#シブラバ?渋谷で働く、遊ぶ、暮らす魅力を探る

KEYPERSON

祖父はハチ公時代の渋谷駅長。だから、ものすごく縁がある
「渋谷音楽祭」がきっかけになって何かが始まってほしい

シンガーソングライター/「渋谷音楽祭」フラッグアーティスト吉川忠英さん

プロフィール

1947年東京生まれ。1971年、伝説のフォーク・グループ“THE NEW FRONTIERS”のメンバーとして渡米。西海岸を中心にコンサート活動を行い、和楽器を取り入れたフォークロック・グループとして注目を浴びる。“EAST”と改名し、米国キャピトルレコード社よりアルバム「EAST」発売。全米デビューを果たす。帰国後シンガーソングライターとしてアルバムデビューし、同時にスタジオ・ミュージシャン、アレンジャー・プロデューサーとしての活動を開始。アコースティックギター第一人者として、中島みゆき・松任谷由実・福山雅治・夏川りみなどニューミュージック系のアーティストを中心に数多くのレコーディングやコンサートに参加。近年では、福山雅治「Golden Oldies」、夏川りみ「南風」、「岡本おさみアコースティックパーティーwith吉川忠英」などのアルバム・プロデュースでも高い評価を得ている。

渋谷音楽祭は普通の音楽祭とは全然違う。こういう場が力強い支援になる

--「渋谷音楽祭」の趣旨について、どのように感じましたか。

いや、すごいな、いいなと思いました。渋谷で音楽祭っていうのは、今までありそうでなかったイベントの一つだと思います。普通、プロが絡んできたり、プロデューサーが出てきたりすると、いろんな利害関係とか出てくるじゃないですか。この音楽祭の場合、ある意味でプロを排除してやってきたわけだから、全然コンセプトが違うと思います。そこに賛同してくれる人が、またみんな集まっているから、普通の音楽祭とは全然違うものだと思いました。もう手作りも手作りでね(笑)。

--渋谷音楽祭には「3 little words」がありますが、吉川さんがこの音楽祭で伝えたいことは?

人前で実際に音楽をやるわけじゃないですか。そこで、みんな、見に来た人たちが、何かいいな、かっこいいなとか、良かったな、温かかったなとか、そういう何か心の中にポッと灯火がともって生きる勇気がわいたりとか、元気をもらったりとか、殺伐とした心がちょっと潤ったとか…そういうものっていいと思うんです。みんなが温かいお土産をもらって、帰っていく時に、今日は良かったなっていうコンサートになると思います、必ず。この間ライブ審査をやった時も、みんな、一生懸命だし、これはちょっといいコンサートになるなと思いました。アルバイトをしながら、何とかライブハウスを借りて出ているような苦学生には、こういう場っていうのは力強い支援になると思います。ただ2、3曲歌えるっていうことだけじゃなくて、そういう俺たちのことをいつも見てくれている人がいるんだっていうことが大きいと思います。東京に出てきて、苦労して、食べるもの食べないで、何でこんな風になるんだよって人たちもいっぱいいると思うんだけど、でも、そういう人たちを見捨ててないぞっていうところが伝わると思います、彼らに。

--ライブの審査の時に受けた印象は。

みんな、レベルがすごい高くて、うれしかったですね。ただメロディーにとらわれて、年の割には、結構、子どもっぽい歌詞が多いですね。やはり27、28歳になったら、もうちょっと大人っぽい、きっちり歌ってほしいなっていうのは、全体的なイメージとしてありました。僕たちのその年齢の頃は、もう少し考えて詩を書いていたような気がする。今、レジスタンスがないから、のほほんっていっちゃってるからね。でも、ああやって、仲間たちが一緒に出ると、楽屋とかでも友だちになって、バンド同士横のつながりが強くなって、また新たなムーブメントになるかもしれない。それも楽しみ。音楽の技術はあるし、底辺もすごく広がっている。もっと、いろんな勉強すると、もっと磨かれていって、いい作品になるんじゃないかと思う。音楽祭の本番がとても楽しみですね。みんなにも、ぜひ楽しんでほしいですね。通常、音楽祭っていうと、クラシックフェスとかジャズプロムナードとか、限定しちゃっているものが多い。でも、音楽には垣根がないからね、本当は。ジャズでもクラシックでもロックでもフォークでも…。

--音楽を目指す若い人の気持ちは、今も昔もあまり変わていませんか?

変わらないと思いますね、全然。どんなに回りが変わろうが、若い人たちのリズムは一緒だと思うし、本当にいつも温かいところに包まれながら、楽しくワイワイって一生懸命遊んで、笑いながら一生懸命走っていくっていうのが、多分みんながやりたいこと。それをつまらないシステムみたいなことでどんどん追いやられていって、何か、冷たい社会になっちゃっている。何か、ちょっとここで変えなくちゃいけないと思っていますよ、みんな。それを一歩一歩やるには、こういうことがすごく大事なんじゃないかな。音楽の表現って、やはりそこじゃないですか。自由を表現することだと思います。そこを思い切って彼らは歌っているわけだから。そこに賛同者が現れて、何か、良かったなって、青年たちもみんなも一体感があって。終わった後にものすごい財産が残ると思うんです。生きる勇気とか、来年またやろう、とか。渋公を目標にしていた川嶋あいちゃんが一番いい例。渋公って本当に古くて、僕たちの学生のころからやっていたので。僕が学生のころからだから、40年ぐらいじゃないですか、多分。そういう晴れの舞台を用意してあげるとか、彼らを導いていくのも大人の責任だし、大きな自信になると思いますね。

