今回の「シブヤ×ブックス」は、読み終わった本で人と人をつなぐ図書館「感想文庫」の受付をする高松みゆうさんがブックセレクター。同文庫に寄贈された書籍の中から、高松さんが気になる3冊をピックアアップしてもらった。
1976年(昭和51年)創刊の男性向けファッション雑誌。毎月10日発売。
<高松さんのオススメポイント>
人気の男性誌「POPEYE」の32年前に出版された「父の日特集号」です。今年の父の日、私も出勤していたのですが、その時に読みました。32年前の父親像と今の父親像は違うところもあったり、同じところもあったり。当時は、ちょうどバブル真っただ中でイケイケだった時代。「おやじとアルコール対決」と銘打って、お父さん=銀座のクラブで一杯、息子=カフェバーでグラスを傾けるなんて特集や、「親父に教えてもらった東京50年代デートコース」のページなど、時代を感じるとともにとても新鮮でした。出てくるワードも、テニス、ヨット、バイク、サーフィン、ヴィンテージ等々。私の父がちょうど大学生の頃だったのですが、「ああ、父の青春時代はこんな時代だったのか」と感慨深くなりました。
渋谷区発行。渋谷の今昔を見比べる写真集シリーズ全4巻。制作に携わった写真家・佐藤豊さんのインタビュー記事はこちら
<高松さんのオススメポイント>
土地柄、やはり渋谷に関連する書籍は人気です。「COMMON EBISU」を主宰している恵比寿新聞も歴史本を含め、何冊か寄贈しているのですが、そのうちの一つがこの写真集「渋谷の記憶」です。渋谷区教育委員会編集発行の写真集で、現在、1〜4巻まで刊行されています。昔と今の渋谷の写真を左右見開きで比較対照できる作りとなっています。正直、昔の写真を見ると「本当にこれは渋谷ですか?」と言いたくなります(笑)。あまりの変貌ぶりに驚かされますね。高校生の時は原宿によく遊びに来ていたので、それゆえに、驚きも大きかったです。まるで全然知らない世界を見ているような、不思議な感覚に襲われる写真集です。
「あえか」「紐帯」「那由他」「玉響」などの日常遣いはしないが美しい日本語に着目し、それらの言葉が紡ぐ甘く切ない35のショートストーリーを掲載。
<高松さんのオススメポイント>
昨日、ご返却頂いて、タイトルに魅かれて思わず、読みふけってしまいました。たとえば、「相生(あいおい)」という日本語があるのですが、そのワードから導かれる短い恋愛ストーリーが掲載されています。よく知らないけれど、美しい響きを持っている言葉がたくさん紹介されています。個人的には「酒酒楽楽(しゃっしゃらくらく)」「喃喃(なんなん)」という音の響きが素敵だなと思いました。こんな日本語もあるんだね、この言葉って素敵だね、と友人と話して、コミュニケーションが広がる一冊だと思います。1時間くらいでサクッと読める分量もポイントです。