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独断と偏見で「2014年の渋谷」を振り返る

明けましておめでとうございます。 本年も渋谷文化プロジェクトをよろしくお願い申し上げます。 昨年(2014年)の渋谷で起こったニュースを総括するべく、一年間をランキング形式で振り返ってみたいと思います。

<独断と偏見で選ぶ!2014年、渋谷ニュースランキング>
1位「スクランブル交差点からセンター街まで、ハロウィン仮装が溢れる!」
2位「サッカーW杯!休日午前中、スクランブル交差点が青一色に」
3位「東急百貨店東館・旧渋谷駅の解体工事が進む」
4位「マルイシティ渋谷、『モディ』に業態転換へ」
5位「49年の歴史に幕、東急プラザ渋谷が2015年3月閉館」
6位「西武渋谷店1F路面に紀伊國屋書店がオープン」
7位「道玄坂に活版印刷のコワーキングスペースが誕生!」
8位「来春 、ミニシアター『恵比寿ガーデンシネマ』復活へ」
9位「雪だるまから土産まで、没後80年で『ハチ公』の存在感が増す」
10位「渋谷区、総合庁舎と渋谷公会堂整備計画公表」


1位「スクランブル交差点からセンター街まで、ハロウィン仮装が溢れる!」
堂々のトップニュースは「ハロウィン仮装で溢れる!」。 ここ数年、渋谷の秋の風物詩として定着しつつあるのが「ハロウィン」。特に今年はハロウィン当日(2014年10月31日)が週末金曜日と重なったことから、スクランブル交差点からセンター街まで気合いの入った仮装で渋谷の街を練り歩く若者たちで溢れかえり、メディアでも大きな話題に。その仮装もゾンビやフランケンシュタインなどの定番から、ウケ狙いの今年流行ったキャラクターや世相を反映したものまで様々。そもそもハロウィンはヨーロッパを起源とする宗教的な行事ですが、クリスマス同様に日本独自の解釈のもと、一年に一度の「コスプレ祭り」として定着しつつあることがうかがえます。では、なぜ渋谷にハロウィンのコスプレをする人びとが集まるのでしょうか? こうした背景には、仮装パーティーやイベントを主催するクラブやライブハウスが渋谷に数多く集積していること、さらに「2002日韓サッカーW杯」以来、渋谷スクランブル交差点が「ハレの日(=お祭り)」の舞台として顕在化したことが挙げられます。また、渋谷の街が持つ新しいカルチャーに対する「寛容性(=包容性、安全・安心性)」の高さも、若者を惹きつける大きな魅力と言えるでしょう。こうした盛り上がりは、「クールジャパン」として外国人観光客や海外メディアからも注目され、今後、「観光立国」を目指す日本の新しいコンテンツの一つとして期待が寄せられます。もちろん、深夜まで及んだお祭りさわぎに対する苦情や大量のゴミ問題など、日本人のモラル低下を嘆く声も多く、来年以降、どのような形になっていくのか気になるところです。
画像)2014年10月31日(金)、ハロウィン当日のスクランブル交差点およびセンター街の様子。

◎ハロウィン特集記事はこちら

2位「サッカーW杯!休日午前中、渋谷スクランブル交差点が青一色に」
トップの「ハロウィン」同様に、渋谷スクランブル交差点が大混乱したのが6月の「サッカーW杯ブラジル大会」。2002年(平成14年)の日韓大会以来、渋谷のスクランブル交差点は「サポーターの聖地」として定着しています。今大会の初戦6月15日のコートジボワール戦は、日曜日午前中の試合開始にも関わらず、キックオフまで1時間に迫った午前9時過ぎから青いユニフォームに身を包んだサポーターの人口密度が一気に急増。まるでうねりを上げる青海波のごとく、人の波が押し寄せました。残念ながら試合には惜敗れたものの、試合後に興奮冷めやらぬサポーターたちがスクランブル交差点に集結し、応援歌を叫び、ハイタッチを繰り返す姿は、渋谷ならではのお約束の光景といえるでしょう。またハロウィンと同じく、昨今ではTwitterやFacebook、LINEなどSNSの普及に伴い、リアルタイムで画像写真が拡散し、それを見た人びとがまた集まるというアクションにも結びついています。SNSの時代だからこそ、唯一無二、そこでしか味わえないライブ(=現場で体験すること)に対する価値がより一層高まっているのではないでしょうか。
画像)2014年6月15日、日本代表とコートジボワール戦当日の様子。

