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フードロスに焦点を当てたドキュメンタリー「0 円キッチン」

フードロスの問題に焦点を当てたドキュメンタリー「0 円キッチン」が2017 年 1 月 21 日(土)より、渋谷アップリンクで上映が始まった。

飲食店やスーパー、さらに一般家庭では、毎日大量の食料が捨てられている。実は世界で生産される食料の 3分の 1は、食べられることなく廃棄されているのだそうだ。その重さは毎年 13 億トンにも上る。こうした社会問題を目の当たりにしたジャーナリストのダーヴィドは、「どうやったら捨てられてしまう食材を救い出し、おいしい料理に変えることができるのだろう?」と問いかけ、自ら改造したキッチン付きの廃油カーに乗って、ヨーロッパ5カ国を巡りながら旅を行う。
(C)Mischief Films
訪れた各国で、ユニークなアプローチで食の無駄をなくす活動を行う人びとと出会い、様々なアイデアを学んでいく。シリアスな問題ながら、新しいチャレンジに取り組む姿をポジティブに追う、愉快で美味しいエンターテイメント・ロードムービーと言える。
(C)Mischief Films
旅の始まりはオーストリア。ダーヴィドは、シェフのトム・リーデラーと一緒に廃棄食品を求めて一般家庭を訪れて、冷蔵庫の中をチェックし廃棄予定の食料品を集めて、フルコース料理を作る。
(C)Mischief Films
ドイツでは有機農園農家を訪問し、収穫物の3分の1が規格外野菜で売れ残る実態を知る。ベルギーでは欧州議会の食堂でゲリラ的に廃棄食材料理を作り、議員たちに食料廃棄問題を訴える。オランダでは肉の消費量の増加を懸念し、肉の代わりになる未来の食「昆虫」に注目。昆虫料理のパイオニア、マリオン・ペータースと一緒に小学校で「昆虫料理」を作り、子どもたちにゴマムシダマシの幼虫を使った団子を食べてもらう。フランスでは1日料理人として漁船に乗り込み、漁獲対象ではない魚が廃棄されてしまう「混獲」の問題に触れ、捨てられる魚で料理を作る。
(C)Mischief Films
旅で使った廃油は684.5リットル、走行距離は5079km、救出した食材は690kg。ダーヴィドは5カ国を巡りながら一流シェフや科学者らの協力を得ながら、消費社会における食の問題を提起して「食材救出」のチャレンジを行っていく。

現在、世界人口は70億人を突破し、2050年には90億人前後に達する見込みだ。アフリカなどでは食料危機で苦しむ人びとがいる一方、先進国ではフードロスとして、大量の食品廃棄物が問題視されている。同作品を通じ、私たちは現在の自分たちの生活を改めて見直しながら、食の未来の在り方についてじっくり考えてみる必要がありそうだ。

併せて1/28(土)上映後13時頃より、昆虫料理研究会代表・内山昭一さんによるトークイベント開催。未来の食として注目される「昆虫食」の魅力や、今後の発展性について語る。

「O円キッチン」
2015年/オーストリア/81分
〇公開:2017年1月21日(土)〜
〇劇場:渋谷アップリンク
〇監督:ダーヴィド・グロス、ゲオルク・ミッシュ
〇脚本:ダーヴィド・グロス
〇撮影監督:ダニエル・サメール 編集:マレク・クラロフスキー
〇音楽:ジム・ハワード
〇制作:ミスチフ・フィルムズ
〇制作協力:SWR/ARTE、ORF
〇プロデューサー:ラルフ・ヴィザー 原題:WASTECOOKING
〇配給:ユナイテッドピープル
〇公式:http://www.unitedpeople.jp/wastecooking/

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