--渋谷にはギターの有名な店も多くありますが、吉川さんも行きますか。

昔は行きましたね。でも、今は、ちょっと、楽器屋に行くと欲しくなっちゃうんで、なるべく行かないようにしています(笑)。渋谷には、いい音楽を聴かせる喫茶店なんかもありました。今でもあるんじゃないかなぁ。道頓堀劇場の辺りだと、円山町・百軒店の「ライオン」とか「BYG」とか。みんなスピーカーの真っ正面で、こうやってお茶飲んで聴く(笑)。やはり、人が集まるところにギター屋って集まりますよね。ヤマハが最初に道玄坂にできたのが大きかった。山手線の線路際にもあるし…石橋とか、十字屋、山野もあったかな。

音楽は重要な道具。みんながそこに集まって一つになっていくのがいい

--音楽をテーマに渋谷の未来を考えると、まだやれることはありますか?

ツールの一つではありますね、音楽が。それも偉い目的を持っているわけじゃなくて、音楽が一つドンときっかけになって、みんなが同じ方向、温かい方向を向き始めて、何かやろうかみたいなことが起こるかも知れません。そうなったらいいですね。きっかけになればいいと思います。今は音楽でもいろんな種類があったり、ダンスがあったり、ファッションがあったりとか、いろんなことが選べるので、文化的には間口が広がっていますね。

--渋谷音楽祭のステージでは、その辺を意識した曲を予定していますか?

そうですね。みんなが知っている曲とかやろうと思って。フィナーレはみんなでシングアウトしたいですね。109の前では音楽祭最後のフィナーレという感じになるから、、「みんな一緒に歌おう!」なんて叫びますよ、きっと。「イマジン」とかはどうかな?やはり、ジョン・レノンのようにあれだけのことを言える人っていないじゃないですか。想像してごらんって、国境はないんだよって。みんなが助け合って生きることを想像すると平和になるよっていうことは、やはりすごいと思うんです。詩がすごいですね。簡単で、メロディーが歌いやすいし、みんなが歌える。ジョン・レノンの場合、本当に魂から歌って作っていたから、やはり名曲になっちゃうんです。

--エンターテインメントが盛んな街になるには、どんなことが必要だとお考えですか?

それは、やはり有料じゃないものも必要でしょうね。無料で聴ける場所。大きな会場じゃなくて小さな場所でもいいかもしれない。ほとんどお金がかからなくて、いい音楽をみんなが聴けるっていう環境があって、彼らのためにここへ来て歌うんだってなれば、じゃあ、聴いてやろうかってみんな来るかも知れない。そんなのでいいと思います。例えば、それは出演者にどっかのお金持ちの企業がサポートしてあげてもいいんですよね。入場料はなるべく安く設定して。たとえビッグネームなアーティストでも、趣旨を理解してもらうことで、みんな、街のために「いいよ」って来るかも知れない。そういうことを僕はやりたいですね。極力、そういうプロデュースをしたいです。ちゃんと趣旨を理解できればみんな賛同してくれると思う。やはり、音楽に対して開かれた街であることが一番ですよね。本当にオープンで、リベラルで、オープンエアでみんなが自由を満喫できるっていう、そこへ行くと…。欧米の人たちはキリスト教の影響もあると思うけどボランティア精神が旺盛だから、社会のためにやるのは当たり前みたいになるけど、日本はなかなかそういうのが少ない。渋谷音楽祭はもう老いも若きも一体となる場所。一体になると、みんなが高め合う場所になるんじゃないかなと思います、精神的にも。音楽祭のテーマである「ありがとう。こんにんちは。ごめんなさい」――足、踏んだらごめんなさいってちゃんと言える勇気を持ちましょうってことですね。それはマナーだと思うし、社会の一員として生きていく上でのマナーは、ちゃんとみんなが自覚しないと。自由、自由と言ったところで、最低限、果たさなきゃいけない義務はあるわけだから。その辺をちゃんとやっていければ、きれいな街になっていくし、温かい街になっていくと思います。音楽は一個の道具でしかないから。それが目的じゃなくて、いろんなそういう場にみんなが集まってきて、ここでみんな一つになっていくのがいいんじゃないですかね。でも、音楽はすごく大事な道具なので…。

--渋谷をテーマに曲を作るとしたら、渋谷のどんなところを取り上げますか?

曲として言うと、軽快で明るい楽しい曲。リズムのある曲で、みんながやさしく歌える曲で、みんなが覚えやすい曲。老若男女が楽しめて、みんなが共通する言葉で歌える曲。…そんな曲、ぜひ、作ってみたいですね(笑)。

吉川忠英オフィシャルサイト

「HOOTENANNY with 吉川忠英」

今年5月に発表された、多彩なゲスト陣とのコラボレーションアルバム。通算14枚目。
3,000円(税込) VICL-62818(ビクターエンタテインメント)

「THE NEW FRONTIERS sing THE KINGSTON TRIO」
THE NEW FRONTIERS

大学時代のバンドが、40年ぶり再結成!
3,000円(税込) VICL-62871(ビクターエンタテインメント)

第3回渋谷音楽祭

今年のテーマは、3 little words Campaign 2008 「こんにちは。ありがとう。ごめんなさい。」
心を伝え、人と人とが繋がるきっかけとなっていくことを願って、様々なジャンルの音楽、ダンス、アートが、渋谷のまちから発信されます。

吉川さんも出場される第3回渋谷音楽祭への入場招待券を抽選で10組20名様にプレゼントします。(※応募締切 2008年10月30日(木))
»詳細は読者プレゼントページまで

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