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「雨水貯留施設」改め「あめちょ」、渋谷を豪雨から守る施設の存在をアピール

渋谷駅の東口地下広場の下には、25mプールに換算して約13杯分の大量の雨水が貯められる「雨水貯留施設」があるのをご存知だろうか?

渋谷駅周辺では今、100年に一度と言われる大規模な再開発事業が進められている。「再開発」と聞くと、「新しい商業施設」の建設ばかりに注目が集まりがちですが、同時に「災害に強いまちづくり」のためのインフラ整備も進んでいる。中でも「すり鉢地形」の最も低い場所にある渋谷駅は、ゲリラ豪雨や大型台風などによる浸水・冠水被害を受けやすく、その対策が以前から強く求められていた。

昨年8月から巨大な「雨水貯留施設」の供用が始まったが、一般的に目に触れることのない地下4階に相当する空間に設置された施設のため、その存在を知る人はほとんどいないだろう。

こうした背景を踏まえ、東口地下広場から地上(宮下公園方面)に上がる「B7出口」のエスカレーター壁面で3月より、「雨水貯留施設」をアピールする広告ポスターの掲出が始まった。

今回の広告を手掛けた理由について、一般社団法人渋谷駅前エリアマネジメントの山口友康さんは、「約10年の工事期間を経て、昨年雨水貯留施設が完成したのですが、当然ながら施設は目に見える存在ではありません。まちの課題を解決するこの取り組みを渋谷にいらっしゃる方に知ってほしくて」と施設の認知度向上を挙げた。

広告作成にあたり、「分かりやすく、親しみやすいこと」を前提に進めたといい、全8枚の広告ポスターをストーリー仕立てにし、イラストを多用したクリエイティブに仕上げたという。エスカレーターを下りながら、1コマ1コマのストーリーが自然と入ってくる点も面白い。

では具体的に広告ポスターのクリエイティブを順番に見ていこう。

1枚目は、気候変動・ゲリラ豪雨などが増える現状を導入部とし、2枚目に渋谷ならではのすり鉢地形が降雨時に雨水を溜めやすい点を課題として挙げる。

3枚目は、雨水貯留施設がある場所をイラストで分かりやすく紹介。今、皆さんが歩いている広場の真下に「雨水を貯める施設があります」とメッセージを込める。

4枚目は「あめちょ」という愛称を発表し、渋谷の若者たちにも親しみやすくアピール。

5枚目は、巨大施設の規模を「25mプール」を例として紹介。約4000トンと言われてもピンときませんが、25mプール約13杯分なら想像しやすい。

ここまで全てイラストでしたが、6枚目で初めて雨水貯留施設の写真を掲載。その規模の大きさが写真から分かるはず。実際には雨水を貯める槽の中に人が立ち入ることは出来ませんが、忠犬ハチ公像やスクランブル交差点など続く、「渋谷の新名所」として施設を紹介。「土木萌え」には、たまらない絶景スポットだ。

7枚目は、地下から一気に上空へ目線が移動し、現在進行形で開発が進む渋谷のまちを俯瞰して今回のストーリーが終了する。

道路や鉄道、上下水道など、公共的な設備や施設は私たちの生活を下支えし、欠かすことのできないインフラであるものの、ごく当たり前すぎて、そこに想像力を働かせることはあまりない。今回の広告は、堅苦しさ、難しさを一切排除して、自分たちが働き、遊び、暮らす渋谷のまちの安全がどう変化しているのかを訴求するもの。「へぇーそうなんだ!」という声が一つでも増えれば、まずは成功といえるだろう。

Editorial department · Fuji Itakashi

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