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KEY PERSON キーパーソンが語る渋谷の未来

渋谷を中心に活躍する【キーパーソン】のロングインタビュー。彼らの言葉を通じて「渋谷の魅力」を発信します。

プロフィール

1960年生まれ。1983年にシンガーソングライターとしてデビュー。2007年末までに45枚のシングルと18枚のオリジナルアルバムを発表。音楽活動のほか、俳優として多くの映画やドラマに出演し、テレビ番組の司会、ラジオ番組のパーソナリティー、エッセイなど、幅広い分野で活躍を続けてきた。2008年、国内の音楽活動にひと区切りを漬け、ジャズピアニストを目指しニューヨークへ渡る。2012年、ニューヨークに新レーベルを立ち上げ、同7月にジャズピアニストとしてのデビュー作「Boys Mature Slow」を全米発売。日本盤は自らの52歳の誕生日に合わせて9月6日に発売したばかり。

シンガーソングライターとして数多くのヒット曲を世に送り出してきた大江千里さん。2008年に自らの夢であったジャズピアニストを目指し、単身ニューヨークへジャズ留学。4年間の学校生活を経て、念願だったジャズピアニストとして全米デビューを果たしたばかり。渋谷との付き合いはポップシンガーとして上京してきて以来、かれこれ30年近くになると言いますが、久々に帰国した大江さんの目に「渋谷の街」はどのように映ったのでしょうか。「渋谷音楽祭」の出演を控える大江さんに、音楽祭への参加の経緯から渋谷の持つ魅力に至るまで、じっくりとお話を聞きました。

ジャズとクラシックを融合させると、1+1は2じゃなく、それ以上に…

--まず今回、「渋谷音楽祭」に参加してみようと思った理由を教えてください。

「渋谷音楽祭」には渋谷の街全体を巻き込み、音楽が街を埋め尽くし、そこからコミュニケーションをつくるという壮大な計画がある、という主催者の熱い気持ちを聞いた時に、これは面白いなと思いました。そもそも音楽には、上手いも下手も関係ない。音楽を楽しむ気持ちさえあれば、生活の中に音符が流れているようなものだと思うし、それが渋谷という街なんだと思う。僕なんか、大阪の人間からすると渋谷はハードルが高い街だったんですが、でも今はすごくダウン・トゥ・アースというか、地面に近いところでみんながつながり合っている印象で。いろんなことをやってもオーケーだし、そこに人間の喜怒哀楽が街に溢れかえっている感じがするし、なんか想像するだけでも楽しい。それから、もう一つの楽しみは東京フィルハーモニー交響楽団と共演ができること。東京フィルさんに僕が飛び込んで、その胸板を借りて演奏させていただくというのは、音楽家としてこの上ない光栄だと思っています。

--今までにオーケストラと一緒に演奏したことはありましたか?

指揮者の佐渡(裕)さんや久石(譲)さんとお仕事したことはありますが、自分がその舞台に立つということは無かったです。今回僕が共演するのは、『ニューヨーク、ニューヨーク』というスタンダード。やってみないと分からない部分もありますが、うまく融合できればいいですね。クラシックにはクラシックの、ジャズにはジャズ独特のノリがあるので、そこがうまく噛み合って、「東フィル+千里」ならではの面白さみたいなものが、短い時間の中で創り上げることができたらいいな思っています。新しいことを始める時って、いつも不安と期待が入り交りますが、今は期待のほうが大きいですね。

--「ニューヨーク、ニューヨーク」のほかにも演奏されるのですか?

2曲目には、僕のアルバム『Boys Mature Slow』の中から『My Island』を演奏します。この曲は、もともと僕がヒッチコックの映画音楽をよくやっている、バーナード・ハーマンという人に影響を多大に受けていて、その人からアイデアをもらって作った曲なんですね。僕のアルバムの中ではクインテット(5人編成のジャズコンボ)でやっているんですが、非常に映画的なので、オーケストラのような大きい編制でやると栄える曲だと思っています。ジャズとクラシックの良いものを融合させると、それは1+1が決して2じゃない、それ以上に掛け算になって栄える。何かケミストリーが起こるかもしれないし、そんな可能性を秘めている曲なので、今回は『My Island』を選びました。譜面の正確性というのも活きてくると思う。アーティキュレーション(強弱)とか、アレンジャーが意図したことをプロ中のプロの人たちが演奏してくださるので、その中で僕がジャズ特有の少しレイドバックした部分、おいしい部分で泳がせていただく。お互いが良い反射で、この2曲を膨らませていければいいなと考えています。

都会の真ん中で行う音楽祭は、もう「アリス・イン・ワンダーランド」

--ちなみに渋公出演はいつ以来になりますか。

約10年ぶりに渋谷公会堂で演奏を行う

10年ぶりぐらいになるかもしれないですね。僕は渋公がものすごく好きなんです。東京でどこが好きだって聞かれたら真っ先にここを挙げます。楽屋の隅々、トイレだって目をつぶってでも行けますよ(笑)。ほんとに聴きやすいホールですし、僕はここに「音楽の神様」がいると信じています。なぜだろう、自分の心と体とのバランスなど、きっと全てが合っているというか、抱きしめられるような大きさがあるんですよね。そういう所でできるというのは、非常に光栄だし楽しいです。

--今までにいろんな音楽フェスにご出演されていると思いますが、今回の渋谷音楽祭のように「街の中」で行うフェスをどのように捉えていますか?

ニューヨークではセントラルパークで、「ジャパンフェスティバル」というイベントがあって、それに出演したことがありますけど、とても気持ちがいいですよね。やっぱり、都会の真ん中でやる格別な感じもあるし、特に野外とか、路上とかね。普段は音楽がやれない場所が、全部音楽のために両手を広げて待っててくれる。なんか、もう映画の中に迷い込んだような、「アリス・イン・ワンダーランド」な状態なわけですよ。音楽って生活の中に根ざしていて、言葉じゃ埋まらない部分が鼻歌だったり、自分の気持ちを埋めてくれる日常の中にあるもののはずだと思うし。だから、渋谷音楽祭という形で、両手を広げて受け入れてくれる場所を提供してくれる、というのはすごくいいことですね。

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