「サブカルチャー」をテーマに、現在渋谷で公開中の作品をピックアップ
TOHOシネマズ渋谷では現在、2010年に劇場公開され口コミで上映館を拡大していった人気作「キック・アス」の続編「キック・アス ジャスティス・フォーエバー」がスタートした。
スーパーマン、バットマン、スパイダーマン…お金や技術や特殊能力を持ち、人々を救うアメコミ界のスーパーヒーローたち。「キック・アス」は、ヒーローコミックオタクの冴えない高校生デイヴがヒーローに憧れ、インターネットで買ったスーツとマスクを着用してキック・アスとして活動する姿を描いたヒーロー映画で、超等身大の情けないヒーロー像や、クロエ・グレース・モレッツが演じた最強の少女戦士ヒット・ガールの独特の佇まいが話題に。日本では2010年の公開当初4館だった上映劇場が口コミで70館以上にまで拡大する人気作品へと成長していった。
第二弾となる同作では、将来の夢を見つけることが出来ずにいたデイヴがヒーロー集団「ジャスティス・フォーエバー」を結成。バレエ講師、学生、コピーライターなど、普通の人たちが街の平和を守ろうと、覆面姿で悪党集団に立ち向かう。一方かつてのヒット・ガールは普通の女の子として学園生活を送っていて…。
既存のイメージを打ち砕く覆面ヒーローたちの奮闘を、新鮮な気持ちで楽しみたい。
ヒューマントラストシネマ渋谷では2月22日より、ゲームバラエティー番組「ゲームセンターCX」の10周年を記念した映画「ゲームセンターCX THE MOVIE 1986 マイティボンジャック」がスタートした。
ゲームセンターCXは、有野課長(よゐこ・有野晋哉)が懐かしの家庭用TVゲームに挑戦し、ひたつらエンディング画面を目指す企画をメインコンテンツとするフジテレビCS放送のTV番組。何度失敗しても諦めない課長の姿がゲームファンの共感を呼び、DVDシリーズは累計50万セットを突破。番組10周年を記念して、今回の映画化が実現した。
1896年、ファミコンを愛する少年ダイスケは、憧れのクミコとの約束のため、不良たちに「借りパク」されたゲームソフト「マイティボンジャック」を取り戻すべく立ち向かう。一方で高難易度で知られる「マイティボンジャック」挑戦中の有野課長は、奇跡のプレイを連発するも、タイムリミットが刻一刻と迫っていた…。ファミコンソフトで結ばれたダイスケと有野課長。彼らの恋と挑戦の行方はいかに?80年代へのオマージュとゲーム愛に溢れた、もう一つの「三丁目の夕日」。ファミコンに夢中になったあの頃を思い出しながら、2人の闘いを見守りたい。
シアター・イメージフォーラムでは3月8日より、イギリス人アーティスト、ラルフ・ステッドマンの美学にジョニー・デップが迫るドキュメンタリー「マンガで世界を変えようとした男」が公開される。
ステッドマンは1936年イギリス生まれ。60年代に風刺漫画家としてのキャリアをスタートさせ、国際政治や人権侵害の是正を訴えるその作風は不適切・危険・残酷・歌劇・反体制的などと評される。同作は、映画「ラスベガスをやっつけろ」の原作者ハンター・S・トンプソンと、映画版「ラスベガスをやっつけろ」のメーンビジュアルを手がけたラルフとの、波乱に満ちた友情物語を軸に展開。ビート・ジェネレーションを代表する作家ウィリアム・バロウズとの交流や、ラルフの熱心な収集家として知られるテリー・ギリアム監督やビル・マーレイの協力のもとに得られた貴重な映像を交えながら、創作活動の源に迫っていく。インタビューとナレーションは、ラルフの長年のファンだという俳優ジョニーデップが担当。創作現場を目の当たりにしたデップは、時に感嘆の声をあげ、時に言葉を失いながら、市民の自由のために筆を取る一人の芸術家の姿を引き出していく。
マンガで世界を変えようとした男、その孤高の美学を味わいたい。