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公園通りの花壇に注目! 開催期間が終わっても楽しめる「渋谷公園通りフラワーフェスティバル」

渋谷駅から代々木公園へ向かう公園通りの坂道を歩く際、道沿いにさまざまな形状の花壇が設置されています。その花壇を活用して毎年「渋谷公園通りフラワーフェスティバル」が開催されていることをご存知でしょうか?

「渋谷公園通りフラワーフェスティバル」は渋谷公園通商店街振興組合が主催し、2006年から行われている「花」をテーマにしたイベントです。今年も5月25日〜6月12日にかけて開催され、渋谷モディの前から区役所に向かう坂道沿いの花壇にプロアマ合計30組の参加者が、それぞれのガーデニングを披露しました。

2022年6月10日(土)、渋谷PARCOで「2022渋谷公園通りフラワーフェスティバル 渋谷公園通国際ガーデニングコンテスト」の表彰式が執り行われ、一般投票で選ばれたトップ5の参加者が表彰されました。 6年前に渋谷公園通りの活性化を目的にスタートしたこのコンテスト、2020年からの新型コロナウイルス感染症拡大の影響は受けつつも、中止することなく開催を続けることで街の活性化に取り組んでいます。

渋谷モディ前から公園通りを上っていくと、さまざまな趣向を凝らした花壇が並んでいます。各花壇に設置された作品紹介メッセージを読むと、制作にまつわるコンセプトやストーリーが伝わり、ただ綺麗なだけではない参加者の想いが伝わってきました。

▲ (前列左から)石原和幸審査委員長、長谷部健渋谷区長、川原惠渋谷公園通商店街振興組合理事長とコンテスト参加者および関係者の方々。

「一般投票をコンテストの結果に反映することは、以前から行っていたのですが、今年は道ゆく人々が気に入った作品にQRコードを利用して投票できるようにしました。そのおかげか、例年はなかなか伸びなかった投票数が204票も集まったんです」と語ってくれたのは本フェスティバルの実行委員長を務める渋谷公園通商店街振興組合 理事長 川原惠さん。 今年は気合いの入った作品が多く、手間と時間をかけた作り込んだ作品も多く見受けられたそうです。

イベント期間終了後も花壇はそのままなので、現在も公園通りを訪れると季節の移ろいとともに咲く草木が変わるさまも楽しむことができます。コンテストに向けて素晴らしい花壇を作り上げるだけでなく季節の変化と共に来年まで楽しめる工夫を凝らすというのは、SDGsや継続的な街づくりの観点からもとても有効な街の活性につながっていくといえます。

|街を彩った、ユーモアやストーリーを楽しめる花壇

審査委員長の石原和幸氏は権威あるイギリスのチェルシーフラワーショーにおいて11回のゴールドメダルを受賞し、エリザベス女王から「緑の魔術師」と呼ばれたガーデニング界の第一人者。 「今年の参加作品は全体的にユーモアのある作品が多く、刺激になりました。また、来年以降への期待として、海外からの参加者が来ることで渋谷からアジア、そして世界を草花によって繋げていきたいですね」と総評として語りました。

▲(株)トシ・ランドスケープの作品。

渋谷区長賞を受賞したのは(株)トシ・ランドスケープ。 「山村暮鳥の『風景』という詩からインスピレーションを受け、“いちめんのなのはな”の代わりに千日紅を植え、渋谷には色々な人がいるけど、お互いを意識し合わない人々を丸い花で表現しています。ハチ公や渋谷区役所も石などで表現してあります。実は秋になると彼岸花が咲くように仕込んであるので、それも楽しみしてほしいです」と、デザインを担当した加藤バンジャマン正拓さんは語ってくれました。長谷部区長も「紫の丸い花の中と黄色い丸い花の関連性が面白い」と評していました。

▲(株)石原和幸デザイン研究所の作品

実行委員長賞を受賞した(株)石原和幸デザイン研究所の作品は花壇の中に壮大な作品が。はさまざまな草花が花壇いっぱいに咲き、圧巻! 多種多様な草花が一つの花壇の中で調和され楽しめるというのはガーデニングの醍醐味なのかもしれません。

