厚くなったと思います。アナログレコードがなくなってクラブ文化のテンションも下がったと思われがちですが、逆にクラブで遊ぶ人は増えているような気がしています。例えば、「フジロック」などの大型音楽フェスに人が流れているように、CDが以前ほどは売れなくなっているなか、みんなが「ライブ感」みたいなものを求めているように感じます。現場での高揚感や音楽的なライブ感は、配信で手に入るものではありませんから…。
--渋谷で食事をすることはありますか?
朝方にイベントが終わってから食事をすることも多いのですが、渋谷の食って、本当に眠らない。ガード下のおそば屋さん、博多、大阪のラーメン屋さんも24時間でやっています。札幌のラーメン屋さんもかなり早朝まで開いていますね。24時間営業や、深夜、早朝までやっている店があそこまでたくさんある街って、世界中探しても他にないんじゃないかな。本当に渋谷にいるだけで、日本全国のご当地ものがいつでも味わえますよね。よく行くのは、「麺KAWAKEI」という24時間営業のそば屋さんとか…。そば屋と言っても何でも置いてあるのですが、DJの方もよく使われているみたいで、レコードバックが店の中でいくつも並んでいるのを見かけたりします。
--DJをする人の数は増えていますか?

これまでは、ガラガラとレコードバックを引いている若者がDJだって一目瞭然でしたよね。クラブへ行くのにも20、30キロあるレコードバックを持って階段を上り下りしなきゃいけませんでしたから、体力も必要です。さらにアナログレコードは重いし高価だし、それをちゃんとコレクトして音楽をやるのには、ある程度のお金も手間も掛かりました。しかし今はアナログを使う人は減り、それがCDやデータでのデジタルの音源に変わってきています。カメラマンさんがフィルム使わなくなったのと同じですね。だから気軽にDJを始める人も増え、決して特殊な職業ではなくなったような気はします。クラブに2、3回行った女の子が「わたしDJやるの」みたいなことを言うのを聞いたりもしますから。ただ、僕はそこまで簡単なものでもないように思っています。今でも非常に専門的な職業だと思っています。
--今後、クラブはどのように展開していけばいいと思いますか?
知らない人も多いのですが、今の風営法ではダンスをさせるクラブハウスは風俗営業扱いになって、夜明けまで営業してはいけない決まりになっています。飲食店としての営業は許可されるのですが、夜中に音楽で踊ることが罪になっています。でも、音楽を鳴らして踊っているだけで法律に引っ掛かるって、おかしいと思います。クラブは、他の娯楽施設がクローズしている間にお金が動く場所ですから、経済効果という点でも意義はあると思います。もっとクラブを活性化させて、国で認めて営業させてあげればいいのになって思いますね。そうすれば、今までクラブに行かなかった人も遊びに行きやすくなります。深夜営業という点においては、もちろんカラオケ屋さんみたいな場所での経済効果もあると思いますが、クラブではお酒も出るし、そこで気に入った音楽があればダウンロードしたりCDを買ったりと、二次的にもお金が動く可能性があると思っています。
--クラブの抱えている問題点を聞かせて下さい。
現状では20歳以下の人がクラブに行くことは規制されています。確かに子どもがお酒を簡単に買えてしまう場所に行くのは良くないことかもしれませんが、若い人でもクラブには行くことができて、音楽を楽しんで踊ることは自由…ということになればいいと思います。一番多感な時期にダンスミュージックやクラブミュージックに出会えないなんて…。そこで、若い人も入れるクラブイベントを僕はやりたいですね。もちろん違法行為はいけません。お酒を飲むとかタバコ吸うとか、あと過度のナンパがあるとか…。でも、例えば18歳以上の入場を許可しながら、リストバンド制にして未成年はお酒を買えないようにするとか、対策はあると思います。クラブはすごく不健全な場所だと思われがちですが、そういうことがあればお店は黙っていませんし、渋谷のクラブは非常に安心して安全に遊べる場所です。だから、僕は法律がもう少し整備されて、若い人もクラブで遊べて、大人も夜中に踊ることが罪にならないという風になればと、ダンスミュージックを仕事にする人間として切に願っています。

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