渋谷文化プロジェクト

渋谷をもっと楽しく!働く人、学ぶ人、遊ぶ人のための情報サイト

渋谷のハロウィン2015、五郎丸など世相系の仮装も

毎回、サッカー日本代表のW杯試合でサポーターが集結する「渋谷の街」であるが、ここ数年、W杯以上の異様な盛り上がりを見せるのが「ハロウィン」。市場規模では、すでにバレンタインギフトを凌ぐという。なぜ、若者たちをこれほど惹きつけるのだろうか? そもそも日本人はハロウィンに限らず、クリスマスやバレンタインデーなど、海外発のイベントを取り入れ、独自のスタイルにアレンジして楽しむ能力に長けている。「何でも受け入れる」という気質は無節操とも思えるが、見方を変えれば、古くから「八百万(やおよろず)の神」を信じる日本人は宗教間の隔たりをそう気にせず、何でも取り入れてしまう「寛容さ」があるともいえるだろう。
渋谷に集まってくる理由はどうだろうか? 一つは渋谷にイベントを主催するクラブやライブハウスが集積していること。もう一つはFacebookやTwitterなどの「SNSのネタ」になりやすいという点も大きい。「渋谷スクランブル交差点」に仮装した大群衆が押し寄せる「非日常的な光景」はSNSで広く拡散され、さらに多くの人びとの来街を促進する要因となっている。

さて今年のハロウィンはどうだったのだろうか。

31日当日は「週末(土曜日)」に重なったことも影響し、夜8時過ぎ、渋谷駅周辺は仮装した大勢の若者たちで埋め尽くされた。特にハチ公広場やセンター街では身動きが出来ないほどの混雑が続くなど、昨年よりも大幅に人出(来街者)が増えていた。
31日、夜9時ごろのスクランブル交差点の様子。

こうした状況に備え、警視庁ではW杯と同じ体制で警備を行い、「スクランブル交差点」の斜め横断を一時的に禁止するなど、混乱の回避やスムーズな移動を促していた。とはいえ、強制的に排除するような光景は一切見られず、危険行為や暴力行為が発生しない限りは、むしろハロウィンを楽しむ若者たちを見守るという姿勢を貫いていたように感じた。
同じく渋谷区も神宮通公園に無料の「フィッティング&メークスペース」を用意したり、昨年のゴミ問題を受けて、センター街に「ゴミ箱」や「ゴミ集積場」を臨時で設置するなど、若者たちの仮装に関して「寛容な態度」を示していた点がとても印象的であった。ボランティアスタッフの呼びかけに快く応じる若者たちの姿も目立ち、賛否はあるものの、新しいイベント(お祭り)と街との共存が進みつつあることがうかがえた。

一般的にハロウィン仮装といえば、ゾンビや囚人、血だらけの看護婦などが定番であるが、最近では流行語大賞と同じく「世相・トレンド」を反映したものや、「怖さ」よりも「笑い」がとれるものを優先する人が増えているように感じる。では31日の夜、渋谷で撮影した仮装の様子を具体的にお見せしましょう。

■世相・2015年トレンド系 左)ラグビーW杯で大活躍した五郎丸選手に仮装した男性グループと、ウォーリーに扮した女の子2人組。同じボーダー柄の仮装同士で記念撮影。 右)今夏大ヒットした映画「ミニオンズ」。

最近の特徴は「グループ仮装」。カップルや集団で同じ格好をして楽しむ人びとが増えている。
左)「のび太」のグループ 右)スーパーマリオのキャラに仮装して楽しむグループ。

■手づくり系 (段ボールなどを使ったオリジナリティあふれる作品)左)段ボールで作った「ポリンキー」の集団 右)「ひき肉のパック」に扮する男性。4割引きのシールなど、ディテールが細かい。
左)スイカカード 右)渋谷のシンボルである「109」と「タワーレコード」の男性二人組。

「八戸のイカ」に変身し、地元PRをする八戸出身の二人組。

■なりきり・演技派 左)宇田川交番の前で銭形警部になりきる男性 右)ずっとガードレールに座り、気づいてくれる人を待ち続けている「コップのフチ子さん」の二人組。
左)ぎこちない動きなど「おたく」に完全になりきる女の子。 右)無言でハンバーガーをほおぼるチャッキー。

パルコのショーウインドーで「買って、買って」と彼氏にせがむ宇宙人。仮装ばかりではなく、キャラクターのなりきり度や芸のレベルが高まっている。

■オールドファッション系 (かつての流行が仮装となっている)左)ヒッピー 右)ヤマンバギャル

往年のスケバングループ

■がっつりメイク・完成度が高い系左)歌舞伎役者で決めポーズ 右)全身青塗りのアバター。肌寒さを感じる中で、上半身裸で頑張る3人組。
左)ドライバーもゾンビに。 右)全身完璧な仮装の女の子3人。
仮装する若者の中には、留学中の外国人や海外からの旅行者が意外に目立つ。Instagram(インスタグラム)やTwitterなど、SNSで渋谷のハロウィンの盛り上がりを知り、ハロウィンに合わせて旅行を計画する外国人も少なからずいた。2020年の東京オリンピックに向け、海外からの訪日客(インバウンド)の大幅な増加が見込まれ、そうした中で渋谷のハロウィンは「観光コンテンツ」の一つとなり得るだろう。と同時に批判の声が多い公衆マナーや、ごみ問題等も一緒に考えていく必要がありそうだ。

■写真ギャラリー

編集部・フジイタカシ

渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。

オススメ記事