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駅からもっと近い都会のオアシス「宮下公園」復活、芝生で寝転んでのんびり過ごす

JR渋谷駅から最も近いオアシス「渋谷区立宮下公園(MIYASHIYA PARK)」が7月28日、新たに生まれ変わった。2017年8月の工事着工から数え、約3年ぶりの復活となる。

JR山手線沿いに位置する「宮下公園」の歴史を紐解けば、その誕生は戦後間もない1948年。当時、駅前の東横百貨店を除き、周囲には高い建物はなく、渋谷川と宇田川に挟まれた野原を気持ち整備した程度の公園であった。ドラえもんに登場する空き地に近いスペースといえば、分かりやすいだろう。
▲以前まで駐輪場として使っていた暗渠化された渋谷川。

それが1964年の東京オリンピック開催に伴って河川が暗渠化され、さらに近い将来に訪れるであろう自動車社会を予測し、1966年に下に「駐車場」、上に「公園」を持つ「空中公園」として整備される。当時空中公園は珍しく、大きな話題を集めたという。その後、宮下公園は駅近の貴重な緑地として、近隣で働く人びとや若者たちが憩い、スポーツなどを楽しむスペースとして親しまれてきた。

ところが建設から半世紀以上を経て老朽化や耐震不安などが生じる中、にぎわい創出する「緑の空間」の形成や、駅再開発と連携する駅と公園のアクセス強化、さらに2020年の東京五輪を迎えるにふさわしい公園としての整備を目的とし、渋谷区は公募型プロポーザルを開始。2014年8月に宮下公園等整備事業の事業者として、三井不動産が選定された。それから約6年の歳月を経て、ようやくオープンにこぎ着けた。本来なら五輪開幕前に合わせる計画だったが、新型コロナの感染拡大で一旦工事も止まり、約2カ月遅れてのオープンとなった。

山手線と川に挟まれた土地は細く長い。上から見ると、「風の谷のナウシカ」に登場するオウムのような、青虫のような形状が特徴である。建物は3階建て。側の南街区と、原宿寄りの北街区の2つのエリアで構成され、街区を分断する「美竹通り」の頭上を連絡通路がまたぎ、両街区への横移動、各フロアへの縦移動を容易とする。地下1階〜地上1階は駐車場(375 台)、地上1階〜3階は三井不動産が運営する商業施設「レイヤード ミヤシタパーク(RAYARD MIYASHITA PARK)」。
▲ストリート沿いには、大衆的な横丁スタイルの飲み屋がオープン。その先には、戦後から営業を続ける昭和ロマン漂う「のんべい横丁」が続く。

ヴィトンやグッチなどのハイブランドから、レコードショップ、カフェ、飲み屋横丁まで、多様性の渋谷らしくハイもローも関係なく混在するテナントリーシングが面白い。
さらに原宿方面の「北街区」の一番先にある4階から18階の建物はホテル「シークエンス(sequence)」。三井グループが手掛けるハイクラス 「ザ セレスティンホテルズ」、アッパーミドルクラス「三井ガーデンホテルズ」などとは異なる新しいホテルブランドとして注目だ。

「MIYASHITA PARK」「宮下公園」「RAYARD MIYASHITA PARK」と名称がいろいろあって分かりにくいため、ここで一度、整理しておきたい。「ミヤシタパーク(MIYASHITA PARK)」という名称は商業からホテル、公園、駐車場まですべてを含めた建物全体を示すもの。その中で商業フロアは「レイヤードミヤシタパーク(RAYARD MIYASHITA PARK)」で、その4階に相当する屋上スペースが「渋谷区立宮下公園」である。

ここからは屋上にある新しい宮下公園について詳しく紹介していきたい。
南から北街区まで一面でつながる開放的なスペースの広さは、約1万800平方メートル。
中央に事務所やトイレなどがある「パークセンター」があり、駅方面の南側にはビーチサッカー、ビーチバレーなどの利用ができる「サンドコート」、スケートボードやインラインスケートなどができる「スケート場」、「ボルダリングウォール」を備えるスポ―ツエリアとなっている。

一方で北側のホテル「シークエンス」の前には、青々とした芝の広がる「芝生ひろば」や、藤原ヒロシさんがプロデュースする「スターバックスコーヒー」があり、コーヒーを飲みながら仲間と芝の上で談笑したり、ひとりでゴロリと寝転んで本を読んだり、スマホをしながらゆっくりと過ごすこともできそうだ。
渋谷といえば、センター街やスクランブル交差点付近の人ごみをすぐに想起してしまうが、緑の清々しさや空の広さを実感できる、まさに“都会のオアシス”の名にふさわしい新スポットの誕生といえるだろう。

もう一つ、公園内で見逃せないのが、忠犬ハチ公像をモチーフにしたアートワーク「渋谷の方位磁針|ハチの宇宙」だ。
「方位磁針(コンパス)」デザインのベンチを手掛けたのは、アーティスト鈴木康広さん。瀬戸内国際芸術祭2010年の「ファスナーの船」や、透明のビニールでできた人型の風船「空気の人」など、親しみやすいユニ―クな作品づくりで定評がある。今回の作品は、明治通りに沿って南北に細長く続く公園の中央に設置され、道行く人びとに方角を知らせるコンパスの「針」のような存在と位置付ける。国内外の様々な場所からやってきた人びとが、ここで出会い、新たな未来へ向かう。
その場所にいち早く到着し、みんなを待っているのは、渋谷区のシンボルである忠犬ハチ公。星になった飼い主・上野教授を見上げ、空にむかって吠えているような姿がなんとも愛おしい。

緑に映える日中も気持ちが良いが、できれば、ライトアップした夜間に遊びにきてほしい。ハチ公像の中からも星屑のような無数の光がもれ、何とも幻想的で美しい空間を体験できる。デートにもおすすめだ。
公園の開園時間は8時〜23時まで。

Editorial department · Fuji Itakashi

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