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軽く酔う、魅惑のキノコ

先週末、パルコ・ロゴスギャラリーで開催中の「魅惑のキノコ〜切手と図鑑で巡るキノコ紀行〜」展へ行ってきました。この展覧会は、天才アラーキー研究や、写真誌「deja-vu」の編集でも知られる写真評論家の飯沢耕太郎さんが、今までに趣味で集めた5000枚上ものキノコ切手をもとに作られたビジュアルブック「世界のキノコ切手 〜around the world with a mushroom stamp〜」の発行を記念して催されているもの。


飯沢さんが集めたものといえば、危ない写真集ばかりをコレクションした「高円寺・D-libraryカオリナイト」のプロデュースもそうですが、どうも何か怪しげなものを博物的に収集するのが好きな方のようです。先日、BUNKA×PERSONコーナーで、アーティスト・アラキミドリさんに澁澤龍彦さんについてインタビューしたときに、「澁澤さんの好きになるもの、モノの収集方法は極めて男性的であるのでは・・・」と言っていたのがとても印象的でした。つまり、女性が直感、感情的にジュエリーや衣類などを愛しむのに対し、男性のモノ集めは博物的であり、非常に整理をされたものであるということ。なるほど、よく頷けます。確かに私も、幼少期の牛乳瓶の蓋から始まり、めんこ、ミニカー、切手、古銭、割り箸の紙、切符、さらにはカマキリの卵(これは100個以上集めました。部屋で卵が突然ふ化して数百匹のカマキリが逃げ出し、家中、大パニックでしたが・・・)に至るまで、振り返れば妙なものを色々集めていました。もちろん飯沢さんや、澁澤さんのように決して高尚なものではありませんが・・・。

ところでキノコって、怖くて、それでいてちょっとエロスを感じる存在ではありませんか(勝手な私のイメージでしょうか・・・)。シェープもそうなのですが、黒白以外にも、ビビットな色彩のキノコも数多く、きっと脳に強い刺激を与えているのかもしれません。偶然、公園やちょっと湿った日陰で、不意にキノコに出くわしたときに「もしかしたら、あのキノコは私を襲うのではないか?」と身の危険を感じることも・・・(やや大袈裟ですが)。そこでちょっと不気味で、それでいて魅力的なキノコのことをもっと勉強しようと、この展示会で見つけた「都会のキノコ図鑑」(八坂書房)という本を早速入手。これは東京近辺の公園や庭先など、身近なところで見られるキノコ267種を写真付きで紹介するもので、キノコの特徴や性質はもちろん、味・においや、食毒についても細かに説明が加えられています。例えば、食毒:「消化器官に作用」「おいしくない」などと記載されているわけですが、一体こんな見るからに毒々しいキノコを誰が食べたのだろう・・・と想像を膨らませてみたり、中には「カレーに入れるとおいしい」とレシピのアドバイスまで書かれていたり、中々楽しめる1冊です。但し、あまり長時間、キノコを眺めていると軽い乗り物酔いと同じ症状に陥るので要注意!(私も軽いめまいに襲われました) 初心者には写真とはいえ、目から入ってくるシェープと、色情報だけも、相当な刺激となっているようです。もしかすると、食べずともキノコの毒にやられているのかも・・・。いずれにしても、今後の街歩きを楽しくしてくれるアイテムになること間違いなし。

さて話を展示に戻しますが、会場には国別に収集されたキノコ切手のほかに、飯沢さんが自らコラージュしたキノコ作品も数点展示販売されています。こちらも見逃せない、シュールリアリスムな秀逸作品です。開催期間は6月6日(水)まで、明日、渋谷に訪れる予定がある方はのぞいてみはいかがでしょうか。

編集部・フジイタカシ

渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。

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