ローリング・ストーンズ・ライブドキュメント
『シャイン・ア・ライト』
渋東シネタワーでの上映が、いよいよ今週19日までとなった映画『シャイン・ア・ライト』。ご存知R・ストーンズのライブドキュメンタリーだ(写真1)。僕はマスコミ試写で一度、さらに劇場にも脚を運びました。平均年齢64歳のストーンズだけに、観客の年齢層も微妙に高いです。シネタワーでの公開が、20時45分からのレイトショーだというのも、客層に影響しているのでしょう。
今までストーンズのドキュメンタリーは幾つも作られていますが、監督を務めたのがジャン・リュック・ゴダールやロバート・フランクといった“孤高の芸術家”ばかりでしたので、仕上がった作品はいずれもストーンズファンを置き去りにした“芸術作品”となっていました…。
今回の作品は監督がマーティン・スコセッシ。ハリウッドの興行至上主義と作家性をバランス良く両立してきたベテランだけに、ストーンズファンのニーズに応えた、痒いところに手が届く会心作に仕上がった。
プレス関係者に配られたパンフレット(写真2.3)。以前『ハッピーフライト』のときにもかきましたが、プレス用パンフが充実している映画は、ハズレが少ないです。(2008.12.02のブログ)
この作品、何と言っても見どころは、キャパ2000人規模のホールでストーンズがライブを行っている臨場感でしょう。舞台となったニューヨークの「ビーコン・シアター」は、渋谷で例えるなら「CCレモンホール」を更に小規模にしたハコ。キース・リチャーズやロン・ウッドのライブならば丁度いい大きさですが、ミック・ジャガー、チャーリー・ワッツを加えた、4人フルメンバーがこのクラスのホールに出演することはまずありません。
映画のタイトルを「シャイン・ア・ライト」にしたセンスにも深く共感します。ミックのアイデアか、それともスコセッシの発案か。『メインストリートのならずもの』のD面、最後から2曲目に収録されたこのナンバー、一般的な知名度はゼロですが、ストーンズファンは皆、深く愛聴した名曲です。ちなみに、僕も数あるストーンズナンバーで、一番好きな曲は「シャイン・ア・ライト」です。
原題を変えずに日本公開した配給会社の英断にも感謝します。実は、邦題に『サティスファクション』なんて付けられたらどうしよう、と戦々恐々としていたんです。
公開終了まであとわずか。最後にもう一度観たい気分にさせる映画です。
高橋慎一(フォトグラファー)
98年よりフリーランス・フォトグラファーとして独立。現在、雑誌・書籍・CDジャケットなどで活躍中。また、ライターとして音楽関係、海外紀行、ドキュメント記事等を雑誌や書籍で精力的に執筆。