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原宿駅前の新複合施設「WITH HARAJUKU(ウィズ原宿)」の魅力 キーワードは「道の建築」と「神宮の森」

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、開業延期となっていた新しい複合施設「WITHHARAJUKU(ウィズ原宿)」が6月5日から順次開業をはじめ、6 月25日(木)に全店舗がオープン。当初4月25日の開業から数え、ちょうど2カ月遅れでようやく全店舗が出そろった。

立地は、3月21日に新駅舎の供用が始まったばかりのJR原宿駅の道路を挟んだ向かい側。もともと駅前には、「オッシュマンズ」や「ICI石井スポーツ」などが入居する「原宿第一マンションズ」(1979年3月築)や、「原宿アパートメンツ」(1958年11月築)など、老朽化が進む建物が大小複数あった。そうした建物や敷地などを一体的に再開発したのが、今回の原宿駅前の再開発プロジェクトである。敷地面積は5000平方メートル、表参道と竹下通りの間に位置し、まさに原宿のまちの「新しい玄関口」の誕生といえるだろう。

▲左)地上2階建ての北側の低層の建物 右)地上10階建ての南側の建物

設計・施工を手掛けたのは、竹中工務店と社伊東豊雄建築設計事務所。「神宮の森」に隣接する立地から建物には木や石などを多用し、随所に自然の温もりを感じることができる空間を意識したという。施設は「JR原宿駅前」に接する「南敷地」と、「竹下通り」に通じる「北敷地」の2つのエリアで構成。南敷地は地下3階から地上10階建てのビル、北敷地には地下1階から地上2階の低層ビルを建て、その施設内にパサージュ型の新通路「WITH HARJUKU STREET(ウィズ原宿ストリート」を整備している。
▲左側のガラス面が南側の建物、右側が低層の北側の建物。正面の原宿駅の向かい側、大きな鳥居のようなゲートをくぐると、2つの建物の間にウイズ原宿ストリートがある。▲1階からエスカレーターで下った先には、地下1階のストリートがつづく。

パサージュとは、ヨーロッパによくある歩行者通路の両側に商店が並んだ「小径」などを表す言葉であるが、まさに原宿駅と竹下通りをつなぐ抜け道といった感じである。ウィズ原宿ストリートの道幅は、竹下通りより広い10メートルもあり、小径というよりも大通りに近いが、店先を覗きながらのそぞろ歩きを一層楽しくしてくれそうだ。

▲地下1階から、そのまま竹下通りへとつづく。ここにも小さな鳥居のようなゲートがある。高低差をうまく利用して、駅方面からの移動をスムーズにしている点が、この施設の大きな特徴といえる。

今回の再開発について、NTT都市開発の本間久美子さんは「表参道から竹下通へ抜ける新しい通り道をつくる『道の建築』をコンセプトにした」といい、「その道を通して、人びとが行き交い、明治神宮の森から風や光が通るイメージ」を重視したという。原宿のまちの魅力は、竹下通りや裏原など小さな路面店が集積するストリートで成り立っている。大きな商業施設内に人びとを留まらせるのではなく、「まちの回遊性を高めるインフラとしての役割を担いたい」という想いを、『道の建築』というコンセプトに込めている。

▲南側の路面に面して、IKEA初の都市型店舗がオープン。▲IKEAの隣にユニクロの最新店舗が並ぶ。左側には、村上隆さん作「ビリー・アイリッシュ像」が設置されている。

既に多くのメディアで紹介され、ご存知の通り、同施設の1階・2階には、都市型店舗初となる「IKEA(イケア)原宿」、地下1・地上1階には、リアルとバーチャルを融合させたユニクロの最新店舗が出店。原宿駅前の路面にふさわしい華やかなテナントリーシングだ。若者層を狙った一方で、かつて原宿パレフランス1階に店舗を構え、ビストロブームの火付け役となった「オーバカナル」が18年ぶりに同ビル3階に復活したほか、神宮の森を見下ろせるロケーションの8階には「資生堂パーラー」も新店舗を出店している。

「原宿は流行最先端の地であるが、オーバカルさんにように、この地で生まれた歴史や文化のあるお店に復活してほしかった。また、資生堂パーラーさんは、記念の日に行きたいお店だと思う。明治神宮で七五三や、何かハレの日に使えるお店は原宿には少ない。原宿といえば、若者、カジュアルな感じもあるが、家族の思い出になるお店をぜひ入れたいという気持ちもあった」(本間さん)と、幅広い年齢層の人びとが落ち着いて飲食を楽しめるスペースにも配慮したという。

まちの回遊性を高める「新しいストリート」、幅広い客層を意識した「こだわりのテナント」は大きな魅力であるが、同施設の最大の魅力は、何と言っても駅後背に広がる「神宮の森」であろう。
▲同施設の上層階から撮影した「神宮の森」

約100年前につくられた人工の森であるが、うっそうと茂る青々とした様相は、まるで手付かずの原生林のような壮観さすら感じる。同施設の3階には、神宮の森を正面に望み、視界を一切遮るものがない開放的なテラスが広がる。

▲3階ウッドデッキのテラスから原宿駅、神宮の森方面を望む▲グザヴィエ・ヴェイヤン作のアートワーク作品

テラス中央には、パリ在住のアーティスト Xavier Veilhan(グザヴィエ・ヴェイヤン)によるアートワーク「La Statue de Harajuku」が設置。白い台に座る人をモチーフにした作品は、神宮の森、原宿駅を見下ろすシンボリックな存在として、今後、原宿を代表するフォトスポットになっていくことだろう。

人が多い原宿を避けているという方も、ぜひ3階のテラスに上がることをオススメする。森から吹き抜ける風を頬に感じながら、大きく深呼吸すれば、きっと今まで見えていなかった原宿の新しい姿が見えてくるはずだ。情報だけではなく、一度、体験してみてほしい。

<もっと詳しく知りたい方は、こちらもチェックしてください!>
WITH HARAJUKU担当のNTT都市開発・本間久美子さんに、渋谷のラジオ「渋谷文化プロジェクト」(7月1日放送)にゲスト出演いただきました。コロナ禍における開業延期を決めた厳しい判断や、今回の再開発に向けた強い想いなど、じっくりとお話をうかがいました。ぜひ放送内容をチェックください。ラジオ再生はこちらからお聴きいただけます。

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