#シブラバ?渋谷で働く、遊ぶ、暮らす魅力を探る

KEYPERSON

街や建物は器であり、カルチャーは人がつくる。魅力的な人びとが集う渋谷であり続けてほしい。

スタイリスト高橋靖子さん

プロフィール

1941年、茨城県生まれ。日本スタイリスト界の草分け的存在。早稲田大学卒業後、電通に入社するも、程なくして原宿セントラルアパートにあった広告制作会社に転職。その後、独立してフリーランスのスタイリストとして活動を開始した。山本寛斎のロンドンでのファッションショーを成功させたほか、デヴィッド・ボウイやT・レックスのフォトセッションをサポートしたり、忌野清志郎、矢沢永吉、YMOなどの衣装を担当したりと多方面で活躍。著書に『時をかけるヤッコさん』(文藝春秋)、『表参道のヤッコさん』(河出書房新社)など。

60〜70年代のセントラルアパートは何が特別だったのか。

_若い頃から表参道を拠点とされてきて、今の渋谷に思うことはありますか。

渋谷が元気だった頃をよく知る身としては、今は少し沈んでいるかな、という印象はあります。若い人たちも街も、ちょっと元気がない。新宿などの他の街に持っていかれてしまっているのかな。そこは負けないでほしいですよね。渋谷の中でも表参道や原宿は、私にとって特別な場所で、昔の田舎っぽい痕跡を見つけるとすごくホッとします。キャットストリートとか、あのあたりも大好きです。

_渋谷が元気を取り戻すためには、どのような変化が必要だと思いますか。

例えば、60〜70年代のセントラルアパートはクリエイティブな空気に満ちていたと思いますが、かといって建物が特別だったわけではありません。クリエイターのたまり場だったレオンだって、本当に普通の喫茶店でした。それでは何が空間を特別にするかというと、それは人です。街や建物はあくまでも器であり、カルチャーをつくるのは人なのです。だから、変にギラギラとした建物をつくったりせず、いかに人が集まる街や建物にするかを考えるべきでしょう。では、今の渋谷に人を集める魅力が十分に備わっているかというと、それは私には分かりません。備わっているとは積極的に思えない状況になりつつあるかな、という気もしています。

セントラルアパート側から眺めた表参道交差点付近。写真左側は現在でも残る「グリーンファンタジアビル」、当時同ビル1階には「こくぎん(現、八千代銀行原宿支店)」が入居し、その右隣に「セブンアドベンチスト東京中央教会」があった。「ラフォーレ原宿はセブンアドベンチスト東京中央教会だった。 取り壊される間際、この教会の外観を残したビルは出来ないかと淡い夢を見ました」(高橋)。写真提供=高橋靖子

人と人を結び付けることをしていきたい。

_今後の渋谷の街づくりに求めることは何ですか?

駅から街に出る第1歩を踏み出す時に、気持ちがホッとしたり、すっきりしたりできる空間があるといいでしょうね。のほほんとした空気感とでも言いますか。例えば、渋谷駅前ならハチ公前の広場であるとか。そういう空間をなくしてギチギチの街になってしまうと息苦しくなってしまうと思います。

_渋谷のコミュニティFM「渋谷のラジオ」の番組審議会委員を務められていますが、どのような経緯だったのでしょうか。

クリエイターの箭内道彦さんのオーダーでやることになりました。月1回パーソナリティをしていて、何の制約もなく喋るのは難しいですが、楽しいひとときです。意外と若い世代も聞いているようで、ラジオを始めてから街中で若者から声をかけられる機会が増えた気がします。

_仕事やプライベートでの目標を教えてください。

仕事では同世代の方のスタイリングをすることが多いのですが、すごく若い方も手がけてみたいな、という思いがありますね。また、これまでにスタイリストとして数冊の本を出しましたが、最近は仕事というより、人生そのものを振り返って文章に残したいという気持ちが湧いてきました。仕事でもプライベートでも、人と人を結び付けられるようなことをして、自分も結び付けられていく。そんな生活を送れることが幸せなんだと思います。

取材中、終始笑顔でインタビューに答えるヤッコさん。この可愛らしさにみんな癒やされてしまう。

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