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シルクスクリーン印刷機「リソグラフ」をテーマにした展覧会 33人のアートティスト参加

33人のアーティストが参加する「リソグラフ」をテーマにした展覧会「RISO IS IT」が現在、渋谷パルコ2Fの「OIL by 美術手帖」ギャラリーで開催されている。

「リソグラフ」は、理想科学工業が1980年から製造・販売するシルクスクリーン印刷機。理想科学と聞いて思い出すのは、家庭用印刷機「プリントゴッコ」だ。かつて年賀状づくりに欠かせないツールとして、どこの家庭にも必ず1台はあった。プリントゴッコはシルクスクリーンの技術を使った版画機で、多色刷りを行う場合は、浮世絵と同じく色ごとに版を用意しなければならない。子どもの頃、友だちに凝った年賀状を送りたくて、1つの絵を色ごとに描き分け、苦労して複数の版を作った……など、そんな懐かしい思い出を持つ人もきっと多いのではないだろうか。

リソグラフは、プリントゴッコのレベルをとんでもなく上げた印刷機と考えるとわかりやすいかもしれない。1台で製版から印刷までを行い、コピー機よりも高速・低コストで2色刷り印刷を行うことができる。学校だよりや、スーパーの売り出しチラシ等の印刷など、用途は幅広いが、昨今、ヨーロッパを中心にリソグラフ印刷の個性を生かしたZINEづくりやアート作品づくりに注目が寄せられている。その人気の要因は、シルクスクリーンならではの風合いや質感にある。本来カラー印刷を行うなら、リソグラフを使う意味は全くない。2色刷り印刷機のため、多色刷りする場合、たとえば8色刷りなら4回、16刷りなら計8回機械に通さなければならない。何度もインクを重ねるため、1回刷ったら乾かし次のインクを重ねていくという手間も掛かる。また版画同様に1枚1枚、多少のズレが生じたり、インクの付き方も変わってくる。その不完全さが、コピーや複製とは異なる創作品や、アートとしての面白さがあるのだろう。

▲川島小鳥《クリームソーダ星》、リソグラフプリント

今回の展覧会では、「リソグラフ」の印刷技術の面白さや文化を伝えるため、神宮前3丁目でギャラリーやリソグラフ印刷スタジオを運営する「FL田SH(フレッシュ)」と「OIL by 美術手帖」がキュレーションを行い、33人のアーティストに「リソグラフ」によるアートプリントを手掛けてもらい、その作品を展示している。

▲愛☆まどんな 「彼女の顔が思い出せない」シリーズより(コミックス白亜の表紙絵)、リソグラフプリント

主な参加者は、愛☆まどんな、梅沢和木、川島小鳥、横山裕一、やんツー、BIEN、ESSU、EVERYDAY HOLIDAY SQUAD、Russell Mauriceら、ストリートアート、写真、ペインティングなど、新進気鋭の若手から海外で活躍する著名アーティストまで。普段の作品とはひと味違う、リソグラフならではの味わい深いアート作品が一堂にそろう。Edition付きのプリントは、ギャラリーとオンラインで販売も行っている。

会期は7月3日まで。

RISO IS IT
○会期:〜2020年7月3日(金)10:00〜21:00 ※渋谷パルコの営業時間に準じる
○会場:渋谷パルコ2F OIL by 美術手帖

○参加アーティスト:
愛☆まどんな/秋吉風人/石毛健太/梅沢和木/梅津庸一/沖賢一/金田金太郎/カワイハルナ/川島小鳥/小林紗織/小林丈人/高木耕一郎/玉山拓郎/趙里奈/中村桃子/二艘木洋行/丹羽良徳/花代/原田光/平子雄一/三浦阿藍/矢入幸一/やんツー/横山裕一/BIEN/contact Gonzo/ESSU/EVERYDAY HOLIDAY SQUAD/Russell Maurice/NAZE/Stang/STW/Aki Yamamoto

○ディレクション:FL田SH
○キュレーション:FL田SH+OIL by 美術手帖
○公式:http://oil-gallery.bijutsutecho.com

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