変貌を遂げゆく渋谷の一角、今も消えることなく在り続ける「昭和の洋食」を紹介します!
渋谷駅から宮益坂を上り、渋谷郵便局から2つめの路地を左へ。質素なビルの壁に掲げられたお店の小さな看板。この地下に、創業20年を迎える洋食屋さん「レストランおまかせ亭」があります。
立地的には目立たない場所と言って良いと思いますが、店内はいつもご近所の常連さんやOLさん、サラリーマン、学生さんまで、幅広い世代のお客さんでいっぱい。40席余りの客席がゆったりめに配された空間で食事を楽しむお客さんたちと年配のウエイターさんが笑顔で会話を交わす光景がなんともアットホームで、そのあったかな居心地も魅力。
厨房で腕をふるう貫録のあるシェフは「洋食屋さんのシェフ」のイメージそのまま。懐かし洋食の定番であるオムライスやハヤシライス、グラタンにビーフシチューはもちろん、フレンチをベースとする創作メニューも揃い、飽きずに通えるお料理の幅広さも途絶えぬ人気の理由のようです。
14:00までのランチタイムは、評判のオムレツライスやオニオンカレーライスがサラダ、デザート、コーヒーつき1,200円で味わえます。この時期は秋冬限定メニューの、体の芯からポカポカと温めてくれる塩豚のポトフもお薦め。味といい雰囲気といい、古き良き時代のレストランを教えてくれるお店です。
昭和47年創業。当時からの味を守り続ける柔らかなポークの生姜焼きがひときわ評判ですが、ビーフシチューやカニクリームコロッケ、ハムカツにハンバーグ、何をいただいても丁寧に作りこまれたレトロな洋食が味わえるお薦めの1店。お料理のボリュームも満点です。場所柄、放送局の常連さんたちも多く、オフィスビルの地下という目立たない空間にありながらもお昼は行列の状態に。活気づく時代の胃袋を支えた洋食は今も健在です。※写真はローストポークとメンチカツの日替わりランチ850円
百軒店商店街にある昭和26年創業のカレー専門店。作家・池波正太郎さんなどが通ったお店としても有名で、先代の頃から受け継がれているという、まるで富士山かエベレストのように盛りつけられたライスの形もユニークなカレーは1週間がかりで煮込まれる逸品。13種類のスパイスとヒナ鶏(ムルギー)を使ったカレーはじつに深いコクと旨みを持ちます。まさに昭和の「ごちそう」と呼びたい老舗のカレー。紅ショウガと漬物、チャツネのアクセントも素敵です。※写真は玉子入りムルギー1,050円
創業33周年を迎えた神泉のレストラン喫茶。レンガと白壁のレトロな店内には年季モノのコミックもズラリと並び、懐かしさ、温かさを感じさせる店内でサイホンで淹れられたコーヒーや洋食で過ごすひとときはまさに「憩い」の時。メンチカツやオムライス、ミートソースにピラフなどの洋食のほか、ジャムトーストや卵サンドなど、素朴で家庭的な味が揃います。懐かしい"昭和の喫茶店"に会いたくなった時、タイムマシンに乗らずとも思いを叶えてくれるお店です。※写真はオムライス860円
オープンは2009年と新しめなものの、昔ながらのナポリタンやミートソースにこだわるスパゲッティー専門店として人気。安い、早い、ボリューム満点の茹でおき太麺スパゲッティーのいわゆる「ロメスパ」の代表選手でもあり、大盛り600gのナポリタンやミートソースも650円でいただけてしまいます。自家製のケチャップソースに玉ねぎ、ピーマン、ウインナーのみのシンプルなナポリタンの味は最強。沢田研二やピンクレディー、山口百恵など70〜80年代の歌謡曲が流れる店内で、昭和の郷愁とレトロな美味しさにどっぷり浸れます。※写真は300gナポリタン650円(大盛り600gも同価格)
渋谷の町に、まだ黄色い路面電車が走っていた昭和38年創業の焼鳥屋さん。それから50年以上、変わりゆく渋谷の中で変わらずに愛され続けている不朽の大衆食堂です。ボリュームのある焼鳥や丼で人気ですが、そんな老舗にもチキンライス、チキンカツ定食といった昭和の洋食メニューが。パラパラの炒めご飯が主流の昨今、ケチャップをたっぷり吸い込んだウェットなケチャップライスをいただく機会も減りましたが、ステンレス皿の上の赤いご飯を一口頬ばれば、たちまちよみがえる昭和の景色。ちなみに焼鳥のタレは創業時からの継ぎ足しダレで、昭和の味を伝えます。※チキンライス860円
ライター/サーフライダー 2005年よりランチを中心にシブヤ界隈の飲食店情報をつづるブログ『渋谷・恵比寿ランチジャーナル』を運営。40代でITの世界にとらばーゆ(死語ですが)した変わりダネだが、以来、若い人たちとの交流のおかげで、唯一の自慢はとにかくキモチが若いこと。周囲から「安くておいしい店を」「気分転換に効く店を」と乗せられてのいい店探しが老化防止に大きく役立っている。老けたくないみなさんには、若い人たちとの食べ歩きを推奨です。一緒に繰り出しましょう♪