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二面性を映し出すアートユニット「キュンチョメ」、岡本太郎と「対決」展

岡本太郎の世界観に気鋭現代アートユニット「キュンチョメ」が切り込む特別展「もう一度太陽の下でうまれたい」が現在、岡本太郎記念館で開催されている。

南青山・岡本太郎記念館

岡本太郎記念現代芸術振興財団らが主催して、「時代を創造する」アーティストを選出する第17回「TARO賞」受賞作家の特別展。展示を行うのは2011年に結成した男女のアートユニット「キュンチョメ」で、東日本大震災の被災地でひたすら遠吠えを続ける「遠い世界を呼んでいるようだ」(2013)、自殺の名所である樹海で「もういいかい」と誰かに呼びかけ続ける「なにかにつながっている」(2014)など「人が人として生きることから生まれる問題や矛盾や執念」を扱う作風が特徴。足元の大量の米を踏み進んだ先に被災地で撮影した映像作品を配した「まっかにながれる」(2014)が、震災後の日本で生きる緊迫感を伝えるものとしてTARO賞受賞に至った。
受賞作家の特別展となる同企画では、作家と太郎との「対決」がコンセプト。会場では太郎の代表作「太陽の塔」の太陽が塔の背面に描かれていることに着目し、太陽の瞳に鏡を使って光を宿した映像作品を上映する。ほかにも旧都庁の解体に合わせて取り壊された壁画作品「日の壁」や、行方不明となった「地底の太陽」など、太郎作品の中でも「輝けなかった太陽たち」に着目。キュンチョメ独自のアプローチで、それらの作品群に新たなエネルギーを注ぎ込んだ。
原発事故、自然災害、政治の混乱…震災以降の日本では、それまで信じられてきたあらゆる力の「安全神話」が崩壊したように感じる。善悪・裏表・明暗…キュンチョメの作品に感じられる二面性は、「絶対大丈夫」という言葉の胡散臭さに気がついてしまった私達自身の迷いでもある。キュンチョメの作品を通して、自分の足元がいろいろな選択の結果の上にあるのだということを、改めて見直すきっかけにしてみては。

併せて、会場では太陽の塔の内部に設置される「生命の樹」を扱ったメイン企画「岡本太郎の『生命体』」も開催。4月17日(金)には作家によるトークショーも実施(18時30分〜、要予約)するほか、5月下旬からは、岡本敏子賞を受賞した アーティスト・サエボーグさんの特別展が続く予定(6月14日まで)。

第17回岡本太郎現代芸術賞受賞作品展
〇開催:
<第一回キュンチョメ> 
2015年4月1日(水)〜4月20日(月)
<第二回サエボーグ>  
2015年5月下旬〜6月14日(日)
〇時間:10:00〜18:00 ※火曜定休(火曜が祝日の場合は開館)
〇会場:岡本太郎記念館
東京都港区南青山6-1-19
TEL.03-3406-0801
〇料金:一般620円ほか
〇公式:http://www.taro-okamoto.or.jp/

編集部・横田

1980年生まれ、神奈川県在住。大学進学を期に上京して以来渋谷はカルチャーの聖地です。現在は渋谷文化プロジェクト編集部に所属しながら、介護士として働くニ足のわらじ生活です。

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