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キューバ革命の英雄
チェ・ゲバラを描いた大長編映画
『チェ 28歳の革命』『チェ 39歳別れの手紙』公開

みなさん、明けましておめでとうございます。今年も渋谷の片隅に小さく花開いたカルチャーを、このブログで細々とお伝えしていければ思いますので、よろしくお願いします。

と、言いつつも今年一回目のブログは大きなロードショー映画を取り上げます。“伝説の革命家”エルネスト・チェ・ゲバラの伝記大作『チェ 28歳の革命』です(写真1)。http://che.gyao.jp/(公式HP)
今月10日から渋東シネタワーetcで公開される本作。続いて31日から公開の第2部『チェ 39歳別れの手紙』と合わせると、上映時間4時間半を超える大長編となっています。
この上映時間をもってしても、“巨人”チェの全人生をくまなく描くことは不可能。監督のスティーブン・ソダバーグは、チェの人生のターニングポイントとなった2つの出来事を物語の座標軸に据え、妥協も誇張も無く偉大な革命家の実像をじっくりと描ききった。
アルゼンチン人青年チェがキューバの革命下フィデル・カストロと出会いキューバ革命を成し遂げるまでを第1部で、革命政権ナンバー2の座を捨て、ボリビアでの新たな闘争に旅立ち最期を迎えるまでを第2部で。どちらも実に見ごたえがあり、最近の大作映画がすっかり失ってしまった骨太さがあります。
本作プレスシートより(写真2)。ちなみにこの作品の台詞は全編スペイン語。スペイン語圏が舞台となるので当たり前といえば当たり前なのですが、世界公開を見越して製作される映画では画期的なことです。
その昔、ベルナルド・バルトルッチ監督の『ラスト・エンペラー』で、中国の近衛兵が「ファック・ユー」と叫ぶシーンがあり、ずいぶん興醒めしたものですが…興行よりも革命家へのリスペクトを優先させた『チェ』の製作陣の勇気は讃えられるべきでしょう。

格差と不況に世界が揺れる今だからこそ、チェのメッセージに耳を傾けよう、そう感じさせる貴重な一本だ。

高橋慎一(フォトグラファー)

98年よりフリーランス・フォトグラファーとして独立。現在、雑誌・書籍・CDジャケットなどで活躍中。また、ライターとして音楽関係、海外紀行、ドキュメント記事等を雑誌や書籍で精力的に執筆。

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