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世界最大級のクリエイティブフェスティバル「SXSW 2018」報告会

<イベント概要>
SXSW2018報告会
〇開催:2018年3月26日(月)、27 日(火)
〇会場:スマートニュース本社/100 BANCH
◯主催:ホウドウキョク(https://www.houdoukyoku.jp

フジテレビのニュースメディア「ホウドウキョク」主催のイベント「SXSW2018報告会」は26日(月)・27日(火)、渋谷のスマートニュース本社(渋谷区神宮前6丁目)と、パナソニックが運営する100 BANCH(渋谷区渋谷3丁目)の2会場で開催された。

SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト) は1987年の初開催以来、毎年3月にアメリカ・テキサス州オースティンで開かれている「音楽」や「フィルム」「テクノロジー」の世界最大級の祭典。今年は3月9日(金)〜13日(火)に開かれ、イノベーターや最先端テクノロジー企業、投資家など世界95カ国から7万人以上が集まり、大きな賑わいを見せた。

近年は日本からの出展も増え、2017年の日本人参加者は1,000人を超えている。今年の「SXSW2018」の公式セッションでは、日本メディアとして初めてフジテレビの能勢伸之氏が参加。報告会では、能勢氏や現地に出展した企業、政府関係者らが「SXSW」の熱狂ぶりや魅力を伝えた。

取材に訪れた27日は「空間を体感せよ!」と題し、「SXSW2018」の公式セッションやトレードショーに出展した企業関係者らが登壇。トップバッターとして、フジテレビの能勢氏と寺記夫氏が公式セッションで発表した内容や会場の雰囲気を紹介した。

|アメリカはダイバーシティーをすごく求めている。

フジテレビが運営するニュースサイト「ホウドウキョク」では、2015年4月からライブストリーミング番組「週刊安全保障」を放送し、アンカーの能勢氏がレポートしている。その3年にわたる試行錯誤から生まれた軍事情報を発信するノウハウを「公式セッション」でプレゼンしたという。
タイトルは「北朝鮮:草の根リポートによる実情」で、能勢氏は公式セッションに選ばれた理由について、アメリカが北朝鮮のICBM(アメリカ本土に届く大陸間弾導ミサイル)に関心があり、なおかつ「SXSW」がインタラクティブの催しだという点を挙げた。「週刊安全保障」は、マスメディアから一方的に情報や映像を届けるだけなく、視聴者からの「その映像の解釈は違うんじゃないか?」などといったツイートを番組内で取り上げている。こういった点が評価されたというのだ。

続いて寺氏が、公式セッションの応募から採択までの流れを説明。今回の経験から「行ってみて分かるんですけど、アメリカはダイバーシティーをすごく求めていて日本にしかないものを発信してほしいと思っている」と説明し、「カオス感のある切り口を運営側は望んでいるように感じた」と、オリジナリティの重要性を訴えていた。

|「SXSW」は非常にいい場だと思っている。

会場内で大規模な展示「パナソニックハウス」を展開したパナソニックからは、鈴木講介氏ら3人が登壇。「Game Changer Catapult」という“未来の家電”を作るプロジェクトを持つ同社は、社内に眠るアイデアなどをプロトタイプにまで仕上げて展示を行った。今年で2回目の参加となり、ペットライフ用の家電やデンタルホワイトニング、シニア向けの会話字幕機などを出展。この他、社外の様々な専門家を招いたセッションを開催し、参加者が議論する場も作ったという。 結果として、展示エリアには行列ができるほど賑わったそうだ。来場者からいろんな意見をもらえたことが良かったとし、「現場の思いを持った社員が来場者に話すと、ものすごく来場者は聞いてくれる。非常にいい場だと思っている」と、「SXSW」に参加する意義を語っていた。

|「自分のアイデアで世界を変える」という野心が必要。

世界各国から様々なテクノロジーやアイデアが展示されるイベント「トレードショー」には、電通から榊良祐氏が「スシ・テレポーテーション」を出展。榊氏は3年前から食の再構築を目指す「オープンミール」に取り組んでいる。料理の食感などをデータ化し、それをダウンロードすることで料理を再現できるというオープンイノベーションだ。データは遠隔地に転送することも可能なので、例えば宇宙空間にいる宇宙飛行士に活用してもらうことなども想定しているという。 榊氏によると、通常は本物の食材で行うものの、今回のSXSWでのデモンストレーションでは会場の関係もありアクリル素材で実施。それでも会場は、4日間とも超満員で一日中説明に明け暮れる人気ぶりだったという。反響は大きく、メディアの取材が150件、共同開発や提携のオファー、イベント出展、投資のオファーもあったそうだ。

今後、SXSWに出展を考えている参加者に、登壇者からアドバイスも行われた。会期中にはいろいろなオファーがあり、大きく分けると次の4つが挙げられたそうだ。

(1)メディア取材(2)イベント出展(3)提携や共同開発(4)投資のオファー

イベント参加に際して、この4つの点に対して明確な答えを事前に準備しておくべきだというのだ。榊氏は、今回の出展で初めて投資のオファーを受けたそうで、「急に『事業計画』や『いくらあれば実現できるか』などの具体的な質問が飛んできた」ことに、「きちんとした回答を用意できていなかった」と反省も込めて振り返った。

最後に「未完成(品)を持ち込んで、世界の目に晒して、大量のフィードバックを受け、クレイジーな共犯者を探す」べきだと熱く主張。完成品は必要なく「SXSWを利用して『自分のアイデアで世界を変える』という強い野心が1番必要だ」と観客に呼び掛けた
この他にもSXSWの現地に赴いた企業関係者が雰囲気を紹介するなど、会場内にはトレードショーで展示された「クッション型ロボット」や「ペット向けの電動歯ブラシ」などが並んでいた。報告会にはアメリカ現地に赴いた参加者も多数出席しており、会場は現地さながらすさまじい熱気が満ちていた。この熱量が伝播し、来年は日本からの出展や参加がますます増えて、よりSXSWに対する注目度が高まっていきそうだ。改めて、そう確認させられた。

重野マコト

社会部記者として新聞社に入社後、イベントプランナー、コンテンツディレクター、飲食店経営を経て、現在はフリーライター。インタビューやイベントレポートなどの現場取材をメインに活動する。

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