渋谷文化プロジェクト

渋谷をもっと楽しく!働く人、学ぶ人、遊ぶ人のための情報サイト

渋谷ヒカリエと隣接する「渋谷二丁目17地区」再開発始動 2024年の開業目指す

現在工事中の渋谷駅周辺の大規模再開発に加え、渋谷ヒカリエと隣接する「渋谷二丁目17地区エリア」の新たな再開発事業計画が明らかとなった。

▲「渋谷駅東口地区都市計画素案について」(2018年発表資料)より

場所は渋谷ヒカリエと隣接する青山通り沿い。シオノギ渋谷ビル(1980年竣工)、渋谷アイビスビル(1961年竣工、1984年増築)、渋谷東宝ビル(1971年竣工)、太陽生命渋谷ビル(1968年竣工)のビル4棟を、高さは約120メートル、地上23階建てのビル1棟に建て替える。
▲左から「シオノギ渋谷ビル」「渋谷アイビスビル」「渋谷東宝ビル」「太陽生命渋谷ビル」

築39年から築58年と同地区はビルの老朽化が進んでいることが大きな要因の一つだ。複数の地権者による共同事業にすることで、各地権者が負担する事業費コストを抑えるとともに、建物・空間の質を高めるデザインや、事業利益につながる地域価値の上昇を見込むことができる。

▲「渋谷二丁目17地区」再開発で建設する複合施設の外観イメージ(画像提供=渋谷二丁目17地区市街地再開発組合)

新しく建て替えるビルは、地下2階、地上23階建ての複合施設として整備を行う。1階〜4階の低層部は、路面のにぎわいや憩い空間を創出するため、商業機能や広場などを設け、5階〜23階はオフィス(総賃貸面積約249,25平方メートル)。五輪後の2020年度中に解体を含めて着工し、開業は2024年度中を予定する。

また今回の再開発では、同17地区エリアが抱えるまちの課題も解決するという。同エリアは渋谷駅から近く、渋谷と青山エリアをつなぐ好立地ながらも、急こう配の坂道の中腹に位置するとともに、青山通りなどの大きな幹線道路に面していることから、渋谷駅から青山方面、渋谷クロスタワー、渋谷三丁目方面など、周辺エリアへの回遊が妨げられている。
▲二丁目17地区から渋谷クロスタワー側にかかる歩道橋

特に通勤・通学時間帯は、青山通を跨ぎ、渋谷クロスタワー側への唯一の動線である歩道橋階段がものすごく混雑する。雨の日に傘をさしながら、ここ昇り降りするのは容易ではない。

もう一点、渋谷ヒカリエの裏側にあたる同エリアは、通勤・通学利用する人びとが多いにも関わらず、渋谷ながら店舗や人が憩うスペースが少なく、まちの賑わいに欠けていることも課題として挙げられる。

▲上)現在の渋谷ヒカリエ裏手の道 下)新施設開業後の賑わいイメージ(画像提供=渋谷二丁目17地区市街地再開発組合)

こうした課題を解決するため、まず渋谷ヒカリエ3階から同ビル2階に歩行者デッキが伸び、さらに青山通り側では同ビル2階から渋谷クロスタワーまで、既存の「金王坂下歩道橋」でつながる。渋谷駅から渋谷ヒカリエを抜け、同ビル内の屋内広場(吹き抜け空間)を経て渋谷クロスタワーまで、坂道の高低差を意識せずにスムーズな歩行を実現する。歩行者デッキは屋根付きのため、雨の日でも濡れずに移動が可能となるという。

▲渋谷ヒカリエ(左)2F通路を表参道・青山方面に抜けた裏手。ヒカリエ3F(写真左の1階上の階)から、ルノアール側(現・シオノギビル)2Fに歩行デッキができる。

さらにまちの賑わいと交流を創出するため、低層部、路面部に新たな商業空間が生まれるほか、敷地面積の約35%を活用して、屋外広場やオープンスペース(合計1200平方メートル)が整備される。

▲上)青山通り側から見た現在の4棟ビルの様子 下)2024年開業後のイメージ。入口付近には人が憩う広場も設けられる。

今まで渋谷クロスタワー側への移動か、もしくはルノアール利用くらいしか訪れる機会のなかった同17地区であるが、渋谷駅東口エリアの新たな賑わい拠点として期待が寄せられる。

▲渋谷ヒカリエを中心とし、スカイウェイを経由して宮益坂方面へ、「2丁目17地区」再開発の新施設を経て表参道青山訪問、渋谷クロスタワー・渋谷三丁目方面へ新たな歩行者ネットワークが生まれる。「渋谷駅東口地区都市計画素案について」(2018年発表資料)より

一方で、宮益坂側に目を移せば、渋谷ヒカリエの3〜4階は銀座線ホーム上の屋根に新設する歩行者用の「スカイウェイ」と接続する予定だ。このスカイウェイは渋谷ヒカリエから渋谷駅、さらに2027年までには渋谷マークシティ・道玄坂方面までつなぐ。
▲渋谷ヒカリエに隣接する銀座線。その銀座線上の屋根に歩行者が歩けるスカイウェイが新設される(画像提供=渋谷駅街区土地区画整理事業共同施行者)

そう考えると、渋谷マークシティから渋谷クロスタワーまで、今まで移動が極めて不便であった渋谷の東西を歩行者ネットワーク一本でつなぎ、移動の利便性を一気に高める。地上レベル、デッキレベルなど、「高低差」という課題を上手に利用した多層の歩行者ネットワークは、「谷地形」「すり鉢地形」の渋谷ならではの発想といえるだろう。

2018年秋の渋谷ストリームに続き、今秋に渋谷スクランブルスクエアの開業、さらに2024年には「渋谷二丁目17地区」も控え、渋谷駅東口エリアの賑わいはますます高まりそうだ。

編集部・フジイタカシ

渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。

オススメ記事