#シブラバ?渋谷で働く、遊ぶ、暮らす魅力を探る

KEYPERSON

「場所」を提供することが自分の仕事であり喜び
渋谷にクリエイティブなホテルをつくることが目標

パーティカンパニー取締役会長/ハイパーインターネッツ代表取締役クリエイター家入一真

プロフィール

1978年福岡県宗像市生まれ。活発な子どもだったが、中学校時代に友人関係のもつれから孤立し、高校を中退して引きこもりとなりパソコン三昧の日々を送る。新聞奨学生を経験後、デザイン会社勤務などを経て2001年合資会社マダメ企画(現:株式会社paperboy&co.)を設立し、自宅で個人向けレンタルサーバー「ロリポップ!」を立ち上げる。2008年ジャスダック上場。2010年3月に同社代表取締役CCOを退任し、飲食店事業を中心に展開する株式会社パーティカンパニーを設立。同年7月にギャラリースペースとラウンジバーの複合空間「SUNDAY ISSUE」をオープンし、本社機能も併設。2011年1月にマイクロ・パトロン・プラットフォーム「キャンプファイヤー」を運営するハイパーインターネッツを設立し、同年6月よりサービスを始動したばかり。

高校中退後、引きこもり生活を送っていた家入一真さんは、新聞配達のアルバイトで精神的に立ち直り、自宅でレンタルサーバー事業をスタート。新聞配達(ペーバーボーイ)への感謝の思いからpaperboy&co.と名づけた会社は、2008年ジャスダックに上場。その直後に社長を退任して周囲を驚かせた後は、渋谷を中心にカフェを経営したり、クリエイター支援のプラットフォームを立ち上げたり、決して一つにとどまることなく、自由でクリエイティブな挑戦を絶えず続ける。パーティカンパニー設立から早1年以上過ぎ、ペパボ時代との仕事に対するスタンスの違いから、渋谷を拠点に構える理由まで、現在の家入さんのリアルな気持ちを聞きました。

社員用のカフェをつくって「場所」を提供する面白さに気付いた

--パーティカンパニーを設立し、カフェ経営を始めた経緯は?

株式会社paperboy&co.(以下、ペパボ)でウェブ関係の仕事をしていたとき、お客さんはモニターの向こう側にいたため、リアルに触れ合うことができませんでした。そこに一抹の寂しさというか、実感のなさがあり、お客さんと直接会える「飲食店をやってみたい」という思いがあったんです。親がカフェを経営していた影響も、多少はあったのかもしれません。最初は、社員食堂的に使えばいいやと、ペパボのオフィスがあったセルリアンタワーの近くにHI.SCORE Kitchen(ハイスコアキッチン)というカフェをつくりました。すると、社員や友人のほかにも一見のお客さんがたくさん来るようになり、「ごはんが美味しいね」「内装がかっこいい」といった嬉しい声が聞こえてきて、「場所」を提供することの面白さを知り、飲食店の経営にはまっていったという感じです。ハイスコアキッチンを始めてから3年ほどが経ち、現在は渋谷や中目黒、吉祥寺などに6軒のカフェやレストランを展開しています。

--お店によってコンセプトは変えているのでしょうか。

クラシックなブラックシート、中央の時計などが特徴的なオンザコーナー店内。

物件や地域性を考え、食事や音楽や内装をイメージしています。例えば、ON THE CORNER(オンザコーナー)は、もともと古いオフィスビルだった建物で、古びた感じのかっこよさを生かして、ニューヨークのダイナーをイメージさせるカフェにしました。僕、ニューヨークのダイナーが好きなんですよ。おじいちゃんが静かにコーヒーをすすっている横で、若者がわいわいとビールを飲んでいる。いろんな人が集まる雑多な雰囲気がいいんですよね。日本でそういう店といえば、ファミレスでしょう。だから、オンザコーナーは「かっこいいファミレス」というのもテーマになっていて、24時間営業ではありませんが、9時から翌2時まで営業しています。今後は、京都や福岡など地方にも、オンザコーナーを展開したいという思いもあります。そしたら誰にはばかることなく、地方に遊びに行く理由ができますし……(笑)。というのは半分冗談で、もともと僕にとってカフェ事業はそれまでの仕事が別の業界でも通用するかというチャレンジだったので、他の地域でも通用するか、新たにチャレンジしてみたいという気持ちが強いです。

クリエイターがお金とファンを同時に集められる新サービス

--ペパボを上場させた後、すぐに社長を退任した理由は?

「せっかく上場させたのになんで」と驚かれましたし、いろいろな方からお叱りも受けました。ただ、僕にとって上場はゴールではなく、「気付いたら上場していた」というのが正直な気持ちでした。創業してから会社と創業者は同じ道を歩きます。その道がずっと一致していれば幸せなことですが、僕の場合は、途中で会社の方向性と創業者である自分の目指すものが離れていくことに気付いたんです。会社の方向性を僕の考えに合わせることもできたかもしれませんが、それが会社や社員にとって幸せとは限りません。そういう判断が上場後すぐに社長を退いた理由です。今は、毎日、ツイッターで好き勝手なことをつぶやいていますが、さすがに上場企業の社長だったら、そんなことはできなかったかも。フリーな立場で思いついたら即座に新しいことにチャレンジできる今の環境にはとても満足しています。

--ペパボ時代と現在では、仕事に対する姿勢や考え方は変化しましたか?

ウェブの仕事は、やろうと思えば、自分ひとりでも開発やデザインなど全ての業務ができますが、カフェの場合、そうはいきません。これまで、キッチンに入ったりホールで接客をしたりした経験はまったくありませんでしたし、法律のことも分からない。僕の役割は、食事やインテリアなどのイメージを伝えることで、あとはたくさんのスタッフの力を借りて作り上げていくことを色々な場面で感じていて、それが楽しさでもあります。またウェブのお客様は、極端な話、全世界に広がる可能性がありますが、カフェの場合は「単価×席数×回転数」という上限が決まっています。いかにその上限に近づけていくかという、ウェブとのビジネスモデルの違いも楽しんでいます。

--新たにスタートした「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」についてお話ください。

2011年6月にサイトオープンした「CAMPFIRE」。クリエイティブなアイデアを支援・実現させる新事業。

マイクロ・パトロン・プラットフォーム「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」は、ネット上でクリエイティブなアイデアへの少額の支援を募り、クリエイターはお金ではなく、感動や体験によってお返しするという、借金でも投資でもない新しい仕組みです。アメリカの「キック・スターター」というサービスを参考にしたもので、お金とファンを同時に集められるという画期的なサービスです。今のところアート関係のプロジェクトが多いですが、決してアートに絞っているわけではなく、今は被災地支援のプロジェクトにも力を入れていますし、ゆくゆくは堀江貴文さんが手掛けてきたロケットプロジェクトも扱う予定です。最終的に支援された方の名前がロケットに刻まれて宇宙に飛び立つという、なんともロマンチックなプロジェクトです。まだスタートしたばかりで10ほどのプロジェクトしか掲載されていませんが、今後はもっと数を増やすとともに、金額の面でも大規模なプロジェクトを支援していきます。

地下鉄13番出口、美竹公園向かいに1階に「ON THE CORNER - NO.8 BEAR POND」の店舗を構える。同ビルの2階にギャラリースペース、ブックコーナー、ラウンジバー が融合した複合空間「SUNDAY ISSUE」や、シェアオフィス「partyground」、パーティカンパニーの本社機能なども併設する。

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