▲トウレックス(株)の作品。葉っぱの陰に人形たちが隠れています。

トウレックス(株)によるカエルや小さな妖精のような人形が配置され物語の一コマのような作品は「ユーモアにあふれていて、簡単には思いつかないような作品」と審査委員長賞を受賞しました。

準優秀賞を受賞したLi-PoとE&Gアカデミー25期生の作品もそれぞれの個性が光っていました。

▲よく見ると黄色いモアイ像も? Li-Poの作品

▲DE&Gアカデミー25期生の作品。

ひときわ目を引く黄色いベンチや花壇が設置されたLi-Poの作品は明るい雰囲気にまとめられており、なんだか元気が出ます。 DE&Gアカデミー25期生はガーデニングスクール同級生13名による作品で、コロナ禍でなかなか人に見てもらう作品作りができなかった状況からの挑戦でした。仲間でコンセプトを話し合い、アーチや滑り台、枕木などを用い、変化し成長し続ける「渋谷」という街を表現しました。枯れてしまう花を用いず、長く楽しめるというのも拘ったポイントだと話してくれました。

また、福島県相馬郡飯館村と株式会社庭坊の協力のもと、東日本大震災復興支援として相馬郡飯舘村の復興を願い、現地から持ち込まれた紫の可愛い花が咲く花壇も設置されました。

▲福島県相馬郡飯館村より持ち込まれた花が咲く花壇。

|花壇だけではない取り組みが今後も楽しみな公園通り

「公園通りフラワーフェスティバル」に合わせ、北谷公園近くのコワーキングスペースSLOTHのギャラリースペースではコロナ禍で人気を博した音声配信SNSアプリ、Clubhouseで出会ったアーティスト集団『ui』による展示、『 結 〜開放〜 』を開催(会期:2022年5月29日〜6月12日)。

▲5月29日~6月12日、SLOTHのギャラリースペースで開催された展示の様子。

モデル、スタイリスト、カメラマン、ダンサー、ライターなどさまざまなバックグラウンドを持つクリエイターがチームになり「解放」「和」「花」をテーマに花の和名からインスピレーションを受けた作品を作り上げました。 「百合」「桜」「霞草」といった馴染みのある花だけでなく、「極楽鳥花」といったインパクトのある花や漢字であまり見慣れない「秋桜(コスモス)」「麝香豌豆(ジャコウエンドウ・スイートピー)」といった花もあり、花名を見ているだけでも発見があります。各人が自分の得意とする表現を持ち寄ることでよりストーリー性の高い作品に仕上がっている印象を受けました。 また、フラワーフェスティバルのプロモーション映像を『ui』メンバーである@eus_kid が作成し、渋谷モディの街頭ビジョンで放映するなど例年とは違う試みも行われました。

公園通りの花壇は区が管理をしているため区役所の職員との連携、花壇を維持するための人員確保が必要となり、ボランティアで花壇の手入れをするというコンテスト参加者も。せっかく植えた草花を長く楽しんでほしいと、冬には気温が低い時期に咲き、長く花を楽しめるというアイスチューリップを植える予定だと話してくれた参加者もおり、その場限りではなく、季節を通して街を訪れた人々に花壇を楽しんでほしいという姿勢が伝わってきます。

QRコードを取り入れての投票、街頭ビジョンでのイメージビジュアルの放映、アーティスト集団とのコラボレーションなど新しい取り組みを続ける渋谷公園通りフラワーフェスティバル。来年も同時期に開催を予定しているそうですが、次回は渋谷区役所沿いの坂道にどんな彩りを添えられるのかが楽しみです。

川原理事長は「5月から6月にかけてはフラワーフェスティバルを、そして冬には青の洞窟を毎年開催してきました。積極的に渋谷の街と公園通りを活性化するための工夫をしてきています。来年もまた開催する予定なので、みなさんにはぜひ公園通りを訪れて道沿いの花壇に目を向けていただければ」と呼び掛けました。

「花」をテーマに、街の活性化に注力する公園通りの取り組みを紹介しました。公園通りに行く機会があれば、ぜひ花壇にも目を向けて見てください。

イトウノリコ(tannely)

結婚、出産を期に渋谷に移り住んで15年。人生は飲む食う楽しむ!誰かの面白いが他の誰かの面白いにつながるのが大好き。ライターと並行して翻訳や制作も行っています。

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