◎サッカーW杯ブラジル大会特集記事はこちら

3位「東急百貨店東館・旧渋谷駅の解体工事が進む」
一昨年2013年(平成25年)3月15日、東急東横線渋谷駅の地上駅舎が85年間にわたる駅の歴史にピリオド。以来、現在渋谷駅およびその周辺では、100年に一度と言われる大規模な再開発工事が進められています。すでに渋谷駅のシンボルであった「かまぼこ屋根」や「東急百貨店東横店東館」は解体され、この1年9カ月の間に見慣れていた渋谷駅東口の風景は大きく一変しています。また、解体工事の過程では、渋谷川に跨がる「橋上百貨店」として知られる東急東横店東館の床が撤去され、地下に流れている渋谷川が約80年ぶりにその姿がお目見え。さらに老舗ショップが軒を連ねていた「東横のれん街」の天井の上からは、1937年(昭和12年)まで東横店の1階を走り抜けていた路面電車「玉川電気鉄道(玉電)」のアーチ状のもう一つの天井が出現するなど、長い歴史を刻んできた渋谷駅および百貨店ならでは痕跡や面影が所々に発見されています。現在、工事は3階に銀座線、2階にJR(山手線、埼京線)の3路線を営業しながら「中央館」の撤去作業が進行し、解体工事最大の難所に差し掛かっているところだそうです。
左上)渋谷駅東口 解体工事の様子(渋谷ヒカリエから撮影)
左下)東横線渋谷駅地上駅舎の跡地、すでにホームは解体済み。
右上)「東横のれん街」解体工事で出現した「玉電」軌跡とアーチ状の天井。
右下)東急百貨店東館の解体で80年ぶりに顔を出した「渋谷川」。

◎渋谷駅解体工事 特集記事はこちら

5位「49年の歴史に幕、東急プラザ渋谷が2015年3月閉館」
10位「渋谷区、総合庁舎と渋谷公会堂整備計画公表」

歴史に幕といえば、5位「49年の歴史に幕、東急プラザ渋谷が2015年3月閉館」、10位「渋谷区、総合庁舎と渋谷公会堂整備計画公表」も見逃せません。1965年(昭和40年)6月にオープンした「渋谷東急プラザ(開業時の名称は、渋谷東急ビル)」。地下の「丸鮮渋谷市場」は庶民的な商店が軒を連ね、食材やお惣菜がとても安く手に入るスポットとして人気ですが、渋谷駅周辺の再開発で2015年(平成27年)3月22日をもって閉館。2018年度には「新しい東急プラザ」の開業が予定されていますが、それまでしばらくの間は買い物に困るという人もきっと多いことでしょう。さらに1964年(昭和39年)東京オリンピックの年に建設された区の庁舎や、重量挙げ競技の会場として使用された渋谷公会堂も建設から半世紀以上の歳月を経て、建物の老朽や劣化に伴い、2020年度までに新庁舎および新公会堂の建て直しが決定しています。「渋公(しぶこう)」の愛称で親しまれてきた渋谷公会堂は、ミュージシャンにとって小規模のライブハウスからメジャーへと駆け上がる登竜門、まさに憧れの存在でした。ライブハウス「shibuya O-EAST」のキャパは約1,300人、NHKホールは3,500人、代々木体育館は13,000人であることから、やはり2,300人規模の渋公はとても重宝な箱であったことがうかがえます。2020年の新公会堂オープンが待ち遠しく感じます。
左上)現在の東急プラザ外観
左下)2018年度に完成予定の「新しい東急プラザ」。
右上)現在の渋谷区役所と渋谷公会堂
右下)新総合庁舎は地下2階〜地上15階、新公会堂は2,000人規模の施設として計画。

◎フューチャーシブヤ 特集記事はこちら

4位「マルイシティ渋谷、「モディ」に業態転換へ」
6位「西武渋谷店1F路面に紀伊國屋書店がオープン」
8位「来春、ミニシアター『恵比寿ガーデンシネマ』復活へ」

解体工事や閉館などが相次ぐ渋谷ですが、新しい動きや復活の兆しも見え始めています。公園通りの入り口の「顔」といえば、皆さんご存知の「マルイシティ渋谷」ですが、昨今のファストファッションの台頭などの影響から売り上げが苦戦。こうした背景から2015年度に従来の「マルイ」という名称を変更し、「渋谷モディ(仮称)」として業態転換することが発表されました。アパレルに限らず、雑貨やカフェ・飲食店などのテナントの拡充に力を注ぎ、幅広い年齢層のニーズに応えていくとのこと。絶対的なマルイブランドを捨て、新業態で生まれ変わることが吉と出るか凶と出るか、今年の動きに注目が集まります。さらに「復活」というキーワードも浮上してきました。かつて渋谷かいわいには、公園通りに「大盛堂書店本店(現、ZARA公園通り店)」や駅近くに旭屋書店、東急文化会館の「三省堂書店」、文化村通りに「Book 1st」などの書店が集積し、「渋谷=大型書店の街」というイメージが強くありました。ところが、ネットショップの台頭から2000年中ごろに書店の閉店が相次ぎ、「渋谷」と「本」のイメージがやや縁遠いものになってしまった感が否めません。こうした中で、2010年(平成22年)に東急百貨店本店「丸善&ジュンク堂書店」、2011年(平成23年)11月に代官山「蔦屋書店」、2014年12月に西武渋谷店パーキング館1階「紀伊國屋書店 西武渋谷店」がオープンし、この数年で「大型書店」復活の動きが出始めています。そのほか、「復活」といえば、2011年に惜しまれつつ閉館したミニシアター「恵比寿ガーデンシネマ」が、2015年(平成27年)春に再オープンするという朗報も聞き逃せません。『スモーク』(1995年)、『ボウリング・フォー・コロンバイン』(2003年)、『モーターサイクル・ダイヤリーズ』(2004年)などのヒット作を数々上映し、ミニシアターブームをけん引してきた劇場の復活は、「書店」と同じく、街の文化を支えるインフラとして歓迎すべきニュースと言えるでしょう。
左上)マルイの新業態「モディ」のイメージ。
右上)かつてのミニシアター「恵比寿ガーデンシネマ」。
下)渋谷西武店パーキング館1F路面にオープンした「紀伊國屋書店」


