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渋谷でドキュメンタリー映画「息子のままで、女子になる」 トランスジェンダーのサリー楓さんの葛藤追う

トランスジェンダーのサリー楓さんの葛藤を追ったドキュメンタリー映画「息子のままで、女子になる」が6月15日より、渋谷・ユーロスペースをはじめ全国の劇場で公開が始まる。

1993年生まれのサリー楓さんは、8歳から建築家になることを目指し、慶応義塾大学大学院を修了後、国内外のデザインファームを経験し、現在は日建設計でコンサルティング業務などを手掛けている。その傍ら、ファッションモデルやトランスジェンダー当事者としてLGBTQに関する講演などを積極的に行っている。

同作品は、男性として生きることに違和感を持ち続けてきた楓さんが、幼い頃からの夢であった建築業界へ就職を控える中で、女性として生きていこうと決断するところから始まる。世間にある“トランスジェンダー”という既成概念に疑問を抱いていた楓さんは、ビューティーコンテストへの出場や、LGBT就職支援活動、講演活動、メディア出演などを通じて、これまでのステレオタイプとは違う、一個人としてのトランスジェンダー女性像を打ち出す。こうした活動を通じて、徐々に注目を集める存在となる一方で、楓さんの胸中には、息子として父親の期待に応えられなかったという心の傷が残っていた。新しい自分、本当の自分として世界に出た時、家族はそれをどう受け止めるのか。その対話にもカメラは同行する。社会的な評価を手にしたトランスジェンダー女性と、父親との関係に自信を取り戻したいとひそかに願う息子。社会の常識という壁に挑みながら、自分だけの人生のあり方を模索する新しい女性の誕生ストーリーである。

作品を手掛けたのは、ミュージシャン・三宅洋平の選挙に密着した長編映画『選挙フェス!』などを監督した杉岡太樹さん。「『多様性』や『ダイバーシティー』という言葉の使われ方はどこか排他的な空気を感じる。男性に生まれた楓が女性として生きようとする意志も、その息子の決断に戸惑う楓の父親の感情も、誰にも蹂躙(じゅうりん)されるものではない。多様性を含む社会では、理解できないことを理解できないまま受け入れ、共存する必要があるはずで、それは表面的には白黒はっきりせず、一筋縄ではいかないでしょう。そして、忍耐力が必要」(杉岡監督)とコメントを寄せている。

男、女、ニューハーフ、オカマ、ゲイ、LGBT、ダイバーシティ……というカテゴリーで分類することそのものが、そもそもナンセンスなのかもしれない。

「息子のままで、女子になる」
106分/日本語・英語/カラー ©2021「息子のままで、女子になる」
○上映:2021年6月15日〜
○劇場:ユーロスペースほか
○制作・監督・撮影・編集:杉岡太樹
○出演:サリー楓/Steven Haynes/西村宏堂/JobRainbow/小林博人/西原さつき/はるな愛
○エグゼクティブプロデューサー:Steven Haynes
○公式:https://www.youdecide.jp/

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