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d47 MUSEUM−渋谷で地元に思いを馳せる場所

地方出身の都民は何人ぐらいいるだろうか。生まれた土地を離れる理由は様々だが、離れて思うふるさとは、東京で同じ出身地の人にあったら心を許してしまったり、ご当地の名産品が売っていたらついつい手を伸ばしてしまったり、酸いも甘いも複雑な感情を織り込みつつ、無視できない存在なのではないだろうか。

渋谷ヒカリエ8階「d47 MUSEUM」では現在、「d design travel SHIGA EXHIBITION」が開催中だ。D&DEPARTMENTのプロジェクトの一環として展開する同所では、47都道府県各所にフォーカスして47の展示台を常設。伝統工芸から、若い世代によるクリエイション、観光などをテーマに、各都道府県の魅力を幅広く紹介している。
現在行われているSHIGA EXHIBITIONは、同社が各都道府県に長く続く個性をデザインの視点で1県ずつまとめる雑誌「d design travel」より、11月に発売となった滋賀号をテーマに展示を展開。同誌に掲載する取材先から普段使っている実物を借りうけ、並べている。
ページ構成表など、雑誌編集の資料も紹介

紹介されているのは、滋賀の名産・鮒寿司とともに「発酵」をテーマに郷土料理を提供する名店で、地方にありながら食べログでも上位にランクインする「徳山鮓」、コッペパンの間にたくあんを挟み込んだソウルフード・サラダパンで知られる「つるやパン」などの食べもの系。
鮒寿司などを提供する名店「徳山鮓」(長浜市)の食器>

さらに狸の置物に代表される陶器で、焦げや灰の跡などあたたかみある焼き上がりに特徴がある「信楽焼」、東海道を旅する旅人たちの間の土産物として知られて現在まで続く民族絵画「大津絵」などの民芸系。
徳利を持った信楽焼の狸の置物

琵琶湖における食物連鎖の頂点に立ち、ブラックバスなども捕食するビワコオオナマズがいる「滋賀県立琵琶湖博物館」、世界的建築家I・M・ペイ氏による建物が美しい「MIHO MUSEUM」などのスペース、お店、ホテル、人など幅広いラインナップ。
滋賀県の地図上にレストラン、ショップ、ホテル、人などのスポットが点在

滋賀県出身の都民という立場で見れば、幼少期に慣れ親しんだものが紹介されていることが嬉しくなったり、知らない間に大きくなっていたご当地プロジェクトに驚いたり。東京に憧れて都民になった今になって、改めて自分の育った土地の魅力に次々と気付かされ、地元で頑張っている人たちの声を聞き、さて自分はどうなのかと、身の引き締まる思いになる。

これまで北海道、富山、東京、京都、大分、福岡など、滋賀号も合わせて17誌が発行されている同プロジェクト。現地に編集部が住み込み取材を重ねるというスタイルで、4カ月に一冊が発行されるという。次回は滋賀のおとなり岐阜県がテーマで、雑誌は来年2月下旬に刊行予定。東京で働く地方出身者も、国内旅行を検討している人も、渋谷の真ん中で各地方を紹介するこのスペースを、各地の魅力を知るきっかけにしてみてはどうだろうか?

d design travel SHIGA EXHIBITION
〇開催:2015年12月13日(日)まで
〇時間:11:00 - 20:00(入場は19:30まで)
〇会場:d47 MUSEUM(渋谷ヒカリエ8階)
〇料金:無料
〇公式:ウェブサイト

編集部・横田

1980年生まれ、神奈川県在住。大学進学を期に上京して以来渋谷はカルチャーの聖地です。現在は渋谷文化プロジェクト編集部に所属しながら、介護士として働くニ足のわらじ生活です。

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