Shibuya culture project

More fun Shibuya! People who work, learn people, play information site for people

山種美術館で「日本の風景」をテーマにした特別展 「1980年代の渋谷駅西口」を描いた作品も

広尾の日本画専門美術館・山種美術館で現在、「日本の風景」や「自然」を題材とした作品に焦点に当てた特別展「日本の風景を描く ―歌川広重から田渕俊夫までー」が開催されている。

▲恵比寿駅から徒歩10分。駒沢通りを六本木方面に沿って、緩やかな上り坂を上った右手に「山種美術館」が見える。

山種美術館は、1966年に日本初の日本画専門美術館として、東京・日本橋兜町に開館。2009年に恵比寿駅から徒歩約10分の場所に移転して新美術館をオープンし、今年で移転から13年目を迎える。岩佐又兵衛(1578-1650)《官女観菊図》、速水御舟《炎舞》《名樹散椿》など6点の重要文化財のほか、明治から現在までの近代・現代日本画を中心に約1800余点を所蔵する都内有数の美術館として知られる。

「渋谷でアート」といえば、ストリートアートやポップアートを思い浮かべる人が多いかもしれない。が、日本画専門の同館のほか、原宿の浮世絵専門美術館「太田記念美術館」、松濤の陶磁器専門美術館「戸栗美術館」など、渋谷には「日本美術」を収蔵する美術館がそろう。昨今では日本美術に注目する外国人も多く、各館ともに国内外に多くのファンを抱える。「多様性の街」として知られる渋谷だが、アートの世界でも時代やジャンルを超えて、幅広い選択肢を持つ街であることが分かる。

▲戦時中の作品ながら穏やかな田園風景が広がる。 川合玉堂《早乙女》1945(昭和20)年 絹本・彩色 山種美術館

現在開催中の特別展では、「日本の風景」や「自然」を題材にした作品に焦点を当て、江戸時代から現代までの画家たちが描いた作品を前後期合わせて65点(前期展示=2022年12月10日-2023年1月15日、後期展示=2023年1月17日-2月26日)紹介する。
▲明治時代から保養や病気治療を目的に各地に海水浴場が誕生したという。 黒田清輝《湘南の海水浴》1908(明治41)年 カンヴァス・油彩 山種美術館

中でも、19世紀の江戸時代後期、街道が整備され旅に対する意識が増し、日本各地の宿場や名所を中心に作品に落とし込んだ歌川広重の名品・保永堂版《東海道五拾三次》や《近江八景》、田植えを行うのどかな光景を描いた川合玉堂の《早乙女》、海水浴を楽しむ人々を描いた黒田清輝の《湘南の海水浴》、送電塔の立つ農村風景を描いた田渕俊夫の《輪中の村》など、日本の風景の魅力が伝わる作品が数多く展示されている。

▲左=歌川広重 《近江八景之内 三井晩鐘》1834(天保5)年頃 大判錦絵 山種美術館 [前期展示 12/10-1/15]
右=歌川広重 《近江八景之内 堅田落雁》1834(天保5)年頃 大判錦絵 山種美術館 [後期展示 1/17-2/26]

見どころは、江戸時代を代表する浮世絵師・歌川広重の《近江八景》と、昭和に活躍した日本画家・横山操の《越路十景》を同時に鑑賞できる展示だ。
▲横山操 《越路十景》のうち、左=「蒲原落雁」 、右=「越前雨晴」

それぞれの風景画は、特定の名所を選んだうえで、11世紀の中国山水画の「瀟湘八景」をモチーフとし、景観、季節や時間帯の違いを描き分けている点で共通している。江戸時代と昭和と、時代の異なる作品を比較しながらじっくりと味わうことができるだろう。

▲渋谷・東急東横店南館やバス乗り場などを描いた作品。 米谷清和《 暮れてゆく街 》1985(昭和60) 年 紙本・彩色 山種美術館

さらにもう一つの見どころは、渋谷区に拠点を置く同館ならではのセレクションとして、「渋谷駅」を描いた作品の出展だ。「1980年代の渋谷駅西口」を題材に米谷清和が描いた《暮れてゆく街》は、1985年に第8回山種美術館賞展 優秀賞に輝いた作品である。渋谷駅の象徴的な建物として親しまれてきた「東急百貨店東横店南館」を背景に「西口バスターミナルの乗り場」、待ち合わせスポットの「モヤイ像」、雨天の中を行き交う人々の姿など、都市のリアルな日常を描く。
▲解体工事前の東急東横店西館・南館(撮影=2020年1月5日)。縦に不定期に並ぶスリット状の窓枠は、南館ならではの特徴。上の絵でも、その特徴を捉えている。

渋谷駅の再開発工事に伴い、東横店はだいぶ解体工事が進み、バス乗り場も移設されるなど、かつての面影は既にないが、作中には当時の街の鼓動のようなものがしっかりと息づく。会場では同作品のスマホ撮影が許可されている。ぜひ会場で撮影をして、再開発で変わる現在の渋谷駅と見比べて、街の過去や未来に思いを馳せてみてはいかがだろうか。

料金は一般1300円。会期は2023年2月26日まで。

※記事中の所蔵先表記のない作品はすべて山種美術館所蔵。

【特別展】 日本の風景を描く ―歌川広重から田渕俊夫まで―
〇会 期:
2022年12月10日(土)〜2023年2月26日(日)
※会期中、一部展示替えあり
前期12/10(土)−1/15(日)、後期1/17(火)−2/26(日)
※休館は月曜日。但し、1/9(月)は開館、1/10(火)は休館、12/29(木)〜1/2(月)は年末年始休館
〇時 間:午前10時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
〇会 場:山種美術館 (渋谷区広尾3-12-36)
〇料 金:一般1300円、大学生・高校生500円(冬の学割)、中学生以下無料(付添者の同伴が必要)
〇主 催:山種美術館、朝日新聞社
Yes official:https://www.yamatane-museum.jp/

Editorial department · Fuji Itakashi

Shibuya registrar. In addition to Shibuya of Culture information, seasonal news and topics, it will spell write that feel every day.

Recommended articles