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「アート×テック」が融合した「渋谷の街」回遊型イベント 初日レポート 

「ART」と「TECH」が融合した最新カルチャーが体験できる回遊型イベント「DIG SHIBUYA2024」が1月12日、代々木公園や北谷公園、CCBT、MIYASHITA PARKなど区が管理する公共スペースや、アートギャラリーなどを活用し始まった。会期は1月14日まで。

渋谷にはライブハウスやギャラリーなど、150を超える文化・エンターテインメント施設が存在する。コロナ禍では、存続に苦しむ施設やスペースも少なくなかった。区ではそうしたスペースを「文化的な資産」と捉え、文化・観光・産業の活性化を目指すため、初開催となる今回のイベントでは、区やパートナーが管理している公共スペースや施設などを開放し、事前公募で採択された「アート×テック」を絡めたクリエイターの作品発表の場として提供。街や施設を回遊しながら、最新カルチャーが楽しめ、新たな交流が生まれる街イベントとして期待される。

メインプログラムを手がけるオフィシャルプログラム1団体、事前公募プログラム13団体、連携プログラム9団体の作品やアートプロジェクトが、渋谷の公共スペースや施設などで展示・開催される。開催初日を迎え、渋谷各所で展示されているアート作品の中から、いくつかピックアップして紹介したい。

まず、メインプログラムを手がけるアーティストは、ロサンゼルスに拠点を置くFriendsWithYou(FWY)。マイアミ生まれのサミュエル・アルバート・ボークソンさんと、キューバのハバナ生まれのアルトゥーロ・サンドバルさんによる2人組アートユニットである。空気を入れて膨らませるインフレータブル作品を数多く手がける彼らは、幸せな気持ちや愛を世界中に広めることを目的にパフォーマンスを行っている。

▲代々木公園けやき並木で展示中のリトルクラウド

今回のイベントでは、代々木公園けやき並木、公園通りでそれぞれアート作品やパフォーマンスを展開。代々木公園けやき並木で12日〜14日、彼らの象徴的なアートワークである直径2メートルのLittle cloud sky(リトル クラウド スカイ)が、頭上に計19個並ぶインスタレーションを掲出。会期中、かわいらしい雲のキャラクターを背景に写真撮影ができるアートスポットとなりそうだ。

▲13日、公園通りを交通規制し「ハッピー・ダンシング・レインボー・アライアンス」のパレードが行われる。

公園通りで13日に開催されるThe Happy Dancing Rainbow Alliance(ハッピー・ダンシング・レインボー・アライアンス)は、「渋谷区役所前交差点」から「勤労福祉会館前交差点」の区間を交通規制し、今まで彼らが制作してきた数々のインフレータブル作品、音楽隊と共に公園通りを一緒に闊歩する参加型のパレードイベントを行う。FWYは「レインボーアンバサダーと共に、カラフルで楽しいパーティーで一緒に踊りながらお祝いし、共に発したエネルギーで、地球を超えて愛のメッセージを伝えましょう!」とパレード開催に向けてコメントを寄せる。交通規制時間は13日 11時〜16時まで。

公募や連携プログラムも見ていこう。渋谷区立北谷公園を会場とする公募プログラムの採択団体「Lived Montage Project」は12日〜14日まで、独自のゴーグル型装置を使った体験型イベントを行っている。
▲ゴーグル型の装置。内部にディスプレーが内蔵され、互いの映像データをWiFiでPCに飛ばし、複数の参加者が見ている視覚を混在させる。自分の目線とは異なる。他者から見た新たな視覚の存在を感じることができる。

参加者はそれぞれユニークな形状のヘッドセットを装着し、目の前に映る像を見ると、その像は自分が見ている視覚だけではないことが分かる。その場にいる参加者それぞれが見ているリアルタイムの像が、自分の視覚のように次々に映し出されていく。それは複数のカメラで様々なアングルから撮影したドラマや映画作品を見ているような感覚に近いかもしれない。テキストではなかなか伝えきれないため、百聞は一見に如かず、ぜひ会場で参加してみてほしい。

