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渋谷区郷土博物館で「ハチ公 生誕100年記念展」 白黒映画「ハチ公物語」上映も

渋谷のシンボルとして知られる「忠犬ハチ公」。今年はハチ生誕100年の節目を迎え、白根記念渋谷区郷土博物館・文学館で現在、企画展「ハチ公展」が開催されている。

ハチは1923年11月10日に秋田県大館市で生まれる。生後2カ月の時、犬好きとして知られる東京帝国大学の上野英三郎博士に譲り渡され、渋谷・松濤での暮らしが始まる。1925年5月に上野博士が急逝するが、博士が出張時などに利用していた渋谷駅改札口前でハチの姿が度々目撃され、1932年に「亡き博士の帰りを待つ続ける忠犬」として新聞記事となったのをきっかけに全国的に知られるようになる。これが今日まで続く「ハチ公物語」の始まりである。

▲「ハチ公展」展示の様子

▲「忠犬ハチ公像」建設の経緯や、戦後再建の記録もくわしく紹介。

2013年の「生誕90周年記念展」以来、同館では10年ぶりとなる「ハチ公展」。今回の展示では「上野博士とハチの共同生活」から「ハチ公像の建設」「ハチ公の最期と剥製」まで、貴重な写真や資料の展示を通じ「ハチの生涯」を時系列で振り返る。さらに上野博士の内縁の妻「坂野八重子」に関する展示や、ハチ亡き後の「忠犬ハチ公銅像供出と再建」など、ハチ公物語に関連するサイドストーリーにも焦点を当てる。
▲ハチ公がいた当時の渋谷駅・吉川忠一駅長の書「ハチ公は天下の忠義者」と、ハチ公と吉川駅長の写真。

そのほか、過去に制作されたハチ公に関連する商品や、生誕100年を記念し新しく制作されたグッズなども紹介している。
▲渋谷以外にあるハチ公像やグッズなどを紹介

▲今年生誕100年を記念して制作された記念グッズも展示

なぜ1匹の犬であるハチが、100年もの間、日本をはじめ海外の人々からも愛され続けているのだろうか? 

同館学芸員の松井圭太さんは次のように分析する。

「ハチが生まれた時期はスぺイン風邪や関東大震災など発生し、大変多くの人々が亡くなっている。家族や恋人への思いと、亡き主人をいつまでも待ち続けるハチの姿が、きっと多くの人々の心情とも重なったのではないか。『会いたい人に会いたい』という気持ちは、時代や国籍を超えて普遍的なもの。この数年間のコロナ禍でも、きっと同じような気持ちを感じていた人が多かったのではないかと思う」。

▲1958年に制作された映画「ハチ公物語」より

同展では、1958年に制作された白黒16ミリ映画「ハチ公物語」の無料上映会も行っている。2017年、都内の住民から同館に映画フィルムの寄贈があったが、権利関係が不明で公の場での上映が控えられていた。が、上映を望む声も多く、今回の100周年記念展の開催に向け、制作関係者などを探すために広く呼びかけを行った。そうしたところ、作品を手がけた中川順夫監督の遺族にたどり着き、許諾を得て今回の上映実現に至ったという。ストーリーは、渋谷駅前の忠犬ハチ公像の清掃活動をしている小学生の子どもが、先生からハチ公に関するエピソードを聞く場面から始まる。当時、子ども向けの教育を目的とし、学校などで上映が行われていたようだという。

▲映画「ハチ公物語」より。劇中では幼犬、若犬。老犬時代のハチを演じる3匹の秋田犬が出演する

映画「ハチ公物語」の上映日時は、9月9日(土)・16日(土)の10時〜、9月18日(月・祝)・23日(土)は10時、14時〜、10月1日(日)の10時、14時〜、10月7日(土)・8日(日)・9日(月・祝)の10時〜。上映時間50分間。定員は40人(定員を超える場合、上映後に入れ替えを行い再上映)。映画鑑賞は無料。

企画展 ハチ公 生誕100年記念 展
〇開催日時:2023年8月22日〜2023年10月9日
※月曜休館(祝日の場合は翌平日)
〇開館時間:11時〜17時(土曜・日曜は9時〜)。
〇入場料金:一般=100円/ 小中学生=50円
※映画鑑賞のみの場合は無料。10月9日まで。
〇公  式:https://shibuya-muse.jp/

編集部・フジイタカシ

渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。

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