7位「道玄坂に活版印刷のコワーキングスペースが誕生!」
現在、渋谷にはFabCafe(道玄坂)、FabLab Shibuya(宇田川町)、co-factory(宇田川町)、&Fab(宇田川町19-6 西武渋谷店モヴィーダ館7階)など、3Dプリンターをはじめとする「デジタルファブリケーション」が使えるスペースが増加。ノマドワーカーやコワーキングスペースとの相性も良く、巨大な資本がなくとも、PC一つでベンチャー発のものづくりが可能な時代となりつつあります。こうしたデジタル化社会が急速に発展する一方、7位には「活版印刷のコワーキングスペースが誕生!」がランクイン。2014年(平成26年)11月、道玄坂にオープンした「プリントワークススタジオ渋谷」は、「活版印刷機」でものづくりが楽しめるコワーキングスペースです。手間がかかり、時間がかかり、生産能力も少ない活版印刷機は、時代を逆行するアナログマシンですが、印字の凹凸感など、デジタルにはない味わいも魅力の一つ。同スペースでは、印刷注文から活版印刷機を使ったものづくり、紙の加工など出来るワークスペース、Free WiFiでPC作業が出来るコワーキングスペースなどが備えられ、「古さ」と「新しさ」が融合する新しいものづくりスペースとして目が離せません。
画像)道玄坂にオープンした「プリントワークススタジオ渋谷」。レタープレス活版印刷で名刺、ショップカードなどの制作が出来ます。

9位「雪だるまから渋谷土産まで、没後80年で『ハチ公』の存在感が増す」
渋谷駅の「忠犬ハチ公像」は待ち合わせスポットとしてあまりにも有名ですが、昨今では外国人の姿が多く、東京を代表する観光スポットの一つとなっています。「渋谷=ハチ公」と言っても過言ではないほど、渋谷のシンボルキャラクターとして揺るぎないポジションを獲得しています。特に昨年(2014年)は、「ハチ公」のキャラクター性が際立つニュースが注目を集めました。2014年(平成26年)2月に渋谷の街が大雪に見舞われた時には、ハチ公像の横に「雪だるまハチ公」が登場。作者は不明ながら、ツイッターやフェイスブックなどSNSを中心にネットで拡散し、ヤフートピックスで紹介されるほどのニュースに。4月には東急百貨店が「忠犬ハチ公像」をモチーフにした新キャラクター「東横ハチ公」が発表され、その後、同キャラクターを使った「新渋谷名物・渋谷土産」が続々生まれています。今まで「ハチ公」をモチーフにした観光土産やグッズは意外に少なく、今後、渋谷の観光PRに向けたプロモーションにも大いに活用されていくのではないでしょうか。今春(平成27年)に没後80年を迎えるハチ公は、渋谷のキャラクターとしてますます存在感を増していきそうです。
左上)大雪に見舞われた渋谷に出現した「雪だるまハチ公」。
左下)ハロウィン時に登場したパンプキンオレンジのハチ公。
右上)東急百貨店のオリジナルキャラクター「東横ハチ公」。
右下)バレンタイン商戦時に登場したチョコレート製のハチ公。


2014年(平成26年)の渋谷のニュースを一気に振り返ってきました。100年に一度と言われる駅周辺の再開発に伴い、「渋谷の街が持つ魅力とは何か?」ということを考える機会が増しています。こうした設問に対する回答の一つが、渋谷の街が持つ「寛容性」ではないでしょうか。サッカーW杯やハロウィンの盛り上がりなど、若者文化を受け入れる懐の大きさは「渋谷らしさ」と捉えることも出来ます。今後、渋谷は再開発で駅周辺に高層ビルが建ち、オフィススペースが増加していきますが、同時に若者たちの居場所も残して欲しいものです。

今年一年が渋谷にとって、皆様にとって良い年になりますようにお祈り申し上げます。


<関連記事>
「独断と偏見で「2011年の渋谷」を振り返る」(2011年12月31日)
「独断と偏見で「2010年の渋谷」を振り返る」(2011年1月7日)
「ゆく渋谷ゼロ年代、くる渋谷10年代」(2009年12月29日)

編集部・フジイ

渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。

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