▲自分の視覚ではない像が見えているため、うまく歩くことができない。

同じく公募プログラムの採択団体である「Academimic」は、勤労福祉会館で「あなたの人生の培養技術」を展示。科学とポップカルチャーの融合を掲げる同団体は、学術論文で発表された専門的な内容を、最新テクロノジーを使ってアートとしてアウトプットする試みを行う。
▲丸い黄色い部分には、ニワトリの心筋がピクピクと動き、その拍動に合わせて木魚のようなポンポンという音が部屋に響いている。

同会場で展示されている「鼓動する位牌」は、1912年、アレクシス・カレル氏がニワトリの胚の心臓の一部の培養に成功した学術発表をもとにして、ニワトリ胚の心臓の一部を培養し、その拍動をお葬式時の木魚の音に見立てたインスタレーション作品。最新テクノロジーの先には、シュールな未来が待っているのかもしれない。

▲動点観測所の入口。将来的には移動式の観測所を目指し、3輪車で屋外に装置を持ち出しリサーチを行っていく予定だという。

続いて、東京都が取り組む「CCBTアート・インキュベーション・プログラム2023」に採択された団体TMPRの「動点観測所」が12日〜21日まで、DIG SHIBUYAの連携プログラムとして東武ホテル地下2F・シビック・クリエイティブ・べース東京(CCBT)で開催されている。
▲参加者がボタンを押すと、AIが自動で散策ルートを導く。レバーを横移動させることで、いくつかルートを選択することも可能。

参加者は観測所の「作業員」として情報収集作業(街歩き)にエントリーし、AI(人口知能)が参加チーム毎に描き出す独自ルートに従って、渋谷散策に出かける。
▲CCBT内の観測所の様子。中央に投射される画面には、現在、情報収集作業に出ている参加者たちの移動ルートがリアルタイムで表示されている。

参加チームはAIが示したルートを辿りながら、映像撮影などの情報収集も行う。約30分の人工知能紀行を終え観測所に戻ると、AIが人間の体験を予測して参加チームの日記を自動作成する。
▲AIが人間の体験を予測して自動作成した日記を見ながら、参加者が赤字で訂正し、実際の体験との差分を埋めていく。参加者の日記は、会場内の壁に貼り出させている。

参加チームはAIが綴った日記を読み返しながら、実際のツアーと異なる部分や表現に赤字で訂正を加え、人間とAIの差分を可視化し確かめていくというワークショップとなる。AIによる「予測」と、人間の身体による「体験」はどこまでシンクロし、一方でどこまで異なるのか。渋谷の街歩きを楽しみながら、いま話題のAIとの付き合い方を考えてみてはいかがだろうか。 1/12〜1/21(1/15休み)、13時〜19時まで。要事前申込。

▲深夜の渋谷スクランブル交差点で開催される映像プログラムのイメージ。終電を乗り過ごした方はチェックを。

3日間のイベント会期中、24時〜25時にかけて、深夜の渋谷スクランブル交差点の4つの大型デジタルサイネージをシンクロさせた映像プログラム”Shibuya Crossing Night Art”を展開。30組以上の国内外のアーティストによる映像作品が楽しめる。

そのほか、渋谷区立宮下公園やPARCO GALLERY X、渋谷センター街駐車場など、公園通り中心に様々なプログラムが用意されている。詳しくは公式ホームページをご確認ください。

DIG SHIBUYA 2024
〇開催:2024年1月12日(金)から1月14日(日)の3日間
〇会場:渋谷公園通り周辺エリア、代々木公園ケヤキ並木、渋谷区立北谷公園、などの公共スペースや周辺のギャラリースペース、Spotify O-EAST他
〇参加:無料
〇主催:SHIBUYA CREATIVE TECH実行委員会
〇共催:渋谷区
〇後援:一般財団法人渋谷区観光協会、一般社団法人渋谷未来デザイン
〇公式:https://digshibuya.com

編集部・フジイタカシ

渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。

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