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松田優作写真集『スローニュアンス』発売

今秋公開された、北野武監督作品『アキレスと亀』。僕も公開早々渋谷シネ・アミューズに足を運んで、しっかりと鑑賞してきました。ここ2.3年、プレス関係者向けの試写室でばかり映画を観ていたのですが、北野武入魂の注目作とあってはきちんと劇場に足を運ぶしかないでしょう(ただ単に試写状が送られてこなかっただけなのですが…)。それにしても、作中で描かれる才能が無く、それでもジタバタと足掻く売れない絵描きの姿は、現在の僕自身とダッブって何ともいたたまれない気持ちにさせられました…

その『アキレス〜』でスチールカメラを担当した写真家・渡邊俊夫氏の『松田優作写真集/スロー・ニュアンス』が発売された(写真1)。本の帯に“松田優作ライブ写真集!!”と銘打たれているこの本は、永遠のカリスマ俳優のミュージシャンとしての側面を余すところなくとらえた、他に類書の無い貴重な一冊だ(写真2)。何を隠そう、中学・高校の頃は僕も熱心な優作ファンでした。85年に公開された大作『それから』は、公開初日に劇場へと駆け付けたことを今でもよく覚えています。そんな僕でも、松田優作がシンガーとしてこれほどの輝きを放っていたことは、この写真集を見るまで全く知らなかった。「カメラマンの評価はどんな被写体を見つけてくるかで決る」とよく言われるが、まさにその言葉を地でゆく、カリスマのアナザーサイドを記録し、20数年の時を経て公開してくれた渡邊カメラマンの力量に再敬礼だ。
パルコブックセンターをはじめ、渋谷の大型書店各所でレコメンドされてる本書、優作ファンは是非お目通しを。

高橋慎一(フォトグラファー)

98年よりフリーランス・フォトグラファーとして独立。現在、雑誌・書籍・CDジャケットなどで活躍中。また、ライターとして音楽関係、海外紀行、ドキュメント記事等を雑誌や書籍で精力的に執筆。

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